1 / 32
第一話 ばあや志望の少女は前の「私」を思い出す
しおりを挟む
それは長い冬の寒さが和らぎはじめた静かな朝のこと。華美な物は何一つないものの、すべてが清潔にきちんと整えられ、誰もがほっとするようなあたたかさを感じる室内は、ベッドに横たわる女性の生き様を映し出すようだった。
「ばあや!!起きて!ねえ、起きてったら!!」
「……なんですかお嬢様、そんな大きな声を出して…」
とっくの昔に母親になったというのに、少女の頃と変わらないキラキラとした大きな瞳に涙を浮かべるお嬢様を見て、思わずたしなめる言葉が口をつくが、どうにも声がかすれてしまう。
「ばあや!聞こえているか!目を閉じないでくれ!なあ、ばあや!」
「……ええ、聞こえてますよ。……いつ以来でしょうねえ、ぼっちゃまが私をばあやと呼ぶなんて…」
ほとんど骨と皮だけになってしまった皺々の左手を、いつの間にかぼっちゃまの大きな手が包み込んでいる。程よく鍛えられた体躯に、強い意志が感じられる眼差し、常に凛とした佇まいは、在りし日の先代のお姿に瓜二つだ。しかし、そんな立派な成長を遂げた彼であるが、今は声も手も微かに震えている。
その横には、今年五つになるぼっちゃまの双子の娘たちが、いつにない父と叔母の姿に心細そうな顔をしている。
「……嫌ですよ、ぼっちゃま。…少し落ち着いてくださいな。お嬢ちゃまたちが心配してますよ」
「大ばあや、どうしたの?おねむなの?」
「大ばあや、どうしたの?どこかイタイの?」
「…いいえ、お嬢ちゃま方。大ばあやはどこも悪くありませんよ。…さあさあ、こんな年寄りの部屋にいても面白くないでしょう。…食堂に行ってらっしゃいませ。…料理長がビスケットを焼いてくれますからね」
「「ビスケット!!!!」」
大好物を思い浮かべたふたりの天使は、途端に目を輝かせて駆けていく。
「大ばあや、またねー!」
「大ばあや、またくるねー!」
いつものお見舞いと同じ言葉を残し、手を振るふたりに精一杯の微笑みを返した。「また」はもう二度とないのだと、幼いふたりは知らない。
そんなふたりの姿を見たぼっちゃまとお嬢様は、いよいよ目を真っ赤にしている。
「ふたりは私が引き受けましょう。そろそろうちのおチビちゃんの昼寝も終わる頃だしね。…ばあや、ありがとう。また必ず会おう」
そう言ったのは、お嬢様のご主人様だ。
彼はお嬢様の背中を支えていた手を離し、私の右手とその上に重なるお嬢様の手を一緒に大きな両手で包んで、強くぎゅっと握りしめた。お嬢様の幼馴染みでもあった彼のことは、子どもの頃から知っており、私にとってはもうひとりのぼっちゃまのような存在だ。
その分だけ彼にも思うところがあったのだろうが、この場はぼっちゃまとお嬢様のふたりに任せようと決めたらしい。双子のお嬢ちゃまたちと同じ「また」という言葉に違う意味を込めて去って行った。此岸で「また」彼らと再会することは、もう二度とないのだ。
………良い人生だった。
長らく見守ってきたおぼっちゃまとお嬢様に逆に見守られ、両手から伝わる温もりを感じながら、ゆっくりと目を瞑る。
重いまぶたの向こう側にぼやけていく、大切な人たちの幸せを祈りながら…
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴
「…というのが私の理想の人生!」
いつものメンバーのいつもの女子会で熱弁を振るうが、友人たちの生温い視線が返される。
「いや、あんたの人生だしそれであんたが満足なら何も文句はないけどね…」
「その妙に具体的な看取り希望はなんなの?普通は自分の子どもや孫に囲まれて死にたいとか言うでしょ!何故にばあや?」
「分かんないかな~?ばあや最強じゃない!私はこれまでの仕事を通してばあやポジションに無限の可能性を感じてるんだよ!」
私は、よくぞ聞いてくれたとばかりに立ち上がり、こぶしを握り締めて熱弁する。
「まず第一に、長らく同じ家にお仕えすることが可能、つまり終身雇用!それも奉公先の一家の状況に合わせて任される仕事も変わるから、最初は下働きやメイドから始まり、徐々に実力を認められてメイド頭や侍女に昇格したり、乳母になってお子様方を育てたり、自分の年齢や能力に応じたキャリアアップができるから働くモチベーションの維持が可能!築き上げた信頼関係によってリタイア後の面倒まで見てもらえる!(イメージ)」
友人たちは私から目を反らして、「あ、この唐揚げおいしーい!」とかなんとか言っているが、私は私でそちらのことは気にせず続ける。
「第二に、ばあやには奉公先の一家、とくに家長である旦那様への絶対的忠誠心がある!(イメージ)
尊敬も信頼もできない上司の出す、理不尽で効率の悪いアホみたいな指示とは無縁の生活!このお方の言うことに間違いないと信じて迷いなく働けることのなんと素晴らしいことか!
第三に、親でも他人でもないばあやポジだからこそ適度な距離感でお子様方をかわいがることができる!(イメージ)
ベタベタに甘やかすタイプのばあやも良いし、躾に厳しく口うるさいタイプのばあやもまた良し!あくまで子育ての責任と主導権は親にありながら、親と同じかそれ以上の熱量で愛情を注げる対象がいることで死ぬまで楽しい!ばあや万歳!!そんなばあやに私はなりたい!!!」
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴
妙な夢を見てしまった…
どこか違う国なのか、私はエールのようなお酒がなみなみと注がれた大きなグラスを片手に、ばあやになるという夢について熱弁を振るっていた。最終的には、「私、生まれ変わったら絶対ばあやになるんだ!!」と叫び、周りの友人たちに「死亡フラグを立てるな!」とツッコミを入れられていた。
……ん?…私?
そう、あれは確かに「私」だった。
夢と現実が入り混じる妙な感覚に首をひねりつつ、朝の身支度を始める。初夏の清涼な空気を感じ、井戸で汲んだばかりの冷たい水で顔をさっと洗い、清潔な布で拭くと、シャキっと目が覚めた。続いて、こっそり気にしている天然の癖毛を収めるため、櫛を手に取り手鏡に向かう。
鏡に映る自分を見た瞬間、突然頭の中にもうひとりの意識が流れ込み、思わず呟いた。
「…わたし、ターニャだ。」
両親や弟妹がわたしを見たら何を当たり前のことを言っているんだとあきれただろうが、今はわたしひとりなので気にせずそのまま思考を続ける。
今朝夢に見た「私」は、「わたし」を知っていた。
「私」はここよりもずっと文明の発達した国で、会社員として働いていた。幼い頃から絵本やアニメの世界で知った「ばあや」という存在に妙に憧れ、大学時代は幼稚園教諭の免許を取得し、アルバイトではベビーシッターをしていた。子どもたちのお世話をするのは大変だけどやりがいがあって、何より私に懐いてくれる姿が可愛いくて可愛いくて仕方なかった。
現実的な給与や働き方の問題もあって、就職先は子ども相手の仕事ではなく、子ども向けの知育玩具を中心に開発を行っている、社員数80名ほどの中小企業の事務職を選んだ。新卒後三年ほど経った時点でたまたま空いた社長秘書の仕事を任された。
最初は子ども向けの夢のある仕事だと思ったのに、現実はどこまでもブラックで、事務職の三年間は残業地獄であった。社長秘書になってからは、早々に接待ディナーに出かけていく社長を見送り、ほぼ定時で会社からは帰れるようになったが、プライベートのスマートフォンには朝から深夜までお構いなしに延々とワンマン社長からの連絡が入ってきて、私は徐々にノイローゼ気味になっていった。
社長より送られてくる連絡から物理的にも精神的にも距離を取るため、休日はスマートフォンの電源を切り、パソコンで乙女ゲームをするのが、あの頃の私の唯一の楽しみであった。
現実でささくれだっていた私の心には、過激すぎる内容のゲームは合わず、グラフィックと音楽の美しさに心癒されるゲームが好みだった。中でもお気に入りだったのが、リリーヴァレー王国という架空の国を舞台とした全年齢版ゲーム、『月と太陽のリリー』だ。このゲームでは、壮麗な学園の校舎内だけでなく、イベントによって郊外の自然豊かでのどかな風景の中でキャラクターを操作できること、王都や都市部は発展しすぎず不便過ぎず、ほどよい中世感があり私好みだったこと、そして何より、身分制度はあるものの、きちんと本人の能力が評価される国の仕組みがあったことで、理不尽なことばかりの現実からトリップしたい私にはぴったりだった。
乙女ゲームなので、定番の王子様×平民出身ヒロインが結ばれるのがメインストーリーで、ふたりの邪魔をしつつ恋愛のスパイスとなる王子の婚約者(=悪役令嬢)も存在したが、全年齢版のため悪役令嬢の嫌がらせ内容もそこまで陰湿なものはなく、婚約破棄イベントは起きるが、断罪追放断頭台エンドのような凄惨な事件には発展せず、婚約破棄後の悪役令嬢は領地でしばらく謹慎になるか、修道院に入るかのどちらかであった。せめてゲームの中くらい幸せな世界であってほしいと思う私には、この過激すぎないほのぼの乙女ゲームが性に合っていたのだと思う。
そしてここからが本題であるが、今のわたし「ターニャ」は、このゲームの登場人物のひとりであった。
昔から鏡を見るたびに何か既視感のようなものを感じることがあったのだが、自分の顔を見知っているのは当たり前なので、とくに気にも留めていなかった。ゲームの記憶を思い出したわたしには、その理由が理解できていた。
「ターニャ」は主人公であるヒロイン付きの侍女であり、ゲームのサポートキャラだ。このゲームでは、ヒーローは王子をメインとした三人の男性がデフォルトでデザインされているが、ヒロインの容姿は細かくカスタマイズできるようになっていた。さらにオマケ要素としてサポートキャラにも愛着が湧くよう、ヒロインほど細かいカスタマイズはできず、顔やスタイルはデフォルト設定どおりだが、サポートキャラの名前、髪の色、髪型、瞳の色だけは選択可能になっていた。
サポートキャラは「侍女」としてヒロインに仕える設定であったことから、私は昔絵本で読んだお姫様付きのメイドの名前を付けており、そのメイドのイメージに合わせて金髪のお団子ヘアーで、目は青色にしていた。
今のわたしの名前である 「ターニャ」は、サポートキャラのデフォルト名であった。瞳の色は特徴のないダークブラウン。髪の色はピンクブラウンで髪型はミディアムボブ。天然パーマによるウェーブがかかっているが、わたしはこの癖毛にコンプレックスを持っているので、今は髪を結ってまとめられるように伸ばしているところだ。
顔立ちはデフォルトなのでゲームの記憶のとおりなのだが、自分が設定していた瞳の色や髪型と大きく異なるため、印象が違う。また、ゲームの開始年齢より今は幼いため、何か引っかかるものはあってもこれまで気づかずにいたのであろう。
そう、『月と太陽のリリー』は、王立学院の入学式の日からストーリーが始まる。その時点でヒロインと同い年のターニャは十五歳のはずだ。今のターニャは十歳なので、ここがゲームと同じ世界であるならば、本編のストーリー開始まであと五年というところだ。
「…これはいわゆる異世界転生ってやつかしら」
ここまで考えたところで、わたしは「私」の記憶から、そう推測する。ここがゲームの世界であるという証拠はないが、固有名詞や国のシステムなど、『月と太陽のリリー』の世界と一致していることから、おそらく間違いないだろう。「私」の世界にはそういったテーマを扱うゲームや作品が多数存在していたので、意外とすんなりと受け止められた。
また、いわゆる「夢オチ」や、「ゲームの世界に閉じ込められた」というパターンもあるが、十歳に至るまでのターニャ自身の記憶がしっかり存在し、夢にしては長く具体的すぎるし、現時点でターニャの人生がゲームとはまったく絡んでいなかったことから、後者の可能性も排除して良いだろう。
似た内容で「異世界転移」というジャンルもあったが、「私」とターニャの外見はまったく異なり、前の姿のまま転移したわけではないため、「転生」という理解が近いと思う。というか、どれほど考えてみたところで調べようもないので、あまり気にしないことに決めた。わたしも前の「私」も、考えても仕方のないことでは悩まない性格であった。輪廻転生という概念のあった世界で生きていた「私」の記憶が混ざったことで、わたしとしても転生も生まれ変わりもなんでもありだと感じている。
肝心の意識だが、あくまでわたしはこれまで生きてきた「ターニャ」のままであると理解する。前世なのか何なのかは分からないが、ただ「私」という人間の生活知識や、ゲームに関する記憶を持っているというだけで、わたしの中にもうひとりの人格が芽生えたというわけではない。
そして何より、今のわたしが心から思うことは…
「この世界で良かった…。本当に良かった…!」
乙女ゲームと一括りで言っても内容は様々で、殺伐とした世界は山ほどあるし、戦争に巻き込まれて三回くらい滅ぶ国、魔界から魔物がわんさか沸いてくる星など、超ヘビーモードなストーリーは世の中にいくらでもあったのだ。もしかしたら乙女ゲームに限らず、大量ゾンビな世界やライフルを抱えて派手にドンパチやるような世紀末ヒャッハー!な世界への転生だってあり得たのかもしれない。その中で、「私」が現実逃避として楽しんでいた『月と太陽のリリー』ならば、終始戦争も起きない平和な世界で生きていける。
また、舞台となっているリリーヴァレー王国は四季や自然も美しく、平民でも出世可能な能力主義の国で、「私」にとっては理想の世界だったのだ。どこの世界の神様に感謝したら良いのか分からないが、わたしはこの幸運に心から感謝していた。
前の「私」は現実逃避も含め、ばあやになることを夢見ていたが、ターニャ自身の夢も「ばあやになること」であった。子どもの頃より「いつか立派なお貴族様のお屋敷で働き、生涯お仕えすること」を夢見ていたのだ。そのため、「私」の夢には非常に共感できたし、もしかしたら思い出す以前より、前の「私」の記憶や感情に影響された結果、ばあやを目指していたのかもしれない。
わたしは五歳から、実家のパン屋の手伝いを始め、六歳からは徐々に他の店や農家での下働きもしていた。それらはすべて、「将来ばあやになるためには、その過程として優秀なメイドや侍女にならなければいけない。そのために、主人のどんな要望にもお応えできるよう、どんなことでもできるようになりたい」という強い気持ちがあった。
そう、わたしが目指すのは、ただのばあやではない。おとぎ話や小説に登場する、家事やご主人様のお世話だけでなく、様々な知識と能力を持ってご主人様を支え、必要なものは瞬時に用意し、戦闘も暗躍も何でもこなせるような、完全無欠のばあやになりたいのだ。
この世界の平民は、子どもの頃から家業の手伝いや近隣の店での下働きなどを行い、自分の適性に見合った職業を選ぶことが一般的である。最初は子どもの遊びの延長線上で、簡単な手伝いから始めるのが普通なのだが、わたしはなぜか幼い頃から「何でもできるばあやになる!」と宣言しており、吸収できるものは何でも身に着けようと、周囲の子どもたちとは一線を画すレベルで本気で働いていた。
両親の作るパンは素朴でとてもおいしいが、生来の人の好さが全面に出ており、商売としては微々たる儲けしか出ていなかった。わたしは最初は店の品出しや厨房での洗い物の手伝いから始め、徐々にパンの作り方を覚えると、店の経営の立て直しに着手した。次々と新作の総菜サンドや見た目の可愛いらしいデザートパンなどを生み出し、両親の店は街でいちばん人気のパン屋となった。
もちろん、パンを作ることだけではなく、料金設定の見直しや手作りポップの設置、商品配置と客の導線の見直しなども並行して進め、わたしの数々のアイディアによってかなりの繁盛店に成長した。ちなみに、元々おっとりした両親が忙しくなりすぎることのないよう、今は毎日夕方にほどよくすべてのパンが売り切れになるように調整している。
両親がとくに隠しもしなかったので、パン屋の成功がわたしの力によるところが大きいことは、近隣住民にもよく知られていた。これをきっかけに、潰れかけていた近所のレストランや、市場の寂れた野菜売り場の立て直しなども頼まれるようになり、小さな街でわたしはすっかり有名人になっていた。
父には「ターニャは本当にすごいなあ。自慢の娘だよ」と手放しで称賛され、母には「お母さんのうっかりが遺伝しなくて良かったわ~。だけど私たちからこんなに優秀で働き者の娘が生まれたなんて不思議ねえ~」とよく言われていた。
わたし自身、両親と自分のキャラの違いは不思議であったし、なぜこれほどまでにばあやになるために必死なのか、自分でもその原動力がよく分かっていなかったのだが、やはり前の「私」の影響を、知らず知らずのうちに受けていたのだと思う。思い返してみれば、パン屋の経営やその他のお店の立て直しなどに用いたアイディアは、前の世界の知識を無意識に利用していたのだった。
十歳のわたしの目下の目標は、平民が通える学校として最難関の、リリーヴァレー王立学院使用人科へ入学することであった。しかし、ゲームの記憶を得たことで、今後の方針を少々見直す必要が出てきた。王立学園入学まであと五年、まだ時間はある。これからのことをしっかり考えて、「わたし」と「私」の夢を絶対に叶えよう。
鏡に映った自身を見つめ、わたしは静かに決意を固めたのだった。
「ばあや!!起きて!ねえ、起きてったら!!」
「……なんですかお嬢様、そんな大きな声を出して…」
とっくの昔に母親になったというのに、少女の頃と変わらないキラキラとした大きな瞳に涙を浮かべるお嬢様を見て、思わずたしなめる言葉が口をつくが、どうにも声がかすれてしまう。
「ばあや!聞こえているか!目を閉じないでくれ!なあ、ばあや!」
「……ええ、聞こえてますよ。……いつ以来でしょうねえ、ぼっちゃまが私をばあやと呼ぶなんて…」
ほとんど骨と皮だけになってしまった皺々の左手を、いつの間にかぼっちゃまの大きな手が包み込んでいる。程よく鍛えられた体躯に、強い意志が感じられる眼差し、常に凛とした佇まいは、在りし日の先代のお姿に瓜二つだ。しかし、そんな立派な成長を遂げた彼であるが、今は声も手も微かに震えている。
その横には、今年五つになるぼっちゃまの双子の娘たちが、いつにない父と叔母の姿に心細そうな顔をしている。
「……嫌ですよ、ぼっちゃま。…少し落ち着いてくださいな。お嬢ちゃまたちが心配してますよ」
「大ばあや、どうしたの?おねむなの?」
「大ばあや、どうしたの?どこかイタイの?」
「…いいえ、お嬢ちゃま方。大ばあやはどこも悪くありませんよ。…さあさあ、こんな年寄りの部屋にいても面白くないでしょう。…食堂に行ってらっしゃいませ。…料理長がビスケットを焼いてくれますからね」
「「ビスケット!!!!」」
大好物を思い浮かべたふたりの天使は、途端に目を輝かせて駆けていく。
「大ばあや、またねー!」
「大ばあや、またくるねー!」
いつものお見舞いと同じ言葉を残し、手を振るふたりに精一杯の微笑みを返した。「また」はもう二度とないのだと、幼いふたりは知らない。
そんなふたりの姿を見たぼっちゃまとお嬢様は、いよいよ目を真っ赤にしている。
「ふたりは私が引き受けましょう。そろそろうちのおチビちゃんの昼寝も終わる頃だしね。…ばあや、ありがとう。また必ず会おう」
そう言ったのは、お嬢様のご主人様だ。
彼はお嬢様の背中を支えていた手を離し、私の右手とその上に重なるお嬢様の手を一緒に大きな両手で包んで、強くぎゅっと握りしめた。お嬢様の幼馴染みでもあった彼のことは、子どもの頃から知っており、私にとってはもうひとりのぼっちゃまのような存在だ。
その分だけ彼にも思うところがあったのだろうが、この場はぼっちゃまとお嬢様のふたりに任せようと決めたらしい。双子のお嬢ちゃまたちと同じ「また」という言葉に違う意味を込めて去って行った。此岸で「また」彼らと再会することは、もう二度とないのだ。
………良い人生だった。
長らく見守ってきたおぼっちゃまとお嬢様に逆に見守られ、両手から伝わる温もりを感じながら、ゆっくりと目を瞑る。
重いまぶたの向こう側にぼやけていく、大切な人たちの幸せを祈りながら…
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴
「…というのが私の理想の人生!」
いつものメンバーのいつもの女子会で熱弁を振るうが、友人たちの生温い視線が返される。
「いや、あんたの人生だしそれであんたが満足なら何も文句はないけどね…」
「その妙に具体的な看取り希望はなんなの?普通は自分の子どもや孫に囲まれて死にたいとか言うでしょ!何故にばあや?」
「分かんないかな~?ばあや最強じゃない!私はこれまでの仕事を通してばあやポジションに無限の可能性を感じてるんだよ!」
私は、よくぞ聞いてくれたとばかりに立ち上がり、こぶしを握り締めて熱弁する。
「まず第一に、長らく同じ家にお仕えすることが可能、つまり終身雇用!それも奉公先の一家の状況に合わせて任される仕事も変わるから、最初は下働きやメイドから始まり、徐々に実力を認められてメイド頭や侍女に昇格したり、乳母になってお子様方を育てたり、自分の年齢や能力に応じたキャリアアップができるから働くモチベーションの維持が可能!築き上げた信頼関係によってリタイア後の面倒まで見てもらえる!(イメージ)」
友人たちは私から目を反らして、「あ、この唐揚げおいしーい!」とかなんとか言っているが、私は私でそちらのことは気にせず続ける。
「第二に、ばあやには奉公先の一家、とくに家長である旦那様への絶対的忠誠心がある!(イメージ)
尊敬も信頼もできない上司の出す、理不尽で効率の悪いアホみたいな指示とは無縁の生活!このお方の言うことに間違いないと信じて迷いなく働けることのなんと素晴らしいことか!
第三に、親でも他人でもないばあやポジだからこそ適度な距離感でお子様方をかわいがることができる!(イメージ)
ベタベタに甘やかすタイプのばあやも良いし、躾に厳しく口うるさいタイプのばあやもまた良し!あくまで子育ての責任と主導権は親にありながら、親と同じかそれ以上の熱量で愛情を注げる対象がいることで死ぬまで楽しい!ばあや万歳!!そんなばあやに私はなりたい!!!」
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴
妙な夢を見てしまった…
どこか違う国なのか、私はエールのようなお酒がなみなみと注がれた大きなグラスを片手に、ばあやになるという夢について熱弁を振るっていた。最終的には、「私、生まれ変わったら絶対ばあやになるんだ!!」と叫び、周りの友人たちに「死亡フラグを立てるな!」とツッコミを入れられていた。
……ん?…私?
そう、あれは確かに「私」だった。
夢と現実が入り混じる妙な感覚に首をひねりつつ、朝の身支度を始める。初夏の清涼な空気を感じ、井戸で汲んだばかりの冷たい水で顔をさっと洗い、清潔な布で拭くと、シャキっと目が覚めた。続いて、こっそり気にしている天然の癖毛を収めるため、櫛を手に取り手鏡に向かう。
鏡に映る自分を見た瞬間、突然頭の中にもうひとりの意識が流れ込み、思わず呟いた。
「…わたし、ターニャだ。」
両親や弟妹がわたしを見たら何を当たり前のことを言っているんだとあきれただろうが、今はわたしひとりなので気にせずそのまま思考を続ける。
今朝夢に見た「私」は、「わたし」を知っていた。
「私」はここよりもずっと文明の発達した国で、会社員として働いていた。幼い頃から絵本やアニメの世界で知った「ばあや」という存在に妙に憧れ、大学時代は幼稚園教諭の免許を取得し、アルバイトではベビーシッターをしていた。子どもたちのお世話をするのは大変だけどやりがいがあって、何より私に懐いてくれる姿が可愛いくて可愛いくて仕方なかった。
現実的な給与や働き方の問題もあって、就職先は子ども相手の仕事ではなく、子ども向けの知育玩具を中心に開発を行っている、社員数80名ほどの中小企業の事務職を選んだ。新卒後三年ほど経った時点でたまたま空いた社長秘書の仕事を任された。
最初は子ども向けの夢のある仕事だと思ったのに、現実はどこまでもブラックで、事務職の三年間は残業地獄であった。社長秘書になってからは、早々に接待ディナーに出かけていく社長を見送り、ほぼ定時で会社からは帰れるようになったが、プライベートのスマートフォンには朝から深夜までお構いなしに延々とワンマン社長からの連絡が入ってきて、私は徐々にノイローゼ気味になっていった。
社長より送られてくる連絡から物理的にも精神的にも距離を取るため、休日はスマートフォンの電源を切り、パソコンで乙女ゲームをするのが、あの頃の私の唯一の楽しみであった。
現実でささくれだっていた私の心には、過激すぎる内容のゲームは合わず、グラフィックと音楽の美しさに心癒されるゲームが好みだった。中でもお気に入りだったのが、リリーヴァレー王国という架空の国を舞台とした全年齢版ゲーム、『月と太陽のリリー』だ。このゲームでは、壮麗な学園の校舎内だけでなく、イベントによって郊外の自然豊かでのどかな風景の中でキャラクターを操作できること、王都や都市部は発展しすぎず不便過ぎず、ほどよい中世感があり私好みだったこと、そして何より、身分制度はあるものの、きちんと本人の能力が評価される国の仕組みがあったことで、理不尽なことばかりの現実からトリップしたい私にはぴったりだった。
乙女ゲームなので、定番の王子様×平民出身ヒロインが結ばれるのがメインストーリーで、ふたりの邪魔をしつつ恋愛のスパイスとなる王子の婚約者(=悪役令嬢)も存在したが、全年齢版のため悪役令嬢の嫌がらせ内容もそこまで陰湿なものはなく、婚約破棄イベントは起きるが、断罪追放断頭台エンドのような凄惨な事件には発展せず、婚約破棄後の悪役令嬢は領地でしばらく謹慎になるか、修道院に入るかのどちらかであった。せめてゲームの中くらい幸せな世界であってほしいと思う私には、この過激すぎないほのぼの乙女ゲームが性に合っていたのだと思う。
そしてここからが本題であるが、今のわたし「ターニャ」は、このゲームの登場人物のひとりであった。
昔から鏡を見るたびに何か既視感のようなものを感じることがあったのだが、自分の顔を見知っているのは当たり前なので、とくに気にも留めていなかった。ゲームの記憶を思い出したわたしには、その理由が理解できていた。
「ターニャ」は主人公であるヒロイン付きの侍女であり、ゲームのサポートキャラだ。このゲームでは、ヒーローは王子をメインとした三人の男性がデフォルトでデザインされているが、ヒロインの容姿は細かくカスタマイズできるようになっていた。さらにオマケ要素としてサポートキャラにも愛着が湧くよう、ヒロインほど細かいカスタマイズはできず、顔やスタイルはデフォルト設定どおりだが、サポートキャラの名前、髪の色、髪型、瞳の色だけは選択可能になっていた。
サポートキャラは「侍女」としてヒロインに仕える設定であったことから、私は昔絵本で読んだお姫様付きのメイドの名前を付けており、そのメイドのイメージに合わせて金髪のお団子ヘアーで、目は青色にしていた。
今のわたしの名前である 「ターニャ」は、サポートキャラのデフォルト名であった。瞳の色は特徴のないダークブラウン。髪の色はピンクブラウンで髪型はミディアムボブ。天然パーマによるウェーブがかかっているが、わたしはこの癖毛にコンプレックスを持っているので、今は髪を結ってまとめられるように伸ばしているところだ。
顔立ちはデフォルトなのでゲームの記憶のとおりなのだが、自分が設定していた瞳の色や髪型と大きく異なるため、印象が違う。また、ゲームの開始年齢より今は幼いため、何か引っかかるものはあってもこれまで気づかずにいたのであろう。
そう、『月と太陽のリリー』は、王立学院の入学式の日からストーリーが始まる。その時点でヒロインと同い年のターニャは十五歳のはずだ。今のターニャは十歳なので、ここがゲームと同じ世界であるならば、本編のストーリー開始まであと五年というところだ。
「…これはいわゆる異世界転生ってやつかしら」
ここまで考えたところで、わたしは「私」の記憶から、そう推測する。ここがゲームの世界であるという証拠はないが、固有名詞や国のシステムなど、『月と太陽のリリー』の世界と一致していることから、おそらく間違いないだろう。「私」の世界にはそういったテーマを扱うゲームや作品が多数存在していたので、意外とすんなりと受け止められた。
また、いわゆる「夢オチ」や、「ゲームの世界に閉じ込められた」というパターンもあるが、十歳に至るまでのターニャ自身の記憶がしっかり存在し、夢にしては長く具体的すぎるし、現時点でターニャの人生がゲームとはまったく絡んでいなかったことから、後者の可能性も排除して良いだろう。
似た内容で「異世界転移」というジャンルもあったが、「私」とターニャの外見はまったく異なり、前の姿のまま転移したわけではないため、「転生」という理解が近いと思う。というか、どれほど考えてみたところで調べようもないので、あまり気にしないことに決めた。わたしも前の「私」も、考えても仕方のないことでは悩まない性格であった。輪廻転生という概念のあった世界で生きていた「私」の記憶が混ざったことで、わたしとしても転生も生まれ変わりもなんでもありだと感じている。
肝心の意識だが、あくまでわたしはこれまで生きてきた「ターニャ」のままであると理解する。前世なのか何なのかは分からないが、ただ「私」という人間の生活知識や、ゲームに関する記憶を持っているというだけで、わたしの中にもうひとりの人格が芽生えたというわけではない。
そして何より、今のわたしが心から思うことは…
「この世界で良かった…。本当に良かった…!」
乙女ゲームと一括りで言っても内容は様々で、殺伐とした世界は山ほどあるし、戦争に巻き込まれて三回くらい滅ぶ国、魔界から魔物がわんさか沸いてくる星など、超ヘビーモードなストーリーは世の中にいくらでもあったのだ。もしかしたら乙女ゲームに限らず、大量ゾンビな世界やライフルを抱えて派手にドンパチやるような世紀末ヒャッハー!な世界への転生だってあり得たのかもしれない。その中で、「私」が現実逃避として楽しんでいた『月と太陽のリリー』ならば、終始戦争も起きない平和な世界で生きていける。
また、舞台となっているリリーヴァレー王国は四季や自然も美しく、平民でも出世可能な能力主義の国で、「私」にとっては理想の世界だったのだ。どこの世界の神様に感謝したら良いのか分からないが、わたしはこの幸運に心から感謝していた。
前の「私」は現実逃避も含め、ばあやになることを夢見ていたが、ターニャ自身の夢も「ばあやになること」であった。子どもの頃より「いつか立派なお貴族様のお屋敷で働き、生涯お仕えすること」を夢見ていたのだ。そのため、「私」の夢には非常に共感できたし、もしかしたら思い出す以前より、前の「私」の記憶や感情に影響された結果、ばあやを目指していたのかもしれない。
わたしは五歳から、実家のパン屋の手伝いを始め、六歳からは徐々に他の店や農家での下働きもしていた。それらはすべて、「将来ばあやになるためには、その過程として優秀なメイドや侍女にならなければいけない。そのために、主人のどんな要望にもお応えできるよう、どんなことでもできるようになりたい」という強い気持ちがあった。
そう、わたしが目指すのは、ただのばあやではない。おとぎ話や小説に登場する、家事やご主人様のお世話だけでなく、様々な知識と能力を持ってご主人様を支え、必要なものは瞬時に用意し、戦闘も暗躍も何でもこなせるような、完全無欠のばあやになりたいのだ。
この世界の平民は、子どもの頃から家業の手伝いや近隣の店での下働きなどを行い、自分の適性に見合った職業を選ぶことが一般的である。最初は子どもの遊びの延長線上で、簡単な手伝いから始めるのが普通なのだが、わたしはなぜか幼い頃から「何でもできるばあやになる!」と宣言しており、吸収できるものは何でも身に着けようと、周囲の子どもたちとは一線を画すレベルで本気で働いていた。
両親の作るパンは素朴でとてもおいしいが、生来の人の好さが全面に出ており、商売としては微々たる儲けしか出ていなかった。わたしは最初は店の品出しや厨房での洗い物の手伝いから始め、徐々にパンの作り方を覚えると、店の経営の立て直しに着手した。次々と新作の総菜サンドや見た目の可愛いらしいデザートパンなどを生み出し、両親の店は街でいちばん人気のパン屋となった。
もちろん、パンを作ることだけではなく、料金設定の見直しや手作りポップの設置、商品配置と客の導線の見直しなども並行して進め、わたしの数々のアイディアによってかなりの繁盛店に成長した。ちなみに、元々おっとりした両親が忙しくなりすぎることのないよう、今は毎日夕方にほどよくすべてのパンが売り切れになるように調整している。
両親がとくに隠しもしなかったので、パン屋の成功がわたしの力によるところが大きいことは、近隣住民にもよく知られていた。これをきっかけに、潰れかけていた近所のレストランや、市場の寂れた野菜売り場の立て直しなども頼まれるようになり、小さな街でわたしはすっかり有名人になっていた。
父には「ターニャは本当にすごいなあ。自慢の娘だよ」と手放しで称賛され、母には「お母さんのうっかりが遺伝しなくて良かったわ~。だけど私たちからこんなに優秀で働き者の娘が生まれたなんて不思議ねえ~」とよく言われていた。
わたし自身、両親と自分のキャラの違いは不思議であったし、なぜこれほどまでにばあやになるために必死なのか、自分でもその原動力がよく分かっていなかったのだが、やはり前の「私」の影響を、知らず知らずのうちに受けていたのだと思う。思い返してみれば、パン屋の経営やその他のお店の立て直しなどに用いたアイディアは、前の世界の知識を無意識に利用していたのだった。
十歳のわたしの目下の目標は、平民が通える学校として最難関の、リリーヴァレー王立学院使用人科へ入学することであった。しかし、ゲームの記憶を得たことで、今後の方針を少々見直す必要が出てきた。王立学園入学まであと五年、まだ時間はある。これからのことをしっかり考えて、「わたし」と「私」の夢を絶対に叶えよう。
鏡に映った自身を見つめ、わたしは静かに決意を固めたのだった。
33
あなたにおすすめの小説
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
悪役令嬢の居場所。
葉叶
恋愛
私だけの居場所。
他の誰かの代わりとかじゃなく
私だけの場所
私はそんな居場所が欲しい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。
※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。
※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。
※完結しました!番外編執筆中です。
今度は、私の番です。
宵森みなと
恋愛
『この人生、ようやく私の番。―恋も自由も、取り返します―』
結婚、出産、子育て――
家族のために我慢し続けた40年の人生は、
ある日、検査結果も聞けないまま、静かに終わった。
だけど、そのとき心に残っていたのは、
「自分だけの自由な時間」
たったそれだけの、小さな夢だった
目を覚ましたら、私は異世界――
伯爵家の次女、13歳の少女・セレスティアに生まれ変わっていた。
「私は誰にも従いたくないの。誰かの期待通りに生きるなんてまっぴら。自分で、自分の未来を選びたい。だからこそ、特別科での学びを通して、力をつける。選ばれるためじゃない、自分で選ぶために」
自由に生き、素敵な恋だってしてみたい。
そう決めた私は、
だって、もう我慢する理由なんて、どこにもないのだから――。
これは、恋も自由も諦めなかった
ある“元・母であり妻だった”女性の、転生リスタート物語。
【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない
As-me.com
恋愛
完結しました。
自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。
そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。
ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。
そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。
周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。
※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。
こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。
ゆっくり亀更新です。
【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした
Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。
同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。
さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、
婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった……
とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。
それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、
婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく……
※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』
に出てくる主人公の友人の話です。
そちらを読んでいなくても問題ありません。
お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
あーもんど
恋愛
ある日、悪役令嬢に憑依してしまった主人公。
困惑するものの、わりとすんなり状況を受け入れ、『必ず幸せになる!』と決意。
さあ、第二の人生の幕開けよ!────と意気込むものの、人生そう上手くいかず……
────えっ?悪役令嬢って、家族と不仲だったの?
────ヒロインに『悪役になりきれ』って言われたけど、どうすれば……?
などと悩みながらも、真っ向から人と向き合い、自分なりの道を模索していく。
そんな主人公に惹かれたのか、皆だんだん優しくなっていき……?
ついには、主人公を溺愛するように!
────これは孤独だった悪役令嬢が家族に、攻略対象者に、ヒロインに愛されまくるお語。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる