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66 異常
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「────────なのです」
「なにっ? ふむ……見覚え……間違いはないか?」
「そうにちがいないの。校長先生……」
小角灯はすこし不安気な顔をしている。彼女の中の善悪の判断と、ブク高にとっての善悪、維持し正すべき失い乱すことのできない風紀。そのバランスを取ることが風紀委員部部長の彼女にはキャパシティを超え、困難になっていたようだ。
小角は、仮眠室のベッドの上へと、巡回中の廊下途中で見つけた〝問題〟を運び寝かせたものの、それで一応のバランスを取れたとは言えない。その問題が目覚めた時、あるいはこのまま目覚めず息絶えて消えた時に何が起こるのか分からない。風紀とは善と悪のバランスにより成り立つ、その大事にすべき繊細なバランスを今後取れる保証がどこにもないのだ。
それでも小角が今呼ばれてやって来た校長へと、自身が拾い運び込んだその問題について、気付いてしまったことを包み隠さず告げたのは、やはり、なんとかして欲しいと思ってしまったからだろう。
1-A小角灯生徒は、いっぱいいっぱいの様子だ。校長はそんな彼女の表情が物語る事の深刻さを、分からないはずなどない。
小角灯の取った選択──はたしてその行動が正しかったかどうか。それを見極める術をスペシャルな校長先生は知っている。
必死にやってくれた生徒のことを信頼できない校長などただのお飾り、この職務には頼られるだけの責任が伴う。生徒から第一に信頼されないようではまだまだ半人前の未熟、そして発されたその生徒からのSOSを簡単に見捨て見放すというのならば、その者は校長の座に着く資格はない。
不黒文校長は、生徒の両肩にしっかりと己の手を置き、その不安気な彼女の目を見つめながら深く頷いた。
「トモリー、何も要らぬ心配はいらない。分かった──全て私に任せておけ。このスペシャルなブク高のトップ、校長先生に!」
この右目を覆う眼帯はときに隠し、ときに脱ぎ捨てるもの。秘められし灰色の眼は、秘めて温めているだけでは役に立たない、何も視えやしない。
この目を持つからこそ、不黒文にはできることがある。
躊躇なくさらけ出した灰色の右眼が、より微細な魔力の流れを可視化し診断する。
さらに持ち込んで来ていた2冊目のタコイカサブ学習帳を右眼と併用し、宙へと開く。ばらばらと舞い散った白紙のページが、ベッドに黙り寝転ぶ者の体をまるで包帯のように巻きつき覆った。
張り付いた白紙のページがその透き通る肌から吸い上げるように情報を読み込む、そして凝らした眼を光らせる校長は、そこに魔力を注ぎ込み新たな印を書き込んでいく。
不黒文はしかと診る、────見る。
ブク高の小さな黒のブレザーを被せられていた裸体。持ち込まれてきた問題は異常ばかりだ。ならばその異常を全て取り除き、治す。
「そうか……死する者の扱いならばっ!! できぬほどでもない!!!」
不黒文には、それを根治できるチカラがある。この魔力に満ちた悪魔的なチカラを使いこなす、胆力がある。
淡い青髪と、静かに瞼を閉じた端正な顔立ちの生徒を、解放せし特別な瞳で────────。
「なにっ? ふむ……見覚え……間違いはないか?」
「そうにちがいないの。校長先生……」
小角灯はすこし不安気な顔をしている。彼女の中の善悪の判断と、ブク高にとっての善悪、維持し正すべき失い乱すことのできない風紀。そのバランスを取ることが風紀委員部部長の彼女にはキャパシティを超え、困難になっていたようだ。
小角は、仮眠室のベッドの上へと、巡回中の廊下途中で見つけた〝問題〟を運び寝かせたものの、それで一応のバランスを取れたとは言えない。その問題が目覚めた時、あるいはこのまま目覚めず息絶えて消えた時に何が起こるのか分からない。風紀とは善と悪のバランスにより成り立つ、その大事にすべき繊細なバランスを今後取れる保証がどこにもないのだ。
それでも小角が今呼ばれてやって来た校長へと、自身が拾い運び込んだその問題について、気付いてしまったことを包み隠さず告げたのは、やはり、なんとかして欲しいと思ってしまったからだろう。
1-A小角灯生徒は、いっぱいいっぱいの様子だ。校長はそんな彼女の表情が物語る事の深刻さを、分からないはずなどない。
小角灯の取った選択──はたしてその行動が正しかったかどうか。それを見極める術をスペシャルな校長先生は知っている。
必死にやってくれた生徒のことを信頼できない校長などただのお飾り、この職務には頼られるだけの責任が伴う。生徒から第一に信頼されないようではまだまだ半人前の未熟、そして発されたその生徒からのSOSを簡単に見捨て見放すというのならば、その者は校長の座に着く資格はない。
不黒文校長は、生徒の両肩にしっかりと己の手を置き、その不安気な彼女の目を見つめながら深く頷いた。
「トモリー、何も要らぬ心配はいらない。分かった──全て私に任せておけ。このスペシャルなブク高のトップ、校長先生に!」
この右目を覆う眼帯はときに隠し、ときに脱ぎ捨てるもの。秘められし灰色の眼は、秘めて温めているだけでは役に立たない、何も視えやしない。
この目を持つからこそ、不黒文にはできることがある。
躊躇なくさらけ出した灰色の右眼が、より微細な魔力の流れを可視化し診断する。
さらに持ち込んで来ていた2冊目のタコイカサブ学習帳を右眼と併用し、宙へと開く。ばらばらと舞い散った白紙のページが、ベッドに黙り寝転ぶ者の体をまるで包帯のように巻きつき覆った。
張り付いた白紙のページがその透き通る肌から吸い上げるように情報を読み込む、そして凝らした眼を光らせる校長は、そこに魔力を注ぎ込み新たな印を書き込んでいく。
不黒文はしかと診る、────見る。
ブク高の小さな黒のブレザーを被せられていた裸体。持ち込まれてきた問題は異常ばかりだ。ならばその異常を全て取り除き、治す。
「そうか……死する者の扱いならばっ!! できぬほどでもない!!!」
不黒文には、それを根治できるチカラがある。この魔力に満ちた悪魔的なチカラを使いこなす、胆力がある。
淡い青髪と、静かに瞼を閉じた端正な顔立ちの生徒を、解放せし特別な瞳で────────。
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