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ちゃいろのダンジョン50F山頂の大広間にて、大口を開く岩クジラの要塞の中から射出されるように、岩マジロのモンスター部隊が意気揚々と丸まり出撃した。
「どっちが壊せるか競争だ、よっ!」
「そんな競争したことないっすけど!」
内側から緑に湧き上がるクリティカル、青く轟くクリティカル。池原とピネスの操る刺股と剣は次々と競い合うように、今突進してきた岩マジロの部隊にクリティカルのイチゲキを当然のように決めていく。
しかし敵もやられてばかりではない。知恵をしぼった岩マジロは丸々形態をぶつかる直前手前でとき、フェイントをかけた。
意表をつくモンスターの行動に人間たちがフリーズする。2人の虚をついた2匹の岩マジロはしてやったり、腕を広げ、体を大きく広げ、その場に静止したまま短い尻尾をふりふりとご機嫌である。
「だからなんなの、さー!」
「だからってなんなんだァァ!!」
2人はへんてこな行動をみせた間抜け顔の岩マジロを、容赦なく同時に倒した。
しかし先程の岩マジロの珍行動に気を取られてしまっていたのか、2人は突然降りかかってきた岩石流に呑まれた。
山頂のステージを寝そべり支配する巨大な岩クジラが、その尾を俊敏に地に打ちつけ、生じた数多の岩石の飛沫が広範囲に飛んでいった。
「よっ、よっ、よっ」
降りかかる岩石の雨それに天から滴る岩ツララ。岩クジラが寝そべりながらに放った広範囲魔法を、逆に宙の足場として利用し、その危険なアトラクションを飛び移りながら池原叉鬼は掻い潜っていく。
そして岩と石の階段を器用に上り、クジラのもつ硬い岩肌の背に素早く取り付くことに成功した。
「おわっと!? ──ふぅー……」
池原が伸ばした銀の刺股が、クジラの背の曲面から滑り落ちそうになっていた少年をひょいと掬い上げた。
「若いのにぃ?」
「ハァハァ……体育3なんでっ!」
そんな巨大クジラの背に乗り上げた2人の異物に対して、小魚が曲面を沿って猛スピードで泳ぎ迫って来た。
その小魚の頭部には金色の小判型の装甲がある、その自慢のアタマで敵をぶちかますつもりだ。
2人はそんなクジラと共生するコバンザメ部隊の猛追を、各々の武器で小判頭を砕き捌きながら、別々の方向へと別れた。
「空けるか【深緑ノ間欠泉】!!」
追手を崩し集中した池原は、岩肌の柔い部分に目星をつけ、そこに魔力を込めた刺股を思いっきり突き刺した。
すると計六箇所から、亀裂の入ったクジラの背は魔力迸る緑の潮を勢いよく吹きあげた。池原の突き刺した刺股が、脆弱を突き、巨大なクジラの内部からダメージを与えたようだ。
「さて、そろそろひよっこもいけるかな。おーいっ、あとはたのんだよー!」
池原は大声でそう告げた。彼女の下ごしらえとお膳立ては完了。あとは────
ピネスは地の底から湧き上がり漏出する巨大な魔力の流れに、良い期待感を募らせた。
ならば、向かってくる雑魚にこれ以上かまう意味はない。ピネスは翠のショートソードをその場の地へと突き立て、一気に貫いた。
「【ピネスっ……サンダーぁぁ!】──のォォ……【サクイチゲキ!!】」
雑魚は焼き焦げ、緑の雷柱は天へと昇り、テンションは昂る。
クリティカルからクリティカル。必殺のイチゲキを放つには十分な利用可能な質の良い魔力が、そこにはあった。
柱は次々と迸り湧き上がり、赤と緑のスーパースニーカーは崩れゆく地を蹴り飛び退く。
攻撃を加えながら魔力を存分にチャージした雷剣が、かつて黒騎士が見せたような綺麗な三日月の軌跡を描いていく。
描かれた三日月は宙を飛び、大口を開き吠えたクジラの腹のナカへと呑まれた。
生きる巨大な岩が尾をじたばたと打ち、崩壊していく──。
落雷が通ったようなヒビ割れは広がり、岩クジラは浦木幸が鋭く放った質を高めた雷撃のクリティカルで、ド派手に潮を吹きながら泥の涙を流しその終わりを迎えた。
「どっちが壊せるか競争だ、よっ!」
「そんな競争したことないっすけど!」
内側から緑に湧き上がるクリティカル、青く轟くクリティカル。池原とピネスの操る刺股と剣は次々と競い合うように、今突進してきた岩マジロの部隊にクリティカルのイチゲキを当然のように決めていく。
しかし敵もやられてばかりではない。知恵をしぼった岩マジロは丸々形態をぶつかる直前手前でとき、フェイントをかけた。
意表をつくモンスターの行動に人間たちがフリーズする。2人の虚をついた2匹の岩マジロはしてやったり、腕を広げ、体を大きく広げ、その場に静止したまま短い尻尾をふりふりとご機嫌である。
「だからなんなの、さー!」
「だからってなんなんだァァ!!」
2人はへんてこな行動をみせた間抜け顔の岩マジロを、容赦なく同時に倒した。
しかし先程の岩マジロの珍行動に気を取られてしまっていたのか、2人は突然降りかかってきた岩石流に呑まれた。
山頂のステージを寝そべり支配する巨大な岩クジラが、その尾を俊敏に地に打ちつけ、生じた数多の岩石の飛沫が広範囲に飛んでいった。
「よっ、よっ、よっ」
降りかかる岩石の雨それに天から滴る岩ツララ。岩クジラが寝そべりながらに放った広範囲魔法を、逆に宙の足場として利用し、その危険なアトラクションを飛び移りながら池原叉鬼は掻い潜っていく。
そして岩と石の階段を器用に上り、クジラのもつ硬い岩肌の背に素早く取り付くことに成功した。
「おわっと!? ──ふぅー……」
池原が伸ばした銀の刺股が、クジラの背の曲面から滑り落ちそうになっていた少年をひょいと掬い上げた。
「若いのにぃ?」
「ハァハァ……体育3なんでっ!」
そんな巨大クジラの背に乗り上げた2人の異物に対して、小魚が曲面を沿って猛スピードで泳ぎ迫って来た。
その小魚の頭部には金色の小判型の装甲がある、その自慢のアタマで敵をぶちかますつもりだ。
2人はそんなクジラと共生するコバンザメ部隊の猛追を、各々の武器で小判頭を砕き捌きながら、別々の方向へと別れた。
「空けるか【深緑ノ間欠泉】!!」
追手を崩し集中した池原は、岩肌の柔い部分に目星をつけ、そこに魔力を込めた刺股を思いっきり突き刺した。
すると計六箇所から、亀裂の入ったクジラの背は魔力迸る緑の潮を勢いよく吹きあげた。池原の突き刺した刺股が、脆弱を突き、巨大なクジラの内部からダメージを与えたようだ。
「さて、そろそろひよっこもいけるかな。おーいっ、あとはたのんだよー!」
池原は大声でそう告げた。彼女の下ごしらえとお膳立ては完了。あとは────
ピネスは地の底から湧き上がり漏出する巨大な魔力の流れに、良い期待感を募らせた。
ならば、向かってくる雑魚にこれ以上かまう意味はない。ピネスは翠のショートソードをその場の地へと突き立て、一気に貫いた。
「【ピネスっ……サンダーぁぁ!】──のォォ……【サクイチゲキ!!】」
雑魚は焼き焦げ、緑の雷柱は天へと昇り、テンションは昂る。
クリティカルからクリティカル。必殺のイチゲキを放つには十分な利用可能な質の良い魔力が、そこにはあった。
柱は次々と迸り湧き上がり、赤と緑のスーパースニーカーは崩れゆく地を蹴り飛び退く。
攻撃を加えながら魔力を存分にチャージした雷剣が、かつて黒騎士が見せたような綺麗な三日月の軌跡を描いていく。
描かれた三日月は宙を飛び、大口を開き吠えたクジラの腹のナカへと呑まれた。
生きる巨大な岩が尾をじたばたと打ち、崩壊していく──。
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