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「どらぁこらぁーーーー!!!」
大きなひよこのモンスターは、オレンジの鳥脚をバタつかせ、あせあせと逃げてゆく。背負ういっぱいの風呂敷から商品を撒き散らしながらも、鬼のような形相で迫る電磁ハリセンを手にした小さな店主に追われるも、大きなひよこたちは廊下をどうにか走り切り逃げおおせた。
くろまねき商店の店主ちひろちゃんは息を「ゼェハァ……」と切らしながら、疲れた様子で一旦その場に立ち止まった。
やはりここも狙われてしまった。店の防犯対策を強化したものの、来店した愛らしい大きなひよこがまさか商品を盗みだすとは露ほども思わず、対応が遅れてしまった。
丁度そんな黄色い犯人の逃亡シーンを目撃した絶賛パトロール中であった登別は、店主に落ちていたレモンスカッシュのペットボトルを手渡して尋ねた。
「さっきのはひよこ? モンスター? 他の侵入者はどこかしら、心当たりはある?」
「ぷはぁーーーーーーっ……それならわかんで! 待ってな! えーーと……ぴよぴよ走ってんのがそこらにいっぱいおるわ。たぶん盗人ひよこの一味やろ! ちひろちゃんの【絶対的金銭感覚】からは、ひよこも、あほぅも、コケコッコーも逃れられへんで! あーーーーむかつく!! もふもふしててかわいいからって、盗みは許さんで!!!」
【絶対的金銭感覚】どうやらそれは、くろまねき商店の店主ちひろちゃんの異能である……らしい。価値のある全てのモノは、彼女の有するこの第六感から逃れることはできない。
「あと……なんやこれ」
「どうしたの?」
「どうしたもなんもアッチの上におんのは、すんごい価値やで。なんの卵やわからんけど、絶対ヤバイわ?」
ちひろちゃんは自分のスマホを見せながら、そのビリビリする感覚を、校舎フロアマップにマークし示し登別に見せた。3Dマップには、依然ぴよぴよ慌ただしく走る黄色い複数のマークと、動かずに上でじっとしている赤いマークが一つある。
「そう。分かったわ、とりあえずそこね」
「っておーい! ほんまに行くんかー!! きっと危ないでぇ!!」
ちひろちゃんの呼びかけに、既に動き出していた登別はパっと背を振り返った。
「えぇ、ひよこの泥棒はどうでもいいわ。盗みですむのなら安いわ」
「そりゃぁ……せやな? っておい! どうでもいいことあらへん! うちのしょーーひーーーーん!!! あとうちのスマホーーーーーー」
状況を把握した登別海はひよこの盗人たちを放置する判断をし、上階に向かい走り出した。
防犯用に装備していた電磁ハリセンで、廊下にきつくツッコむが、颯爽と遠くへと駆ける緑髪の背には届かない……。ちひろ店主は仕方なく、黒い前掛けの内から取り出したサブのスマホを操作する。そして皆のスマホに、ひよこ泥棒の逃亡するリアルタイムのマップ位置を共有し届けた。
▼
▽
浮遊する4つの小玉から雲雀笛の鳴らす遠隔合図で【カロリービーム】は発射され、〝投石ぴよこ〟を四方八方から成敗。
ハープから奏でる【ネムリの歌】、バラード調のメロディーですやすやと……。羽帽子の生徒に襲いかかろうとした〝ぴよこナイト〟はやすらかに眠り。
燃えるお魚、朱文金が遊ぶようにぐるぐると追い回して〝生ぴよこ〟の尻を焼いた。
ブク校校舎の防衛にあたっていた小角灯、紫紫檀、モミジ、ちひろちゃんの4人は共有したマップを通して協力連携した。盗みを働いたぴよこたちの逃走ルートを塞ぎ一箇所へと誘導し、ついに追い詰めた。
生徒たちの繰り出す様々な攻撃にさらされたひよこのモンスターたちは、まん丸な鳥目を×印に変えダウンし、「ぽんっ──」と不思議にも煙になり消えていった。
そしてそんなひよこに似た召喚獣、ぴよこたちを指揮していた悪の大元は、杖を強く握に締め、黄色いトンガリ帽子を被った、いかにも魔術師らしき1人の女であった。
「泥棒のはじまりは泥棒です!!! ブク校の風紀を乱すものは何人たりとも何匹のひよこたりとも許しません!!!」
「せやせやぁー!!! よぉ言った、よぉやったで!!!」
風紀委員部部長の小角の言い放つ、威勢の良いブレない信念のお言葉に、被害者の店主ちひろちゃんは同調した。
「つぴーーーー! なんなのよこいつら! もぬけの殻って聞かされた話が違うじゃない!」
「まぬけの阿保はそっちや、覚悟するんや! これでお縄やで! 料金分きっちりサービスして、シバいたる!」
盗人相手に容赦はいらない。取り巻きのぴよこたちをきっちり片付け、勢いに乗るちひろちゃんは、スイッチをオンにした「ばちばち」と唸る電磁ハリセンを片手に、店主直々に盗人の親玉を成敗しにいった。
大きなひよこのモンスターは、オレンジの鳥脚をバタつかせ、あせあせと逃げてゆく。背負ういっぱいの風呂敷から商品を撒き散らしながらも、鬼のような形相で迫る電磁ハリセンを手にした小さな店主に追われるも、大きなひよこたちは廊下をどうにか走り切り逃げおおせた。
くろまねき商店の店主ちひろちゃんは息を「ゼェハァ……」と切らしながら、疲れた様子で一旦その場に立ち止まった。
やはりここも狙われてしまった。店の防犯対策を強化したものの、来店した愛らしい大きなひよこがまさか商品を盗みだすとは露ほども思わず、対応が遅れてしまった。
丁度そんな黄色い犯人の逃亡シーンを目撃した絶賛パトロール中であった登別は、店主に落ちていたレモンスカッシュのペットボトルを手渡して尋ねた。
「さっきのはひよこ? モンスター? 他の侵入者はどこかしら、心当たりはある?」
「ぷはぁーーーーーーっ……それならわかんで! 待ってな! えーーと……ぴよぴよ走ってんのがそこらにいっぱいおるわ。たぶん盗人ひよこの一味やろ! ちひろちゃんの【絶対的金銭感覚】からは、ひよこも、あほぅも、コケコッコーも逃れられへんで! あーーーーむかつく!! もふもふしててかわいいからって、盗みは許さんで!!!」
【絶対的金銭感覚】どうやらそれは、くろまねき商店の店主ちひろちゃんの異能である……らしい。価値のある全てのモノは、彼女の有するこの第六感から逃れることはできない。
「あと……なんやこれ」
「どうしたの?」
「どうしたもなんもアッチの上におんのは、すんごい価値やで。なんの卵やわからんけど、絶対ヤバイわ?」
ちひろちゃんは自分のスマホを見せながら、そのビリビリする感覚を、校舎フロアマップにマークし示し登別に見せた。3Dマップには、依然ぴよぴよ慌ただしく走る黄色い複数のマークと、動かずに上でじっとしている赤いマークが一つある。
「そう。分かったわ、とりあえずそこね」
「っておーい! ほんまに行くんかー!! きっと危ないでぇ!!」
ちひろちゃんの呼びかけに、既に動き出していた登別はパっと背を振り返った。
「えぇ、ひよこの泥棒はどうでもいいわ。盗みですむのなら安いわ」
「そりゃぁ……せやな? っておい! どうでもいいことあらへん! うちのしょーーひーーーーん!!! あとうちのスマホーーーーーー」
状況を把握した登別海はひよこの盗人たちを放置する判断をし、上階に向かい走り出した。
防犯用に装備していた電磁ハリセンで、廊下にきつくツッコむが、颯爽と遠くへと駆ける緑髪の背には届かない……。ちひろ店主は仕方なく、黒い前掛けの内から取り出したサブのスマホを操作する。そして皆のスマホに、ひよこ泥棒の逃亡するリアルタイムのマップ位置を共有し届けた。
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浮遊する4つの小玉から雲雀笛の鳴らす遠隔合図で【カロリービーム】は発射され、〝投石ぴよこ〟を四方八方から成敗。
ハープから奏でる【ネムリの歌】、バラード調のメロディーですやすやと……。羽帽子の生徒に襲いかかろうとした〝ぴよこナイト〟はやすらかに眠り。
燃えるお魚、朱文金が遊ぶようにぐるぐると追い回して〝生ぴよこ〟の尻を焼いた。
ブク校校舎の防衛にあたっていた小角灯、紫紫檀、モミジ、ちひろちゃんの4人は共有したマップを通して協力連携した。盗みを働いたぴよこたちの逃走ルートを塞ぎ一箇所へと誘導し、ついに追い詰めた。
生徒たちの繰り出す様々な攻撃にさらされたひよこのモンスターたちは、まん丸な鳥目を×印に変えダウンし、「ぽんっ──」と不思議にも煙になり消えていった。
そしてそんなひよこに似た召喚獣、ぴよこたちを指揮していた悪の大元は、杖を強く握に締め、黄色いトンガリ帽子を被った、いかにも魔術師らしき1人の女であった。
「泥棒のはじまりは泥棒です!!! ブク校の風紀を乱すものは何人たりとも何匹のひよこたりとも許しません!!!」
「せやせやぁー!!! よぉ言った、よぉやったで!!!」
風紀委員部部長の小角の言い放つ、威勢の良いブレない信念のお言葉に、被害者の店主ちひろちゃんは同調した。
「つぴーーーー! なんなのよこいつら! もぬけの殻って聞かされた話が違うじゃない!」
「まぬけの阿保はそっちや、覚悟するんや! これでお縄やで! 料金分きっちりサービスして、シバいたる!」
盗人相手に容赦はいらない。取り巻きのぴよこたちをきっちり片付け、勢いに乗るちひろちゃんは、スイッチをオンにした「ばちばち」と唸る電磁ハリセンを片手に、店主直々に盗人の親玉を成敗しにいった。
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