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上からなにかゴロゴロと音がする────。そんな腹の虫が天のおへそから鳴るほどの期待感に、笑いながら4人と1匹のパーティーは廊下を進んだ。
るんるんの足取りで調理室まで辿り着いたお嬢様らの一行は、保冷バッグに詰めた白いキューブ状のものを三角頭巾を被った食事班の女子生徒へと預けた。
ブラッシングをしていたドツジの体からぽろっと手に入れた未知の食材はやはり、未知のきのこと同じように〝お焼き〟にしてみることにした。
執事のタガヤを助手にした食事班の緒方が調理場を主導する。塩胡椒で下味をつけた薄切り肉をフライパンでしっかりと焼き、さっそく試食した。
一切れいただき……もう一切れ……。
味わう舌の上と飲み込んだ胃の底で考えた末に、試食役を買って出た男は親指を立てた。
そんな男子につづいてか、毒見しようとした執事よりも早く、待ちきれないシタンお嬢様も──。
一切れいただき……もう一切れ……。
もう一切れの一切れ………。
シタンはピネスと同じくサムズアップする。そんな試食役の2人は、親指を立て合い、もぐもぐ、うんうんと、咀嚼しながら頷き合っている。
淡泊でやわらかく、脂ののったコクもある、それでいて甘くていい香草のかおりがする。
食に関して信頼のおける緒方とタガヤ2人も次いで試食をし、そのように未知の食材【ドツジの肉】の肉質を分析した。
その精緻な分析結果を耳に聞き、もう一度試食をしたピネス、シタン、登別の3人は、親指をまた黙ってサムズアップし応えた。
持つ舌はそれぞれ、うまく言語化できなくても、良いお肉だということが数回の試食でも存分に分かった。
臭みを消す必要もなく肉はかなり上質。さすれば焼肉にするだけでも十分なご馳走である。後は火の通し方と調味料しだいだと、これまでの結果をまとめた緒方の意見にタガヤは同意するように頷いた。
栄養バランスとカロリーを考え、ハーブとほうれん草とドライフルーツを混ぜ合わせた餌、それとミルクを注いだ深皿を別々にドツジに与える。
肉の提供者のドツジにも神獣のごとき扱いでお供物を奮発しながら、ニンゲンたちの試食会は始まっていた。
どんな焼き加減、何の調味料が一番このお肉に合うのか、何かまずい食い合わせがあるのか。ブク校の皆にこの食材を使った料理を提供する前に、ぜひとも確かめなければならない大事な0ステップ目がある。
そのためにもここに居合わせた5人でアンケートを取りながら、このまま残りのドツジの肉1ブロックごと試食する。そんな独占欲と罪悪感を感じさせない登別の考案した提案に、反対意見は微塵も出てこなかった。4人が同時に頷き始まったスペシャルな事前試食会。
その各々の舌に責任感を持ち、いい焼け音に涎をぐっと飲み込む。
お好みは色々あれど、焼き加減はまずはミディアムで。5人が囲うホットプレート上にあるのは幻ではない、脂を光らせ滴らせ良い焼き目のついた良いお肉。
震える箸使いで一枚ずつそっとつまみ、今、5人一斉に第1のタレをからめた。
るんるんの足取りで調理室まで辿り着いたお嬢様らの一行は、保冷バッグに詰めた白いキューブ状のものを三角頭巾を被った食事班の女子生徒へと預けた。
ブラッシングをしていたドツジの体からぽろっと手に入れた未知の食材はやはり、未知のきのこと同じように〝お焼き〟にしてみることにした。
執事のタガヤを助手にした食事班の緒方が調理場を主導する。塩胡椒で下味をつけた薄切り肉をフライパンでしっかりと焼き、さっそく試食した。
一切れいただき……もう一切れ……。
味わう舌の上と飲み込んだ胃の底で考えた末に、試食役を買って出た男は親指を立てた。
そんな男子につづいてか、毒見しようとした執事よりも早く、待ちきれないシタンお嬢様も──。
一切れいただき……もう一切れ……。
もう一切れの一切れ………。
シタンはピネスと同じくサムズアップする。そんな試食役の2人は、親指を立て合い、もぐもぐ、うんうんと、咀嚼しながら頷き合っている。
淡泊でやわらかく、脂ののったコクもある、それでいて甘くていい香草のかおりがする。
食に関して信頼のおける緒方とタガヤ2人も次いで試食をし、そのように未知の食材【ドツジの肉】の肉質を分析した。
その精緻な分析結果を耳に聞き、もう一度試食をしたピネス、シタン、登別の3人は、親指をまた黙ってサムズアップし応えた。
持つ舌はそれぞれ、うまく言語化できなくても、良いお肉だということが数回の試食でも存分に分かった。
臭みを消す必要もなく肉はかなり上質。さすれば焼肉にするだけでも十分なご馳走である。後は火の通し方と調味料しだいだと、これまでの結果をまとめた緒方の意見にタガヤは同意するように頷いた。
栄養バランスとカロリーを考え、ハーブとほうれん草とドライフルーツを混ぜ合わせた餌、それとミルクを注いだ深皿を別々にドツジに与える。
肉の提供者のドツジにも神獣のごとき扱いでお供物を奮発しながら、ニンゲンたちの試食会は始まっていた。
どんな焼き加減、何の調味料が一番このお肉に合うのか、何かまずい食い合わせがあるのか。ブク校の皆にこの食材を使った料理を提供する前に、ぜひとも確かめなければならない大事な0ステップ目がある。
そのためにもここに居合わせた5人でアンケートを取りながら、このまま残りのドツジの肉1ブロックごと試食する。そんな独占欲と罪悪感を感じさせない登別の考案した提案に、反対意見は微塵も出てこなかった。4人が同時に頷き始まったスペシャルな事前試食会。
その各々の舌に責任感を持ち、いい焼け音に涎をぐっと飲み込む。
お好みは色々あれど、焼き加減はまずはミディアムで。5人が囲うホットプレート上にあるのは幻ではない、脂を光らせ滴らせ良い焼き目のついた良いお肉。
震える箸使いで一枚ずつそっとつまみ、今、5人一斉に第1のタレをからめた。
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