ハニーローズ  ~ 『予知夢』から始まった未来変革 ~

悠月 星花

文字の大きさ
77 / 167

王たちの会合

しおりを挟む
「先日、息子は、アンナリーゼと婚約について話しをしたそうだ。
 アンナリーゼのことは諦めると申してきた。実に残念だ!
 それで、昨日、ローズディア公国公女と話をし、今後、公女との婚約に向けて進むと決めたそうだ」
「誠でございますか?あの子が、アンナリーゼを諦めるとは……」
「何か、心境の変化があったのだろう。成長とみて見守っていくとしよう……
 そこで、息子からだが、アンナリーゼの婚約については、彼女のしたいようにさせてあげてほしい
 とのことだった」
「彼女のしたいようにですか?それは、どんな未来なのでしょうか?」


 宰相であるサンストーン公爵が訪ねると、若干忌々し気に睨みを効かせる。


「そちの息子との婚約ではないか?学園では、かなり有名らしいな。とても仲がよいと」
「さようですか……?
 うちの息子もアンナリーゼも全く何もそのような話をしていないようですが……」
「いったい、どうなっておるのだろうな?
 まさか、息子たちの恋愛まで、心配しないといけないとは……」
「全くです……」


 国の頂にいる三人は、息子たちの恋愛事情にため息をつくばかりだ。
 引き続き、アンナリーゼの動きについては、要注意として、今日は解散とした。



 ◇◆◇◆◇



 翌日、ローズディア公国から、かねてより提案されていた両国の集団政略結婚について連絡が来ていると連絡があった。
 余は、息子が、アンナリーゼを手にできなかったことをとても残念に思っていた。
 執務を疎かにしてしまうくらいは。

 そういえば、息子のことで頭がいっぱいですっかり忘れていたが、ローズディアから受け入れる令嬢たちの方は、まだ婚約先が準備ができていないと聞いていた。
 今日は、そちらの選出の話があるということで大臣がきていたが、ローズディアへの行く令嬢の決裁も欲しいと持ってきた。


 興味があまりなかった余は、中身を確認することなく王印を押す。


 そのリストの2番目に書かれている名前を王は書類を確認しなかったことによって見落とした。


『アンナリーゼ・トロン・フレイゼン』


 独身であり、侯爵位の令嬢。


 王印が押されたことで、ローズディアへ使者が使わされた。
 翌週には、ローズディア公国より、思いもよらない連絡がきてしまう。



「アンナリーゼをローズディアの王室へ迎え入れたいとな!?いったいどうなっておる!!」
「はい……それが、先日送った独身貴族のリストに、フレイゼン大臣の令嬢が含まれて……」
「なんだって!!それは、どういうことだ!」
「余は知らぬぞ?」
「私も知りません」
「いえ、陛下には採決の王印をいただいています……こちらを……」


 そこに出てきたのは、先日、確認もせずに王印を押した書類であった。


 確かにリストにはアンナリーゼの名前がしっかりと載っている。


「陛下……やってしまいましたね……?
 王印を押して出してしまった以上、間違いでしたではなんとも……しかも、フレイゼン侯爵家です。
 あちらも手ぐすね引いて待っていたでしょうから、この書類の取り消しはできないでしょう」
「…………余のミスだ……すまぬ」
「これは、とりあえず、フレイゼンに伝えるべきだな……」
「フレイゼンをこれへ!」



 陛下の一言で、動き始める侍従たち。



「フレイゼン、陛下の召喚により、まかり越しました」
「あぁ、よく来てくれた。
 フレイゼンよ、聞き及んでいるかもしれぬが、息子はどうもそちの娘に振られたらしい。
 それは、息子の不徳の致すところだから、よい。
 ローズディア公国のシルキー公女と前向きに婚約を考えると言っておるからの」
「そうですか。アンナリーゼからは、殿下より話があったことも聞き及んでおります。
 そして、断ったことも。
 あと、伝わっているか怪しいですが、殿下には、元々シルキーをお勧めしているらしいですよ?
 とてもいい子らしいので……」


 フレイゼンの話を聞き、息子の不甲斐なさをさらに痛感した。 
 すでにアンナリーゼから、シルキーを薦められていたとは、一体どういうことなのか。
 とりあえず、その話は別とし、今のまずい状況を話すことにした。


「あぁ、それは、余も聞いていて、息子もアンナリーゼに比べると、とてもいい子だと言っていたので、
 このまま、まとめようと思っておる。賭けは、そちの勝ちじゃが、あの時の約束は覚えておろう?」
「もちろんでございます。シルキー様を全面的に後ろ盾することは、アンナリーゼからも頼まれている
 ことですので、そこは約束違わず、後見人となりましょう」



 一息置き、愛娘が隣国へ旅立つかもしれないということを伝えるため、重い口を開けた。



「それでだな……フレイゼンよ、驚くではないぞ?
 この度、未婚の物を集団政略結婚をさせることになっているのは、知っておるか?」
「はい。もちろんです。そこに、アンナリーゼの名前が入っていたこともすでに、ローズディアの
 公室より連絡をもらっており、婚約打診を受けております」


 深い深いため息を余はつくことになった。


「今更……ダメとは、言えない状況だな……」
「と、いいますと?」
「アンナリーゼは、わが国で誰かとまとめようとしておったのだ。宰相の息子でもよいしな……」
「あぁ、なるほど……ちなみですが、ローズディアの公室より打診はありましたが、本人が断って
 しまいました!」


 フレイゼンの言ったことが理解できず、素っ頓狂な声がでた。
 余だけではない。宰相も大臣もであった。


「「「は?」」」



 陛下、宰相、大臣は、フレイゼンの言葉を疑った。


「今なんといった?断った?」
「はい、断りました。アンナリーゼが自ら……しかも、正式な文書として……」



 絶句である……。
 上位の者に対し、婚約を断る……そんなことやってのけられるのだろうか?



「断っただと?トワイス国の王太子でもローズディアの公世子でもダメなのか?
 誰ならいいのだ……?」



 余は、頭を抱え、チラッと宰相を見た。
 やはり、宰相の息子しかいないのだろうか……



「直談判して、ローズディア公国アンバー公爵家、
 ジョージア様なら嫁ぎますと本人がローズディアまで行って宣言してきたらしいです。
 昨日、一報で手紙が来てましたが……」
「「「え?」」」
「ん?」
「いや、今、なんと申した?本人がローズディアまで行って……?」
「あぁ……そうです。
 しつこくなるようにと言ってきていたので、ちょっと行ってくると言って出てってしまいました。
 あの行動力は、母親似なんですかね……」



 フレイゼンは、簡単に言ってしまったが、それって……勇ましすぎやしないか?
 また、話を盛ったんではないだろうか?


「フレイゼン……」
「はい、陛下」
「それで、どうなった……?」


 もう、どうなったか答えを聞いた方が早い。


「結果は、見事ジョージア様の婚約者としてローズディアで認められたらしいです。
 時期的に、殿下と公女の婚約発表の後でないとということになり、とりあえず、保留らしいです。
 あと、ジョージア様にも確認は必要ですしね」


 余としては、一番おさまってほしくないところに、アンナリーゼはおさまってしまった。



「アンバーの倅め……」



 卒業式に続き、婚約までも……忌々しい限りであった。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

古堂 素央
恋愛
【完結】 「なんでわたしを突き落とさないのよ」  学園の廊下で、見知らぬ女生徒に声をかけられた公爵令嬢ハナコ。  階段から転げ落ちたことをきっかけに、ハナコは自分が乙女ゲームの世界に生まれ変わったことを知る。しかもハナコは悪役令嬢のポジションで。  しかしなぜかヒロインそっちのけでぐいぐいハナコに迫ってくる攻略対象の王子。その上、王子は前世でハナコがこっぴどく振った瓶底眼鏡の山田そっくりで。  ギロチンエンドか瓶底眼鏡とゴールインするか。選択を迫られる中、他の攻略対象の好感度まで上がっていって!?  悪役令嬢? 断罪ざまぁ? いいえ、冴えない王子と結ばれるくらいなら、ノシつけてヒロインに押しつけます!  黒ヒロインの陰謀を交わしつつ、無事ハナコは王子の魔の手から逃げ切ることはできるのか!?

処理中です...