9 / 21
008 魔法を学ぶ
しおりを挟む魔王城で過ごし初めて少し慣れた頃に、エスティアはルビーとルフェルスに魔法の手ほどきを受けていた。
なんでも私がこの様な状態になったのは魂に色が無い為らしい。
色が無いと言う事はこの世界に属するものではないという扱いになり、魂が完全に体に定着しない状態になったそうだ。
魔力が成長してそれは顕著になり、自らの体と魂を引き裂いてしまった。通常の手段での魔法行使ができないとアカシックレコードに書いてあった。つまり、魔力が体で暴れて抑えが効かなくなったのだろう。
だから私は魂の状態でここに居る。この地は魔力が強く力の強い者が多くいるためだ。強い体を求めて魂が離脱したのだろう。そして波長の合うルビーの元へと引き寄せられた。
それを元に戻すには私が魔力をしっかりと扱えるようにならなければならない。
その為に、ルビーとルフェルスは私の為にこうして時間を割いてくれているのだが、ルビーは感覚派なので教えるには向かず、代わりにルフェルスが説明してくれている。
魔法とは体内にある魔素(マナ)を使って発動するもの。体内のマナのことをオドと呼ぶ。また、マナは大気に溢れており、使ったマナは大気や食べ物から自然と摂取していると言われている。
食べ物によって吸収できるマナの量が違っており、甘い食べ物ほどより多く回復することができると言われている。
マナを最も多く含んでいる代表的な果物がある。『アプルの実』だ。これには大量のマナが含まれておりマナポーションの材料にも使われる。
また、味もよいため通常のポーションに摩り下ろした果汁を入れると甘味が入って飲みやすくなる。
他にもマナを摂取するのに適したものは『妖精の雫』と呼ばれる蜜やハニービーの巣から取れる『はちみつ』と呼ばれるもの、『マジックマッシュルーム』と呼ばれるもの(キノコ型魔物のキノコのカサの事)などがある。
人によって持ち得る魔力には差があり、発動できるかどうかは術者の魔力による。
魔法の種類は基礎属性魔法が火・水・土・風・無とあり、更に特殊魔法が木・雷・金・氷、古代魔法は光・闇・治とあるが、時・空・魂についてはすでに失伝している。
それぞれの魔法にはレベルがあり、鍛錬を重ねることで上位の魔法を使えるようになる。
魔力は成長とともに多少増えるが、中には一気に爆発したかのように急激に伸びるものもいる。
また、魔法は使えるものと使えないものもいる。使えないというのは魔力が少ないため発動できない者がいるという意味だ。魔力が使えない[魔力なし]の者が後に魔法を使えるようになるといった後天的な魔法使いはゼロに等しい。
その魔力のある・なしについては、幼少時に魔力爆発が起きるかどうかで判断される。
大体1歳から1歳半くらいで起こるため、その間は赤子をしっかりと見ておく必要があるのだ。
魔法を発動するには、まず体内の魔力を感じ取るところから始める。
魔力を感じ取れるように訓練を行い、その後簡単なイメージトレーニングから始まり詠唱して魔法を発現し取得し始める。
火属性魔法なら『ファイア』、水属性魔法なら『アクア』、土属性魔法なら『アース』、風属性魔法なら『ウィンド』、無属性魔法なら『魔玉』となる。
その他にも属性魔法として含まれない魔法がある。『生活魔法』や『錬成魔法』や『刻印魔法』などだ。
そういった魔法から学ぶものもいれば、生まれつき魔法を持って生まれる子供もいる。
「……というのが魔法に関する一般知識になりますね。」
ルフェルスは魔法の説明をざっくりと行うと、今度は実際に魔法を使って見せてくれた。
これはルビーも一緒になって転移や得意属性の魔法を発動する。
いきなりに高度な魔法が使われて魂に目があるのかは不明だが、目が点になるほどの状況が繰り広げられた。
そんな魔法を見ているときに一つ気が付いた事がある。
魔法を発動する際、術者の前に魔法陣が浮かんでいることだ。丸い輪の中に描かれている文字はこの世界の言語で、円に沿って文字が刻まれている。
中央は六芒星が描かれており、そこに魔力が集中して発動しているようだ。
アカシックレコードを使って確認すると、魔法陣に描かれている文字はその属性や規模、必要魔力量などが書かれていた。
そんな事が分かっても今は何の役にも立たないのだが、そういう発見ってなんだか面白いよね。
「魔族は瞬時に魔法を発動できるから人族みたいに詠唱とかは必要ないのじゃ。なんとなくかっこいいから呪文っぽく唱える事はあるのじゃが。」
「ともかくエスティアは魔力をまず感知して自在に操れるようになるところからですね。」
【その魔力ってのがよく分からないんだよね。イメージがあんまり沸いてこないというか。】
「そもそも理屈じゃなくて本能的に分かる物じゃからな。エスティアはきっと難しく考えすぎなのじゃ。」
「瞑想なんてするのも良いかもしれませんね。あ、でも寝ちゃったらどうなるんでしょう。魂の状態の今はとっても存在が希薄なのでうっかり消えないといいのですが。」
【こ、怖いよそれ。雪山で遭難しているみたいじゃん。】
「実際そんな所でしょう。雪山ではなく魔族領ですが。」
【はぅ。とにかくやってみるよ。】
魂の状態でも自分の体を忘れる事なんてない。魔力、魔力、一体どこに居るの?
意識すると目の奥に魂の輝きが見える。丸い球体だから目があるというのは何とも表現がぴったり来ないけど。
その魂のずっと奥に意識を向ける。
どこまでも透き通っている魂に奥なんてあるのかは不明だけど。意識を沈めていくとまるで海の中に居るみたいだ。体が無い分意識が浸透して広がっていく。
うっかりこのまま消えるとか無いだろうか。心配だ。
そんな雑念が思わず沸いてくる。雑念を振り払って再び意識を集中させる。音もない世界が私の中に広がる。
そんな中自分の魂を中心に渦巻く流れを見つける。その流れは私の周囲を巡るように流れている。それは人の形をした力の流れ。その流れを意識して引き出す。
丸い魂の体の傍に魔力の塊が集まっていく。それを散らしたり纏めたりしながら魔力の流れをコントロールしていく。
そのうちに魔力は弾力を持ち、ねっとりとした粘りを持ったりさらさらに流れたりもする。それを訓練していくと次第に飴細工のように変形することが出来るようになって来た。
「おぉ。すごいのじゃ、エスティアが魔力をコントロール出来ているのじゃ。」
「魂の状態である分、魔力の流れを掴むのが早かったですね。」
【そうかな?えへへ。】
なんだか褒められるとうれしい。
形を変えて変形が出来るようになった時に、ルフェルスが今度は魔石に付いて教えてくれた。魔石は魔力を固めて作る事が出来るそうだ。
自然界でできる魔石は魔力が溜まった場所で長い年月をかけて石のように固まった物の事。モンスターの心臓部付近に生成されるものであり、地中や鉱山、魔力溜りなど魔素が多く含まれる場所で見つかることもある。
ちなみに不純物が多く内包する魔力が小さいものや欠けた魔石などのことをくず魔石と呼び、安価で売買される。魔石がさらに時間をかけることで成長し結晶化したものを魔結晶と呼び、また自然と魔力溜りなどでできた高濃度の魔力の結晶のことを魔晶石と呼ぶ。
また、属性を含む魔石は非常に希少なため小さなものでも魔石と比較すると高価で取引されることがある。属性魔石はそれぞれの属性に即した場所で見つかることが多い。
例えば火属性魔石は火山の火口近くやその周囲。火山の近くであればあるほど多く見つかる。水属性魔石は魔素に富んだ澄んだ水の中で見つかることが多い。世界樹の近くでは木の属性魔石が見つかることがあるなど。
また、魔石をお金の代わりに取引したりする事もあるそうだ。
知識を深めながら日々を過ごしていく。
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる