66 / 110
65
しおりを挟む
校舎内はあながち迷宮なのかもしれない。
ダンジョン行けない日はいつも不黒高校の校舎内を巡回、たるまずに風紀の維持に勤めるピンク髪の生徒がいる。
しかし、校内の巡回に慣れた風紀委員部部長の彼女でさえ、時に迷ってしまうほどに、知らぬ部屋や知らぬ雰囲気の廊下が増えていた。
「また勝手な改築をしているのですかぁ!? くぬぬぅー……仮眠室①仮眠室②、さん、しー、ご!? 多すぎなのです!? これじゃ仮眠じゃなくて爆睡のぐーたらなのーー!!?」
また誰かが勝手にこの学校の風紀をいじくったことは明らかである。毎日違う道を歩いているのは気のせいではない。
小角灯は、手製の校内地図を広げながら『くぬぬぬぬ』と唸り睨めっこし、また新たなルートを地図上の余白へと書き加えていく。校内地図作成も風紀委員部の仕事、彼女は部長として確認と訂正を怠ることはなかった。
「まったく誰なのですか! いっ、いかがわしい仮眠室をこんなにつくって! まったく……ぬ?」
見知らぬ廊下をぼやきながら歩いていると、小角は、ふと見つけた。
迷宮と化した学校は魔力宿る異物を感知し、天の電灯がまばらに点いた。
今立ち止まった小角の目に映るのは、スポットライトのようだ。暗がりの廊下の先、そこにいる誰か、何かを照らしつづけている。
廊下を走ってはいけない。だが、誰かが何かが倒れている場合にはそうとは言えない。
探偵帽をとばし、靡くピンク髪が、足音うるさく点滅する暗がりの廊下の先の明かりの元へと駆け寄っていく。
『ぱち、ぱち、ぱち』と音を鳴らし走るピンクの影を追うように点っていく電灯。暗がりの廊下を走り渡り、距離をあっという間に縮めていく。
そしてついに2つの明かりが隣り合った──。
息切らす小角は不思議にも、確かに見つけてしまった。
肌艶、その髪まで、透き通るように淡すぎてまるで幻かのようにも思えたが、確かにその存在は息をしている。
その邂逅は、きっと迷宮ちがい。迷い込んだそれが、不運とも幸運とも小角灯には分からない。
ただ、あの時、挑み激しく交わったそれだけの運命が、小角の見つめるそこに今静かに眠っていた。
寝転ぶそれが、戦う意志を宿しているようにも見えない。
弱々しく点滅していた明かりが、灯されたように濃く重なる。一つになった天のスポットライトは、ただただ静かに、道に迷った2人のことを照らし出す。
廊下に伏す砕けた黒い鎧は見覚えがある、淡く青白い月光のような長髪が微細なマナを纏い煌めいている。
イニシエランタンの灯火からやがて飛び出した赤い魚が、眠る彼女の冷たい肌を温めた────。
ダンジョン行けない日はいつも不黒高校の校舎内を巡回、たるまずに風紀の維持に勤めるピンク髪の生徒がいる。
しかし、校内の巡回に慣れた風紀委員部部長の彼女でさえ、時に迷ってしまうほどに、知らぬ部屋や知らぬ雰囲気の廊下が増えていた。
「また勝手な改築をしているのですかぁ!? くぬぬぅー……仮眠室①仮眠室②、さん、しー、ご!? 多すぎなのです!? これじゃ仮眠じゃなくて爆睡のぐーたらなのーー!!?」
また誰かが勝手にこの学校の風紀をいじくったことは明らかである。毎日違う道を歩いているのは気のせいではない。
小角灯は、手製の校内地図を広げながら『くぬぬぬぬ』と唸り睨めっこし、また新たなルートを地図上の余白へと書き加えていく。校内地図作成も風紀委員部の仕事、彼女は部長として確認と訂正を怠ることはなかった。
「まったく誰なのですか! いっ、いかがわしい仮眠室をこんなにつくって! まったく……ぬ?」
見知らぬ廊下をぼやきながら歩いていると、小角は、ふと見つけた。
迷宮と化した学校は魔力宿る異物を感知し、天の電灯がまばらに点いた。
今立ち止まった小角の目に映るのは、スポットライトのようだ。暗がりの廊下の先、そこにいる誰か、何かを照らしつづけている。
廊下を走ってはいけない。だが、誰かが何かが倒れている場合にはそうとは言えない。
探偵帽をとばし、靡くピンク髪が、足音うるさく点滅する暗がりの廊下の先の明かりの元へと駆け寄っていく。
『ぱち、ぱち、ぱち』と音を鳴らし走るピンクの影を追うように点っていく電灯。暗がりの廊下を走り渡り、距離をあっという間に縮めていく。
そしてついに2つの明かりが隣り合った──。
息切らす小角は不思議にも、確かに見つけてしまった。
肌艶、その髪まで、透き通るように淡すぎてまるで幻かのようにも思えたが、確かにその存在は息をしている。
その邂逅は、きっと迷宮ちがい。迷い込んだそれが、不運とも幸運とも小角灯には分からない。
ただ、あの時、挑み激しく交わったそれだけの運命が、小角の見つめるそこに今静かに眠っていた。
寝転ぶそれが、戦う意志を宿しているようにも見えない。
弱々しく点滅していた明かりが、灯されたように濃く重なる。一つになった天のスポットライトは、ただただ静かに、道に迷った2人のことを照らし出す。
廊下に伏す砕けた黒い鎧は見覚えがある、淡く青白い月光のような長髪が微細なマナを纏い煌めいている。
イニシエランタンの灯火からやがて飛び出した赤い魚が、眠る彼女の冷たい肌を温めた────。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
憧れのお姉さんは淫らな家庭教師
馬衣蜜柑
恋愛
友達の恋バナに胸を躍らせる教え子・萌音。そんな彼女を、美咲は優しく「大人の身体」へと作り替えていく。「ねえ萌音ちゃん、お友達よりも……気持ちよくしてあげる」眼鏡の家庭教師が教えるのは、教科書には載っていない「女同士」の極上の溶け合い方。
女性向け百合(レズビアン)R18小説。男性は出てきません。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる