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解答時間15分、バトル会場は厳正なる審査の結果2-Dクラスルームにて、そして解答形式はお互いが得意だと豪語するマークシート式で。
生徒と校長、現役生として大人として教師として譲れないプライドを懸けた数学バトルは突然に────
⬜︎抜き打ち数学小テスト結果(100点満点)
2-D浦木幸 32点
校長不黒文 28点
⬜︎
「……っしゃーー! 勝った! 勝ったぞぉー!!」
重い、重かったその温めていた椅子を勢いよく後ろへと飛ばした。爆発するように喜び立ち上がっていたのは、2-D浦木幸。
通い慣れ座り慣れた2-Dの教室の自分の座席。彼にそのホームの利点があったからかどうかは分からない。しかし、強敵の校長先生を相手になんと4点差をつけこの数学バトルを制した。
2人のマークシートを回収したオレンジ髪の試験官は、後々起こりそうなクレーム対応のために一応もう一度2人の答案をざっと見比べ確認し直すも────両手をさっぱりと開き、軽く溜息をついた。
「なにこれ、馬鹿みたいな勝ち方。あとほんとにブク校の校長なの? 替え玉だったり?(どっちも勘でやってそう、マークシート)」
「うるさいっ学校の校長先生に数学などいるかぁ!!」
「「えぇ??」」
思わず声を揃える。校長先生の吐いたまさかの発言に、ピネスと木浪は2人して驚き困惑した。
しかし本気で負けたことが悔しそうに、机の上でプラチナ髪ががっくりと項垂れている。その様からも、逆に校長の本気度が窺えた此度の学力勝負であった。
「えぇ……っと、ま、何はともあれってことで。これで約束通り数学のテストは〝一生免除〟ですよね! せんせい!!」
「は? はーぬけずるっ、なんなのそれ? はぁ?」
「ずるくないさ、これは真剣勝負だからな!」
「なんであんたが校長みたいなしゃべり方になってんの」
『数学のテスト一生免除』まさかの悪魔のような契約を、ピネスは事前に校長と約束し取り付けていた。おおよそ彼が抜き打ちテストを受けるその代わりに、校長のことを挑発し同じ勝負の土俵へと上手く引き摺り出したのであろう。
ピネスは何故かクールぶった校長の口調を真似ている。勝ち取った大金星にテンションを高め、普段はやらない行動までとりだした。
その男子生徒の気分は見るからにるんるん、数学のテストのないこれからの学校生活への期待に胸を躍らせている。
「ぐぬぅー……ピっ、ピネスくん。それとこれとはまた別のうんたらかんたらのにとうへんさんかっけいのはじっこのかくどがかくかくしかじかでぇーだなぁはははは」
「え、嘘ついたんすか」
分からぬ呪文を唱えながら笑いおどけだした校長に対して、男子生徒の顔はなんともすんとも笑っていない。いつもならば愛想笑いや苦笑いの一つでも、髪を掻きながら浮かべているというのに。
それは学校の先生に向けてはいけない種類の目だ。教壇から事の次第を傍観していた木浪は、勝利の味をしめたピネスの豹変ぶりに苦笑する。
「ぎ、ぎくっ! ごほん!! ──うっ、嘘ではないぞ! だがアレだ……一度冷静に考えてみろピネスくぅん。イチ生徒であり現役生のキミと、校長というすんごい偉い立場の私が数学の小テストの点数で勝負など、うんたらかんたらのぴたごらすそれでもちきゅうはえんしゅうりついくぞっ3.1415926535────その目をやめたまえピネスくん。それは校長先生を今にも冷たい石に変えうるゴルゴンの目だ……はぁ……しかたがない。ここはキミの頑張りと、穴が開くほど私を見つめるそこまでのッ熱意を加味して特例で……」
「ダメなのーーーーー! エッチアイそんなズルは私が許さないのです!!」
「そうだぞ何を絶不調のふぅーちゃん相手の4点差ぐらいで、調子に乗っているゥゥゥこの不良男子が!!! よしこの神聖なる学舎で、校長先生にテストの免除などをもちかける悪知恵をはたらく不出来な生徒には、これから毎日抜きまくりの数学の小テストの刑決定だ!!! その私を欺き揶揄うほどに振り絞り使った頭の知恵を、存分に勉学の方へと向け活かしたまえーはっはっはっふっふーーーー!!!」
男子生徒から突き刺さるその痛いゴルゴンアイに耐えながらも、校長がぼそぼそ唱えていたのはくだらない呪文でも覚える意味のない円周率でもない。机の下でブラインド入力したスマホから、ふぅーちゃんのおともだちを召喚──。
急に2-Dの教室に現れた風紀委員部部長の威を借りて、萎れていたはずの校長の威厳と威勢はどさくさに乗じて復活した。
校長はいいようにやられて溜まっていたフラストレーションを即座に爆発させた。さっきまではあったはずのしおらしさの欠片も今はない。堂々と面を上げた不黒文の突然の反撃、口撃が止まらない。ついには不届きもののその男へ刑を科すまで。
「ぬぇ!? なんでコズミが!? えは!? 数学が毎日ぃ!? 刑!?? ぬっぬきま……くり……なんだそれぇ!?? そんなりふじ……勝ったのはお」
「覚悟するのです!!!」
「覚悟したまえ!!!」
「覚悟なんじゃん」
「うそだろーーーーーー!!!」
幻の勝利に調子に乗った末、己が劣勢になったことにまだ気付かないそんな愚鈍な彼に味方する者はここにはもういない。
ピンク、プラチナ、オレンジ髪の女子たちは、3人揃って指を差し、彼にとっては重すぎる毎日数学の刑を下した。
生徒と校長、現役生として大人として教師として譲れないプライドを懸けた数学バトルは突然に────
⬜︎抜き打ち数学小テスト結果(100点満点)
2-D浦木幸 32点
校長不黒文 28点
⬜︎
「……っしゃーー! 勝った! 勝ったぞぉー!!」
重い、重かったその温めていた椅子を勢いよく後ろへと飛ばした。爆発するように喜び立ち上がっていたのは、2-D浦木幸。
通い慣れ座り慣れた2-Dの教室の自分の座席。彼にそのホームの利点があったからかどうかは分からない。しかし、強敵の校長先生を相手になんと4点差をつけこの数学バトルを制した。
2人のマークシートを回収したオレンジ髪の試験官は、後々起こりそうなクレーム対応のために一応もう一度2人の答案をざっと見比べ確認し直すも────両手をさっぱりと開き、軽く溜息をついた。
「なにこれ、馬鹿みたいな勝ち方。あとほんとにブク校の校長なの? 替え玉だったり?(どっちも勘でやってそう、マークシート)」
「うるさいっ学校の校長先生に数学などいるかぁ!!」
「「えぇ??」」
思わず声を揃える。校長先生の吐いたまさかの発言に、ピネスと木浪は2人して驚き困惑した。
しかし本気で負けたことが悔しそうに、机の上でプラチナ髪ががっくりと項垂れている。その様からも、逆に校長の本気度が窺えた此度の学力勝負であった。
「えぇ……っと、ま、何はともあれってことで。これで約束通り数学のテストは〝一生免除〟ですよね! せんせい!!」
「は? はーぬけずるっ、なんなのそれ? はぁ?」
「ずるくないさ、これは真剣勝負だからな!」
「なんであんたが校長みたいなしゃべり方になってんの」
『数学のテスト一生免除』まさかの悪魔のような契約を、ピネスは事前に校長と約束し取り付けていた。おおよそ彼が抜き打ちテストを受けるその代わりに、校長のことを挑発し同じ勝負の土俵へと上手く引き摺り出したのであろう。
ピネスは何故かクールぶった校長の口調を真似ている。勝ち取った大金星にテンションを高め、普段はやらない行動までとりだした。
その男子生徒の気分は見るからにるんるん、数学のテストのないこれからの学校生活への期待に胸を躍らせている。
「ぐぬぅー……ピっ、ピネスくん。それとこれとはまた別のうんたらかんたらのにとうへんさんかっけいのはじっこのかくどがかくかくしかじかでぇーだなぁはははは」
「え、嘘ついたんすか」
分からぬ呪文を唱えながら笑いおどけだした校長に対して、男子生徒の顔はなんともすんとも笑っていない。いつもならば愛想笑いや苦笑いの一つでも、髪を掻きながら浮かべているというのに。
それは学校の先生に向けてはいけない種類の目だ。教壇から事の次第を傍観していた木浪は、勝利の味をしめたピネスの豹変ぶりに苦笑する。
「ぎ、ぎくっ! ごほん!! ──うっ、嘘ではないぞ! だがアレだ……一度冷静に考えてみろピネスくぅん。イチ生徒であり現役生のキミと、校長というすんごい偉い立場の私が数学の小テストの点数で勝負など、うんたらかんたらのぴたごらすそれでもちきゅうはえんしゅうりついくぞっ3.1415926535────その目をやめたまえピネスくん。それは校長先生を今にも冷たい石に変えうるゴルゴンの目だ……はぁ……しかたがない。ここはキミの頑張りと、穴が開くほど私を見つめるそこまでのッ熱意を加味して特例で……」
「ダメなのーーーーー! エッチアイそんなズルは私が許さないのです!!」
「そうだぞ何を絶不調のふぅーちゃん相手の4点差ぐらいで、調子に乗っているゥゥゥこの不良男子が!!! よしこの神聖なる学舎で、校長先生にテストの免除などをもちかける悪知恵をはたらく不出来な生徒には、これから毎日抜きまくりの数学の小テストの刑決定だ!!! その私を欺き揶揄うほどに振り絞り使った頭の知恵を、存分に勉学の方へと向け活かしたまえーはっはっはっふっふーーーー!!!」
男子生徒から突き刺さるその痛いゴルゴンアイに耐えながらも、校長がぼそぼそ唱えていたのはくだらない呪文でも覚える意味のない円周率でもない。机の下でブラインド入力したスマホから、ふぅーちゃんのおともだちを召喚──。
急に2-Dの教室に現れた風紀委員部部長の威を借りて、萎れていたはずの校長の威厳と威勢はどさくさに乗じて復活した。
校長はいいようにやられて溜まっていたフラストレーションを即座に爆発させた。さっきまではあったはずのしおらしさの欠片も今はない。堂々と面を上げた不黒文の突然の反撃、口撃が止まらない。ついには不届きもののその男へ刑を科すまで。
「ぬぇ!? なんでコズミが!? えは!? 数学が毎日ぃ!? 刑!?? ぬっぬきま……くり……なんだそれぇ!?? そんなりふじ……勝ったのはお」
「覚悟するのです!!!」
「覚悟したまえ!!!」
「覚悟なんじゃん」
「うそだろーーーーーー!!!」
幻の勝利に調子に乗った末、己が劣勢になったことにまだ気付かないそんな愚鈍な彼に味方する者はここにはもういない。
ピンク、プラチナ、オレンジ髪の女子たちは、3人揃って指を差し、彼にとっては重すぎる毎日数学の刑を下した。
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