駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜

あーもんど

文字の大きさ
126 / 126
番外編

花の展覧会②

しおりを挟む
「それにしても────ロルフったら、よくこんな場所を用意出来ましたね。展覧会の開催場所を急遽、公爵領に変更した・・・・・・・・だけでも驚きなのに」

 ここ一週間で展覧会の運営に掛け合い、会場の確保から設営までこなしたロルフを思い浮かべ、私は素直に感心する。
だって、普通は間に合わないだろうから。
それに、付け焼き刃とは思えないクオリティだ。
『参加者の移動にも色々配慮したのか、例年と変わらない集客だし』と考えつつ、肩を竦める。

「遠出や外泊を避けるためにここまでやるとは、思いませんでした」

「あいつは変なところで、全力を出すからな」

 『普通に一週間分の仕事をこなした方が、幾分か楽だろうに』と零し、夫はふと顔を上げる。

「ところで、このネームプレートに付いているマークはなんだ?」

 リボンと袋の絵が描かれたソレを前に、夫は頭を捻った。
『何かの隠語か?』と述べる彼の前で、私は口を開く。

「あぁ、それは買取可能な作品という意味ですよ。金額は要相談ですが、他に買取希望者でも居ない限り大体相場の二倍くらいで購入出来ます」

「そうか」

 例のマークを一瞥し、夫はおもむろに周囲を見回した。
かと思えば、スッと目を細める。

「買取可能な作品はおおよそ、二十点か。なら、部屋に収まるな」

 『少々匂いはキツそうだが』と述べつつ、夫は真っ直ぐ前を見据えた。

「全て買い取ろう」

 ────と、宣言した夫は本当に全部購入して寝室に並べる。
おかげで、いつでも花を鑑賞出来る環境になった。

 花に囲まれて、過ごせるなんて幸せね。
実家に居た時はこんな贅沢出来なかったから、余計に。

 『起きて、直ぐに花を堪能出来るのが特にいい』と思いつつ、私はベッドの上で寝返りを打つ。
すると、隣で本を読んでいる夫が目に入った。

「旦那様。展覧会の付き添いや花のご購入、本当にありがとうございました」

 『凄く嬉しかったです』と礼を言い、私は頬を緩める。
────と、ここで夫は本を閉じた。

「レイチェルが喜んでいるなら、それでいい」

 手に持った本をタンスの上に置き、夫はこちらへ向き直る。
その横で、私は笑みを零した。

 相変わらず無愛想だけど、愛を感じるわね。
話し掛けたら、こうやって直ぐに応えてくれるところはもちろん、今日の外出そのものにも。
だって、旦那様は本来花になんて興味ないだろうから。
それなのに、付き合ってくれて……花だって、購入して飾ってくれた。

 夫の気持ちが伝わってくる行動の数々に、私は喜びを感じる。
と同時に、今ある幸福を噛み締めた。


✄-------------------‐-------------------‐------✄‬


これにて、番外編も終了となります。
本当に最後の最後までお付き合いいただき、ありがとうございました┏○ペコッ
しおりを挟む
感想 104

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(104件)

太真
2024.11.23 太真
ネタバレ含む
2024.11.23 あーもんど

ほっこりしていただけて、何よりです(*>ᴗ<*)
また、『もっと観ていられたな〜』とのお言葉もありがとうございます!
大変嬉しいです✨

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました(*´ω`人)

解除
太真
2024.11.22 太真
ネタバレ含む
2024.11.22 あーもんど

最後の一言(『今回は』というの)が、不穏ですね(笑)
でも、今後も苦労しそうというのは分かります(笑)

解除
太真
2024.11.21 太真
ネタバレ含む
2024.11.21 あーもんど

確かにロルフとレイチェルで仕事を分けたら、良さそうですね!

解除

あなたにおすすめの小説

醜い私は妹の恋人に騙され恥をかかされたので、好きな人と旅立つことにしました

つばめ
恋愛
幼い頃に妹により火傷をおわされた私はとても醜い。だから両親は妹ばかりをかわいがってきた。伯爵家の長女だけれど、こんな私に婿は来てくれないと思い、領地運営を手伝っている。 けれど婚約者を見つけるデェビュタントに参加できるのは今年が最後。どうしようか迷っていると、公爵家の次男の男性と出会い、火傷痕なんて気にしないで参加しようと誘われる。思い切って参加すると、その男性はなんと妹をエスコートしてきて……どうやら妹の恋人だったらしく、周りからお前ごときが略奪できると思ったのかと責められる。 会場から逃げ出し失意のどん底の私は、当てもなく王都をさ迷った。ぼろぼろになり路地裏にうずくまっていると、小さい頃に虐げられていたのをかばってくれた、商家の男性が現れて……

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】 白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語 ※他サイトでも投稿中

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています

オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。 ◇◇◇◇◇◇◇ 「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。 14回恋愛大賞奨励賞受賞しました! これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。 ありがとうございました! ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。 この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)

【完結】虐げられていた侯爵令嬢が幸せになるお話

彩伊 
恋愛
歴史ある侯爵家のアルラーナ家、生まれてくる子供は皆決まって金髪碧眼。 しかし彼女は燃えるような紅眼の持ち主だったために、アルラーナ家の人間とは認められず、疎まれた。 彼女は敷地内の端にある寂れた塔に幽閉され、意地悪な義母そして義妹が幸せに暮らしているのをみているだけ。 ............そんな彼女の生活を一変させたのは、王家からの”あるパーティー”への招待状。 招待状の主は義妹が恋い焦がれているこの国の”第3皇子”だった。 送り先を間違えたのだと、彼女はその招待状を義妹に渡してしまうが、実際に第3皇子が彼女を迎えにきて.........。 そして、このパーティーで彼女の紅眼には大きな秘密があることが明らかにされる。 『これは虐げられていた侯爵令嬢が”愛”を知り、幸せになるまでのお話。』 一日一話 14話完結

妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。 だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。 しかも新たな婚約者は妹のロゼ。 誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。 だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。 それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。 主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。 婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。 この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。 これに追加して書いていきます。 新しい作品では ①主人公の感情が薄い ②視点変更で読みずらい というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。 見比べて見るのも面白いかも知れません。 ご迷惑をお掛けいたしました

【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ…… リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。 ⭐︎2023.4.24完結⭐︎ ※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。  →2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。