【R-18】異能幸運レアドロップでイキ抜く♡ピネスと校長の不気味なダンジョン冒険記Re:

山下敬雄

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「集めた……それがどうした。学校は生徒を集める場だ! 私がワタシの人生を好きにやったことだ、あの日出会った悪魔に魅入られてなどはいない! すこし変わった可愛い生徒たちのことをこの灰色の目をもってして、逆に利用してやって、ちゃんと凝らし見ているだけだ! それをなんだっ、慈悲深き神がまとめてくるめて一緒くたに厄介払いと言いたいのか?」

 急にトーンを変えた校長の放つ粗暴な言葉遣いにも、聞き通した黒髪の女神は動じない。

「ダンジョンのブックを集めることは、唯一残された、現世にとどまることの許されないあなたに課せられた使命です。だが、あなただけでは頼りなく、異能は特別なものであれど何もできない。だからこそ不黒文、あなたに絶対の信頼を寄せあなたをサポートする、そんな者たちが必要であると」

「ははははは唯一がこれとは何を勝手なことを言っている。それに細川、中川、三河、副島っっ私の可愛い男子生徒たち4人のことはどうなっている。これは痛い目を見た私の持つ確かな経験則だが、他者に勝手に押し付けるような分からぬ使命ほど呪いじみたものはないといえるぞ!」

「……こちらで彼らのことは預かっています。思い出してください、あなたが覚醒したその異能と夢のはざまで会った私の念体に最初に願ったように、彼らの魂はこちらで結んだ契約のもとに無事に保護されています。そちらにあるのは現身であり、魂が無事であればまた不黒文あなたの特別な異能でしっかりととどめた彼ら本来の現身へと……その異能が順調に成長しさえすれば戻すことができるでしょう。あなたが彼らの異能を一部使えるのは、肉体と魂の繋がりが失われていない。そういうことです」

「(契約だと……たしかに言われてみれば──)ふっふ、私の異能【ネクロマンシー】がまだまだ彼らを生き返らせ呼び起こすには未熟と言いたいのだな? そして次に、この見知らぬ隔離された異境、それに危険なダンジョンと知らぬ存ぜぬ余裕をかましているそちら側。どちらにも我々ブク高一同は挟まれるようにし、生きようが死のうがその魂を契約と名打ち囚われているということだな?」

「それは、──どう考えるかです」

「ふっ。なんだとぉ? 『どう考えるかです』……はははは、やはり……どう考えても────運悪く悪魔とダチになった校長、そしてその敬虔なるブク高の生徒たちに、その薄いいかがわしいブックとやらをなんの趣味か命を賭けてかき集めさせるというのは人に、大地に、生命に、信じるものに慈悲深き女神ガイア様のやることではないーー!!! さらによく見ればいつも拝んでいる石像様と、顔もヒップもおっとりさも全然ちがうなーー!!! あまりにも妄想と想像の斜め上、出てきたのはクソパッツンのビジュアル系黒髪日本神話だぁーーっ、一体何者だ! 買い叩く古本屋の店主ならただではレアな古書は売らないぞ! 即興の使命や、伊達や、酔狂や、アソビで世にもあぶないダンジョンの探索ができるか!!! できるというのか!!!」

 まるで機関銃。勝手に一人で盛り上がりヒートアップしていった不黒文のおしゃべりな口は、もはやしっちゃかめっちゃか訳が分からず。だが、ひどく失礼なことを怒涛の勢いで吠えるように放ちつづけた。

 やっと鳴りやんだ、お隣に座する女神へと向かった失礼な音の弾丸に────

「フッ。何者か……先ほどからひどく息巻き勘違いしているようですね。私は悪魔や天使神々、天界や魔界や現世、訳の分からない異境魔境のことなどッ、どうでもいい。常々こう思うのです……ただイチバン強き者が天に近づき勝ち進み天を戴き、弱きものは相応の可愛らしい振る舞いと熱のある声援を精一杯つづければいい。そうしていれば強き者が弱きを時に救い、そしてまた強き者がまた新たな灯に期待を寄せ、あれこれと教え構じるのは当たり前のこと。不黒文──私が興味があるのは、あなたの宣う思想や運の無い天界の定めた罪などではなく、あなたのその大悪魔の誘惑をも挫き、その灰色の瞳を己の一部にし取り込み活かしていくそのっ〝胆力〟です! そして私は特別を自称するそんなあなたに相応しい別の生きる術と、あなたを慕う子たちをその異能の輝ける闘いのステージへと導いたまで……使命などォ、黙ってその薄い嘴をひっこめて受け取っていなさいッッ!!! 我こそが天戴武天てんたいぶてんガイアのヌイ、この世界ガイアに集い争った強き者の頂天にただ独り君臨する真の炎!!! 私に矢をっ、槍をっ、嘴をっ、他愛無い不平不満を雨霰のように突き刺しぶつけ止められるものか!!! 止められるものがあるとするならばそれはさらなる強き炎、この身を焦がしひき裂くほどの異能・魔力・チカラのみ!!!」

 美しき女神にこれしきの口撃など効きやしない。対抗して激しく燃え盛る怒れるような炎の気と、勇ましすぎる女神の語気にあてられてしまったスペシャルさんは笑っている。────笑うしかなかった。いきすぎたからかいが引き起こし返ってきた、予想以上の美しきその熱気に。

「それが女神の本心とは、ふっふ、強火過ぎて明日に天地が焦げ付きでもしたら、ひっくり返さないとな」

「────本心? いいえ違います不黒文。天を知り、己を知り、天になりやっと己になり、見下ろす視野は果てなく広まれど振り下ろすこの拳は……なんとも狭いものです、それもまた真実。そしてまた今日、新たに台頭しつつある強きと闘い自由久々の汗を流しでもすれば、コインの表と裏は行ったり来たりひっくり返りもするのです。今の私の見ているあなたには罪も使命もない。そしてこれは元はカムリ村の闘士、ヌイからの命令です──もっともっとこのふざけたダンジョンとやらに、めげなく挑み、果てなく強くなりなさいッッ、才ある子たちをその優れた目で引き連れて!!!」

 立ち上がり、燃えていく。

 勇ましき女神の叫びに、起きた茶室のコカトリスはグラウンドへと羽ばたいた。

 手をつけるのも忘れられていたセムラの中のクリームは、天へと立ち昇るただならぬ魔力と熱気に溶けていく。

 ブク高の校長不黒文とカムリ村の闘士ヌイ、悪魔も女神もそこにはない。ただ強き者が大きな声で命令をした、才ある彼らがめげなくダンジョンに挑み果てなく強くなることを──────。
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