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斜め読みした新聞の見出しにあった通りに、キューブモンスターずの仲間と考えられるドツジを連れて、校舎外のグラウンドへとピネスと木浪は共にやってきた。
確かにいろんなモンスターたちが、グラウンドでブク校の生徒たちと走り回り遊んでいる。
遠目からそんな賑やかな光景を並び立ち止まり観察していたピネスと木浪は、この牧歌的かつファンタジーじみた光景を、まずはどこから攻めようかと考えたが──。
ひとり、いやひとりと2匹。大衆の中でも目立つモンスターの飼い主がいることにすぐに気づいた。
『jjj、メタルj~! こっちだこっちー、ふっふーー!』
本当によく通る声だ、ひどく耳に馴染むそんな声の持ち主は一人しかいない。頷いたピネスと木浪の2人は、モンスターたちと遊ぶそのプラチナ髪のお方の元へと駆け寄った。
校長が緑と銀色の子猫と遊んでいた。ピネスがみどりのダンジョン70Fの階層主として倒した、いつぞやの【ジャカジャカジャングルジャガー】と【ジャカジャカメタルジャガー】の小さい版が、校長に餌付けされながらまた遠くへお投げられたフリスビーを元気に追っている。
フリスビーをえらく遠くまで投げ終えた不黒文は、近寄ってくるピネスたちの姿に気付いたようだ。
不黒文校長は、木浪に特上キャットフード(うなぎ味)をつめた餌袋を預けた。
▼
▽
「やはりこの辺でそろそろシステムをフル活用し、ふぅーちゃん魔獣軍団をパワーアップさせる必要があってだな。天の許しを得て一旦このようになった次第だ」
「あのぉ……正直言ってまったく分からないんすけど……。あぁー。まずなんで羊が四角い次第なのかを??」
「フッフ、【合成魔獣】という言葉を知っているか」
「ごうせいまじゅー……なんすかそれ?」
「2体のモンスター同士を合成し、新たな1体を生み出すあの魅力あるシステムのことだ。キミも少しはゲームをするのならそれぐらいは知っているだろう?」
「え、モンスターを……ごうせいってなに? そんなの、え? 知らないっすけど? モンスターを……そんなことしたら勇者が困るんじゃ……?」
「このたわけ、やはりキミはパラクエ1と2あたりで知識が止まっているのか? ──分かった、どうやらキミのゲームの成績が限りなく〝1か2〟どまりのようだとな。はっはっは」
「ゲームの成績が1か2って……別にその成績は低くてもいんすけど、で結局〝ごうせい〟って一体全体どういうことウをっっ!??」
ピネスが【合成魔獣】なる自分の知らないシステムについて、校長に詳しく話を聞き出そうとしていたところ──突如、尻にひやっとする違和感が走った。
ピネスが腰掛けていた石の立方体の簡易椅子が、勝手に宙へとゆっくり、浮き上がり出した。
「これはロックキューブ、キミも《ちゃいろのダンジョン》でよく見かけたろ? そしてこっちが鶏ちゃん6号」
ピネスと同種の四角い簡易椅子に座る不黒文の膝上へと、羽ばたきやってきたコカトリス。その鳥は鶏ちゃん6号という名前らしいが、残る1~5号の見分けはピネスにはつかないみたいだ。
「【ロックキューブ】たす【コカトリス】、イコール?」
「え?? ぅーー……まず邪魔なロックキューブを先にたおしてぇうわっっ!?」
「たわけ、いつの時代の経験値にしか目がない勇者だ。まだモンスターの合成、そしてお仲間機能が、キミの頭にはインプットされていないようだな、ははは。つまりこれだ──」
人間の言葉が分かったとでもいうのか、怒ったロックキューブがいきなり回転運動を始めた。失礼な尻を乗せていたピネスは、宙から地へと落とされた。
そして、情けなく転げながらもピネスが見上げると、校長先生の両手には四角い白いものが乗せられていた。
されど、落下し、くらくらした頭のピネスにはまだ鈍感にも分からないようだ。その四角い白に、一体なんの意味があるのかを。
「これはコカトリスの卵だ」
「あぁーコカトリスの……え、これが!? た・ま・ご……? なんか、だからさァ、しかくく……ねっ?(この台詞今日二回目のような?)」
「ふっふ、あぁ。そこでさっき言った数学の問題の復習だ。【ロックキューブ】+【コカトリス】=!!!」
「しっ、しかくい……コカトリス?」
「大正解だ!! ピネスくんはかしこいなぁーーはっはっは」
校長の高笑いとともに羽ばたいた一羽のコカトリスは、空いていた宙に浮くロックキューブの上に羽を休める。そして見事正解したご褒美に、ピネスは四角い卵を校長からその転んだ両手に預けられた。
⬜︎キューブモンスターず(略称CM)情報
ロックキューブ+コカトリス=CMコカトリス
全てはここからはじまった。
ロックキューブの平らですべすべな上面がすっかりお気に入りのポジションであった鶏ちゃん6号。
そんな魔力の波長の合うロックキューブの上で、すやすやと羽を休めながら、ある日ぽろっと産み落としたその卵は四角かった。
当然四角い卵から生まれきたモンスターも、校長の目論見どおり、四角い。
さっそく生まれてきたその四角いコカトリスを足がかりに、次々と四角いコカトリスと他のモンスター同士の友好度を上げ、異なる魔力を混ぜ合わせた合成卵を産ませつづけた。
ふぅーちゃん魔獣軍団に属する中で、最も主の不黒文に対して、温厚で従順な鶏ちゃん6号。
その6号の血をひく合成卵から孵化したモンスターたちは皆、とても賢く、大人しく、可愛く四角く育ったのであった。
これら四角い形をした種の特別なモンスターたちは、【キューブモンスターず(CM)】と、この合成魔獣プロジェクトの企画者の校長により、センスよく名付けられた。
⬜︎
「これが合成……マちょっ!? くっ、くるなーー!!」
倒れたピネスの背中には、さっき怒ったロックキューブがどすりと落ち腰を掛け返す。さらにその上にはコカトリスが乗り、まるで組体操をしているようにも見える。
そしてさらに、地に這いつくばるそんな下敷きにされた男の顔を目掛けて、とことこ駆け寄り舐めにきた2匹の子猫と1匹の子羊。
ピネスの持つ魔力と顔面がそんなに美味しいのか、集ったモンスターたちはじゃれることをなかなかやめない。
始まった騒がしいモンスターのマーチ。その頂点でコカトリスが美しい白翼を広げた。『コッコッコ、にゃーにゃー、どすんどすん』と奏でるとても賑やかな鳴き声の合唱に────
「ハッハッハ、いつの時代も勇者はモンスターになつかれるものだな。──ところでさっきから、この仔ヤギはなにを言っているんだ??」
『さジぃ~~ゴっ、ゴじ~~さァァっ♪』
ヤギなのか羊なのか、そんなことよりも──なんだかおかしい……。その白いモンスターの変わった鳴き方に、校長が不思議そうに疑問を呈した。
「おいこれ……」
「はーぬけなにやってんの」
「おいっ、俺が50なんてとれるか!」
「だから何いってんの」
「あっ! おまっ、おれをっ!!」
「はっっはーーーーん、なるほどなるほど……。これはあ・と・で、詳しく話のほどを聞かせてもらうことになるな。ふっふ、つづきはその厚いツラを綺麗に舐め終わりしだい、校長室でなピネスくぅん♡?」
ヤギか羊か半分か。ドツジにむしゃむしゃと食わせた小テストは、しっかりとその素晴らしい点数までも残さず栄養となり、愛らしい変わった鳴き声で飼い主のことを呼んでいる。
このあと校長室に連行されたピネスと木浪の2人は、まとめて通常の3倍の量の数学の小テストを受けるはめになった。
⬜︎ブク高TOPニュース
★ヤギヒツジモンスターの【ドツジ】には、大事な情報や恥ずかしい秘密を書かれた餌を、シュレッダー代わりに食べさせることはやめよう♡
完全犯罪はおろか、完全お見通しであるめぇ~~♪
★モンスター食に進展!? その四角い秘密とは!?
《週刊PR》やめよう、ズル。学ぼう、数学。
⬜︎
確かにいろんなモンスターたちが、グラウンドでブク校の生徒たちと走り回り遊んでいる。
遠目からそんな賑やかな光景を並び立ち止まり観察していたピネスと木浪は、この牧歌的かつファンタジーじみた光景を、まずはどこから攻めようかと考えたが──。
ひとり、いやひとりと2匹。大衆の中でも目立つモンスターの飼い主がいることにすぐに気づいた。
『jjj、メタルj~! こっちだこっちー、ふっふーー!』
本当によく通る声だ、ひどく耳に馴染むそんな声の持ち主は一人しかいない。頷いたピネスと木浪の2人は、モンスターたちと遊ぶそのプラチナ髪のお方の元へと駆け寄った。
校長が緑と銀色の子猫と遊んでいた。ピネスがみどりのダンジョン70Fの階層主として倒した、いつぞやの【ジャカジャカジャングルジャガー】と【ジャカジャカメタルジャガー】の小さい版が、校長に餌付けされながらまた遠くへお投げられたフリスビーを元気に追っている。
フリスビーをえらく遠くまで投げ終えた不黒文は、近寄ってくるピネスたちの姿に気付いたようだ。
不黒文校長は、木浪に特上キャットフード(うなぎ味)をつめた餌袋を預けた。
▼
▽
「やはりこの辺でそろそろシステムをフル活用し、ふぅーちゃん魔獣軍団をパワーアップさせる必要があってだな。天の許しを得て一旦このようになった次第だ」
「あのぉ……正直言ってまったく分からないんすけど……。あぁー。まずなんで羊が四角い次第なのかを??」
「フッフ、【合成魔獣】という言葉を知っているか」
「ごうせいまじゅー……なんすかそれ?」
「2体のモンスター同士を合成し、新たな1体を生み出すあの魅力あるシステムのことだ。キミも少しはゲームをするのならそれぐらいは知っているだろう?」
「え、モンスターを……ごうせいってなに? そんなの、え? 知らないっすけど? モンスターを……そんなことしたら勇者が困るんじゃ……?」
「このたわけ、やはりキミはパラクエ1と2あたりで知識が止まっているのか? ──分かった、どうやらキミのゲームの成績が限りなく〝1か2〟どまりのようだとな。はっはっは」
「ゲームの成績が1か2って……別にその成績は低くてもいんすけど、で結局〝ごうせい〟って一体全体どういうことウをっっ!??」
ピネスが【合成魔獣】なる自分の知らないシステムについて、校長に詳しく話を聞き出そうとしていたところ──突如、尻にひやっとする違和感が走った。
ピネスが腰掛けていた石の立方体の簡易椅子が、勝手に宙へとゆっくり、浮き上がり出した。
「これはロックキューブ、キミも《ちゃいろのダンジョン》でよく見かけたろ? そしてこっちが鶏ちゃん6号」
ピネスと同種の四角い簡易椅子に座る不黒文の膝上へと、羽ばたきやってきたコカトリス。その鳥は鶏ちゃん6号という名前らしいが、残る1~5号の見分けはピネスにはつかないみたいだ。
「【ロックキューブ】たす【コカトリス】、イコール?」
「え?? ぅーー……まず邪魔なロックキューブを先にたおしてぇうわっっ!?」
「たわけ、いつの時代の経験値にしか目がない勇者だ。まだモンスターの合成、そしてお仲間機能が、キミの頭にはインプットされていないようだな、ははは。つまりこれだ──」
人間の言葉が分かったとでもいうのか、怒ったロックキューブがいきなり回転運動を始めた。失礼な尻を乗せていたピネスは、宙から地へと落とされた。
そして、情けなく転げながらもピネスが見上げると、校長先生の両手には四角い白いものが乗せられていた。
されど、落下し、くらくらした頭のピネスにはまだ鈍感にも分からないようだ。その四角い白に、一体なんの意味があるのかを。
「これはコカトリスの卵だ」
「あぁーコカトリスの……え、これが!? た・ま・ご……? なんか、だからさァ、しかくく……ねっ?(この台詞今日二回目のような?)」
「ふっふ、あぁ。そこでさっき言った数学の問題の復習だ。【ロックキューブ】+【コカトリス】=!!!」
「しっ、しかくい……コカトリス?」
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校長の高笑いとともに羽ばたいた一羽のコカトリスは、空いていた宙に浮くロックキューブの上に羽を休める。そして見事正解したご褒美に、ピネスは四角い卵を校長からその転んだ両手に預けられた。
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ロックキューブ+コカトリス=CMコカトリス
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ロックキューブの平らですべすべな上面がすっかりお気に入りのポジションであった鶏ちゃん6号。
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「これが合成……マちょっ!? くっ、くるなーー!!」
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『さジぃ~~ゴっ、ゴじ~~さァァっ♪』
ヤギなのか羊なのか、そんなことよりも──なんだかおかしい……。その白いモンスターの変わった鳴き方に、校長が不思議そうに疑問を呈した。
「おいこれ……」
「はーぬけなにやってんの」
「おいっ、俺が50なんてとれるか!」
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「あっ! おまっ、おれをっ!!」
「はっっはーーーーん、なるほどなるほど……。これはあ・と・で、詳しく話のほどを聞かせてもらうことになるな。ふっふ、つづきはその厚いツラを綺麗に舐め終わりしだい、校長室でなピネスくぅん♡?」
ヤギか羊か半分か。ドツジにむしゃむしゃと食わせた小テストは、しっかりとその素晴らしい点数までも残さず栄養となり、愛らしい変わった鳴き声で飼い主のことを呼んでいる。
このあと校長室に連行されたピネスと木浪の2人は、まとめて通常の3倍の量の数学の小テストを受けるはめになった。
⬜︎ブク高TOPニュース
★ヤギヒツジモンスターの【ドツジ】には、大事な情報や恥ずかしい秘密を書かれた餌を、シュレッダー代わりに食べさせることはやめよう♡
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