~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕

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ブラウナ編

唯一王 レシアの秘密に唖然とする

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 その心配は、杞憂だった。
 レシアは恥ずかしがりながらズボンとパンツを脱ぎ始める。

 なんとレシアのすべてが見えてみえてしまっている。まずい、一緒に住んで早々変態扱いされてしまう。

 股間の場所に俺と同じ息子さんがある。俺がいること、俺の目線に気付いたレシアは恥ずかしそうにその息子を抑えている。

「あ……、説明するの忘れてた。僕の秘密、バレちゃった……」

 レシアは顔を真っ赤にして俺の目をそらす。

「まあ、こいつ女の子の裸をのぞくの好きだからいつかは説明しなきゃいけないと思っていたから、ちょうどいいわ」

「いや、それはおかしいでしょ」

 俺の返答を無視してレディナとフリーゼが言葉を進めていく。

「フライさん。黙っていてすみません。レシアさんは、見た目は女の子に見えますが、実は違うのです」

「そう、フリーゼの言う通りレシアはね、男の娘なのよ。残念でした、女の子じゃなくて」

 彼女、いや、彼は男の娘だったのだ。まさかの事実に俺は愕然としてしまう。


「騙したみたいでご、ごめんなさい。やっぱり、変なものついているとフライさんはいやだの?」

「フライさん。まさか女の子じゃないと嫌とか言わないですよね」

「あり得るわ。こいつ、結構たらしだし」

「誤解を招くようなこと言うなよ。大丈夫だからね、心配しないでいいよ」

 人聞きの悪いこと言うなよ。
 しかしレシアの秘密には驚くばかりだ。確かにボーイッシュな印象はあったがまさか性別が男だったとは完全に予想外だ。

「ほ、本当に。幻滅とか、していない?」

 レシアはうるうると涙目になり言葉を返す。その姿はまるでぶりっ子の女の子みたいでドキッとしてしまう。

「だ、大丈夫だ。問題ない」

 すると今度はレディナが俺をにらみつけてきた。

「本当に? 今がっかりしたようなそぶりを見たけど?」

「大丈夫だって。気にしてないから、安心していいよ、レシア」

 レディナの人を見る目はすごい。彼女に嘘はつけない。

「フライ、その言葉信じるよ」

「ありがとう。俺は、レシアのことを裏切ったりしないから」

 レシアは一度仲間達から見捨てられた身。人間不信になってしまうのも無理はない。
 今、俺のことを心から信じてもらえないかもしれない。

 俺は、それで構わないと思っている。彼からの信用は、これから作っていけばいいのだから。
 レシアから心から信用してもらえる人になれるように、これから頑張ろう。


 そう考え、俺は布団の中に入る。

「みんな。今日も疲れたし、そろそろ寝ようか──」

 そして俺たちは布団の中に入っていく。レシアとの良い信頼関係を作るため、これから頑張っていこう。






 翌朝。

「おはよう、みんな起きてる?」

「フライさん、おはようございます。朝食、食べましょうか」

「そうだね、フリーゼ」

 俺達はベッドから起き上がる。
 そしてサラダとトーストの朝食をとりながら俺たちはこの後の予定を立てる。

「フライさん。今日はこれからどうするつもりなのですか?」

「とりあえずギルドに行ってみようと思う、フリーゼ」

「そうね。そこなら何か情報があるかもしれないわ」

 レディナの言葉に、フリーゼもハリーセルも賛同した。


 会いたい人物はもちろんノダル。まず俺が行いたいのは、レシアに対する謝罪だ。あんなひどい目にあわせて、そのまま見捨てるなんてひどすぎる。

 レシアをどうするかは、これから考えていこう。

 レシアにあんなひどいことを言って、仲間はずれにした。
 あのまま放ってはいけない。
 それにレディナも、彼にもう一度会いたいと言っていた。

「何か気になるのよ。前日ノダルたちと会った時、パーティー全体から私たちと同じ精霊のにおいがしたの。すぐにわかれちゃったから、それ以外のことは、わからないけれど──」

 レディナが感じていた違和感。もしかしたら手掛かりになるかもしれない。
 だから、すんなりとノダルへ会いに行くのを決めたのだ。

 そして俺たちは朝食を終えた。五人全員で皿洗いや掃除を終えると荷物を持って街へと出発。


 人通りの多い街並みを抜け、冒険者たちが多く集まる道へ。
 ギルドが近いことを物語っている石畳の道を歩くと、俺達はギルドに到着。




 中にはいろいろな冒険者達がいてとても賑やかだ。
 ──が肝心のノダルたちのパーティーがいない。まあ、そうそう都合よくはいかないか。


 しかしだからといって手をこまねいているわけにはいかない。

「あいつはこの街でもランクが高い冒険者よ。職員の人なら何か知っているかもしれないわ。フライ」

 そうだね、理想通りにいかなくたって、出来ることはいっぱいある。
 とりあえず聞いてみよう。

「ああ、そうだね」

 そして近くに職員の人がいないかを探してみる。
 話しかけたのは掲示板でクエストの紙の張り付けを行っている職員の人だ。

「すいません、ちょっと聞きたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

「はい、なんでしょうか」

 俺は事務員の人にノダルの動向について聞いてみた。彼と接触したことはないか、どんなことをしていたか。

「ああ、その人ならこの前俺に話しかけてきたな。確か、クエストの業務委託っていうのをしに来たんだっけ。このクエストを急遽誰かに委託してほしいって」

 クエストの業務委託。冒険者たちの中では自らが請け負ったクエストが予想以上に多かったり、体力を消耗しすぎて消化しきれなくなってしまった時に別の冒険者に自分たちが請け負っていたクエストを他のパーティーに請け負ってもらうことができる制度がある。

 利点として、クエストを受けるパーティーが限定されるのを防ぐという効果がある。

 当然、そのクエストが請負先の冒険者に達成できるものなのかをギルドによって審査している。

 ──がその審査をした人がギルドの職員を務めて間もない新人だということだ。ノダルというやつは、恐らくそれを理解していて委託を行ったのだろう。


「そのパーティーの事、思い出せますか? できる範囲で構わないので教えてほしいんですけどお願いします」
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