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95 熱砂と星と校内トラブル
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《17-D階層 星の視聴覚室》にて──。
合わせて全面モニターとでもいうのか。ツギハギされたパネルの数々は、月面のような見知らぬ星上の地と黒い宇宙の空を描写している。
しかし独り迷いこんだ高校生男子には、この辺りを覆う異質なステージの飾りよりももっと、おかしく気になることがある。クエスチョンマークとビックリマークを交互に頭に浮かべながら、遭遇したその宇宙人とも言えない未知の存在と戦わなければならない。
ふと道端、侵入した部屋で出会えば両者は戦闘になる、そんなことはダンジョンでは常識かもしれない。
だが、ピネスにとって考えの読めない敵や理不尽に振り回されることはこれまでの経験上多いものだが、ポケットに両手を突っ込みながら戦うこれほどまでに考えと動きの読めない珍種の敵と出会ったのは、初めてのことである。
「なんだ……こいつ……」
星のサングラスをかけた男は足だけで器用に戦っている。しかし繰り出されるその脚技は油断ならない。タガヤや用務員のように、自分にはない熟練のものであると、受けては目の当たりに経験していく。
ピネスは刃で次々に視界に来たる靴底の攻撃を受け止め、退がりながらももう一度態勢を整え、構えた。
「星は、────いかがかな?」
前かがみにこちらを覗き込むような姿勢、さらにカウボーイがよく履く黄土色の革製チャップス、そのポッケに手を深く突っ込みながら、ふざけた男は問う。
そう何度もかれこれ、ふざけた男はしつこくも問うもので。もはや構える高校生の剣は無言……切先を向けたまま動じない。
その無言の返答をじっくりとサングラス越しに見たふざけた男は、靴底に星のマークの描かれた自分の右足を、まるで弾丸のように勢いを走らせ飛び出させた。
実物の銃も弾丸もいらない。そんな速さで標的へと一直線に向かい迫った、ウエスタンブーツの靴底の星マークは────
緋色にフラストレーションを爆発させ、もろとも斬り叩き吹き飛ばされた。
失礼に伸び迫った弾丸の星足に対し、剣から突如とした湧き出た爆弾が直撃した。起こる大きな衝撃と爆風に、周囲のモニターがところどころ破壊された。
壊れた天地のモニター、灰色の砂嵐の音色が、足裏と刃を合わせ離れた2人のつくる静寂に流れていく……。
「わりぃけど、星も何もいらねぇからヤル気ねぇならそこ、──どいてくれ」
ピネスは吹き飛ばしたソイツを睨んだ。星のサングラスが斜めにズレた男に対して、昂る勢いに任せて言を放った。
まるで自分だけがこの星にいないような軽さ、おどけた薄さ、殺気の薄さ。
ピネスがここまでの戦いを通して感じ取れたことは、人とはどこか違う殺気の淡さと、あまり敵対心を感じない水のような奇妙な魔力、それだけだが、このふざけた男のことをノートに書きまとめるように明確に言い表す必要もない。
遭遇したどこぞの星のミステリーなどにかまけている暇などない。やる気のない敵には付き合わない。この先を急ぐことの方がピネスにとって優先すべき大事なことであった。
「ん~~……んっん~~~~? ……ホっ、ホハハハ……そういうわけにも……いーーーーかないっ!! ナラバのナラバ、────星をあ~~げようッ!!!」
「……! だからッいらねぇ! っておわっ!??」
星の男はなぜだか若者に冷たく凄まれて、逆に上機嫌に言葉を口ずさんだ。熱い爆風を浴びズレていた目元のサングラスをおもむろに掛け直す──。
すると突っ込んでいたままの両手では失礼だと判断したのか、突如するりと解放したポッケからは──星だらけ。
不思議な男が両手を広げながら、秘めていたその技と魔力を大解放する。ポケットに詰め込めないほどの量の流星群の手裏剣が辺り一面を支配し舞う。
ふざけた言動、ふざけた格好、ふざけた星型のサングラスの男に、勝手にテンションを高め実力を認められてしまったピネス。
剣を構える彼の身を、飛ぶ星々が眩しく瞬きながら破茶滅茶に襲った────勝手な星男が鎮座するこの先を勝手に通ることはできない。
合わせて全面モニターとでもいうのか。ツギハギされたパネルの数々は、月面のような見知らぬ星上の地と黒い宇宙の空を描写している。
しかし独り迷いこんだ高校生男子には、この辺りを覆う異質なステージの飾りよりももっと、おかしく気になることがある。クエスチョンマークとビックリマークを交互に頭に浮かべながら、遭遇したその宇宙人とも言えない未知の存在と戦わなければならない。
ふと道端、侵入した部屋で出会えば両者は戦闘になる、そんなことはダンジョンでは常識かもしれない。
だが、ピネスにとって考えの読めない敵や理不尽に振り回されることはこれまでの経験上多いものだが、ポケットに両手を突っ込みながら戦うこれほどまでに考えと動きの読めない珍種の敵と出会ったのは、初めてのことである。
「なんだ……こいつ……」
星のサングラスをかけた男は足だけで器用に戦っている。しかし繰り出されるその脚技は油断ならない。タガヤや用務員のように、自分にはない熟練のものであると、受けては目の当たりに経験していく。
ピネスは刃で次々に視界に来たる靴底の攻撃を受け止め、退がりながらももう一度態勢を整え、構えた。
「星は、────いかがかな?」
前かがみにこちらを覗き込むような姿勢、さらにカウボーイがよく履く黄土色の革製チャップス、そのポッケに手を深く突っ込みながら、ふざけた男は問う。
そう何度もかれこれ、ふざけた男はしつこくも問うもので。もはや構える高校生の剣は無言……切先を向けたまま動じない。
その無言の返答をじっくりとサングラス越しに見たふざけた男は、靴底に星のマークの描かれた自分の右足を、まるで弾丸のように勢いを走らせ飛び出させた。
実物の銃も弾丸もいらない。そんな速さで標的へと一直線に向かい迫った、ウエスタンブーツの靴底の星マークは────
緋色にフラストレーションを爆発させ、もろとも斬り叩き吹き飛ばされた。
失礼に伸び迫った弾丸の星足に対し、剣から突如とした湧き出た爆弾が直撃した。起こる大きな衝撃と爆風に、周囲のモニターがところどころ破壊された。
壊れた天地のモニター、灰色の砂嵐の音色が、足裏と刃を合わせ離れた2人のつくる静寂に流れていく……。
「わりぃけど、星も何もいらねぇからヤル気ねぇならそこ、──どいてくれ」
ピネスは吹き飛ばしたソイツを睨んだ。星のサングラスが斜めにズレた男に対して、昂る勢いに任せて言を放った。
まるで自分だけがこの星にいないような軽さ、おどけた薄さ、殺気の薄さ。
ピネスがここまでの戦いを通して感じ取れたことは、人とはどこか違う殺気の淡さと、あまり敵対心を感じない水のような奇妙な魔力、それだけだが、このふざけた男のことをノートに書きまとめるように明確に言い表す必要もない。
遭遇したどこぞの星のミステリーなどにかまけている暇などない。やる気のない敵には付き合わない。この先を急ぐことの方がピネスにとって優先すべき大事なことであった。
「ん~~……んっん~~~~? ……ホっ、ホハハハ……そういうわけにも……いーーーーかないっ!! ナラバのナラバ、────星をあ~~げようッ!!!」
「……! だからッいらねぇ! っておわっ!??」
星の男はなぜだか若者に冷たく凄まれて、逆に上機嫌に言葉を口ずさんだ。熱い爆風を浴びズレていた目元のサングラスをおもむろに掛け直す──。
すると突っ込んでいたままの両手では失礼だと判断したのか、突如するりと解放したポッケからは──星だらけ。
不思議な男が両手を広げながら、秘めていたその技と魔力を大解放する。ポケットに詰め込めないほどの量の流星群の手裏剣が辺り一面を支配し舞う。
ふざけた言動、ふざけた格好、ふざけた星型のサングラスの男に、勝手にテンションを高め実力を認められてしまったピネス。
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