97 / 109
96
しおりを挟む
《13-E階層 熱砂のビオトープ》にて──。
ここはダンジョンとは思えない一面の熱砂と、遮る物のない風が吹く、そんな乾いた自然な風景が広がりをみせる不自然な環境。
部屋の明かりとなり、全てを等しく照らしている朱色の疑似太陽の下、白い砂利粒を元気に蹴散らしながら、ジュエルモンスターとシャドウモンスターがぶつかり合う。
主を守るため、主の敵を消すためにモンスターたちは互いを攻撃し消耗し合う。
シャドウゴブリンが掲げたその剣を緑の粘液の急所にブッ刺せば、ダメージ限界を迎えたジュエルスライムは一粒の宝石と化す。「ぽすっ」と無力な音を立て落ち、砂の中に埋もれ還り。
遠方から弓を射ようとすれば、赤いカラスが空から舞い降り接近し、その今にも番えようとしていた矢を啄んだ。そして嘴に咥えた矢を器用にもぐさり、ゴブリンアーチャーの頭に刺して──お陀仏。リサイクル可能な一匹の影は敵にやられ、灰髪の主の足元に戻れずにその場で失せてしまった。
そんな黒と鮮やかな宝石が入り乱れる混戦の最中、密命を受けたシャドウゴブリン出席番号❹は、敵モンスター軍の主である白いミイラ男の背後にぬるり……影に身を忍ばせて。
今、携えていた激レア刀を高速抜刀し、静かな居合斬撃を放った。
隠密行動から鋭く放たれた一閃は、十分チェックメイトに足ると思われた。だがしかし、標的が全身に巻き付け纏う包帯衣装の隙間から、今のっそりと、愛らしく首を出して現れたのは謎の子亀。ミイラ男の背を狙い飛んだ危うい魔法の斬撃を、小亀はその背負うダイヤモンドの甲羅の盾を向けタイミングよく防いだ。
「おっと気づかなかったァ、そんな所に居たかぁー! よちよちズルかちこくて珍しいモンスターだな、えへ、えへへ。【キャプチャーぁぁぁリネンんん】!!!」
背中を打たれたミイラ男は振り返る。すぐさま影に溶け、潜伏して逃げようとしたがかなわず。出席番号❹は、そのミイラ男の身からいきなり放射線状に伸びて集束した包帯の軌道にグルグル巻きにされ、捕らえられた。
しかしこれは異能と装備を合わせた末に生まれたスペシャルなモンスター、残念ながら敵の主のモンスターを捕らえることはできない。魔力を帯びた包帯に絞めつけられた影は、そのゴブリンの造形を保てずに、やがて内在していた魔力を霧散させ失せた。
「影はつきまとえどつかまえられない。フッフ、私の生徒でもある。困るものだ」
「へへっへへっならオマエをキャプチャーぁぁリネン!!! へへへ、オマエの毛並みも、色も、なかなかレアだぁーー嗅がせろーー吸わせろーーなでさせろーーーー!!! 首輪をつけてお散歩だァーーーーへへ、へ……」
「フッフ……」
腹にしがみついた子亀の頭をよちよちと撫でる。動物モンスター愛に溢れるミイラ男と出くわしたのは、生徒たちを愛する眼帯の校長先生、不黒文。
熱砂のモンスターバトルは、愛が故に歪め極めた狂気と、美しいプラチナ髪に潜む妖しげな笑みを浮かべながら────。
ここはダンジョンとは思えない一面の熱砂と、遮る物のない風が吹く、そんな乾いた自然な風景が広がりをみせる不自然な環境。
部屋の明かりとなり、全てを等しく照らしている朱色の疑似太陽の下、白い砂利粒を元気に蹴散らしながら、ジュエルモンスターとシャドウモンスターがぶつかり合う。
主を守るため、主の敵を消すためにモンスターたちは互いを攻撃し消耗し合う。
シャドウゴブリンが掲げたその剣を緑の粘液の急所にブッ刺せば、ダメージ限界を迎えたジュエルスライムは一粒の宝石と化す。「ぽすっ」と無力な音を立て落ち、砂の中に埋もれ還り。
遠方から弓を射ようとすれば、赤いカラスが空から舞い降り接近し、その今にも番えようとしていた矢を啄んだ。そして嘴に咥えた矢を器用にもぐさり、ゴブリンアーチャーの頭に刺して──お陀仏。リサイクル可能な一匹の影は敵にやられ、灰髪の主の足元に戻れずにその場で失せてしまった。
そんな黒と鮮やかな宝石が入り乱れる混戦の最中、密命を受けたシャドウゴブリン出席番号❹は、敵モンスター軍の主である白いミイラ男の背後にぬるり……影に身を忍ばせて。
今、携えていた激レア刀を高速抜刀し、静かな居合斬撃を放った。
隠密行動から鋭く放たれた一閃は、十分チェックメイトに足ると思われた。だがしかし、標的が全身に巻き付け纏う包帯衣装の隙間から、今のっそりと、愛らしく首を出して現れたのは謎の子亀。ミイラ男の背を狙い飛んだ危うい魔法の斬撃を、小亀はその背負うダイヤモンドの甲羅の盾を向けタイミングよく防いだ。
「おっと気づかなかったァ、そんな所に居たかぁー! よちよちズルかちこくて珍しいモンスターだな、えへ、えへへ。【キャプチャーぁぁぁリネンんん】!!!」
背中を打たれたミイラ男は振り返る。すぐさま影に溶け、潜伏して逃げようとしたがかなわず。出席番号❹は、そのミイラ男の身からいきなり放射線状に伸びて集束した包帯の軌道にグルグル巻きにされ、捕らえられた。
しかしこれは異能と装備を合わせた末に生まれたスペシャルなモンスター、残念ながら敵の主のモンスターを捕らえることはできない。魔力を帯びた包帯に絞めつけられた影は、そのゴブリンの造形を保てずに、やがて内在していた魔力を霧散させ失せた。
「影はつきまとえどつかまえられない。フッフ、私の生徒でもある。困るものだ」
「へへっへへっならオマエをキャプチャーぁぁリネン!!! へへへ、オマエの毛並みも、色も、なかなかレアだぁーー嗅がせろーー吸わせろーーなでさせろーーーー!!! 首輪をつけてお散歩だァーーーーへへ、へ……」
「フッフ……」
腹にしがみついた子亀の頭をよちよちと撫でる。動物モンスター愛に溢れるミイラ男と出くわしたのは、生徒たちを愛する眼帯の校長先生、不黒文。
熱砂のモンスターバトルは、愛が故に歪め極めた狂気と、美しいプラチナ髪に潜む妖しげな笑みを浮かべながら────。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
憧れのお姉さんは淫らな家庭教師
馬衣蜜柑
恋愛
友達の恋バナに胸を躍らせる教え子・萌音。そんな彼女を、美咲は優しく「大人の身体」へと作り替えていく。「ねえ萌音ちゃん、お友達よりも……気持ちよくしてあげる」眼鏡の家庭教師が教えるのは、教科書には載っていない「女同士」の極上の溶け合い方。
女性向け百合(レズビアン)R18小説。男性は出てきません。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる