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あなたじゃなきゃ②
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桔平さんの言葉に一馬さんが無表情で返事をする。
桔平さんもそこは織り込み済みだったのか、やっぱりそうか、という反応だった。
「この前会った時、恋人の名前を言ってただろ? “みお”さんだと。オッティモの受付で働いてる“みお”さんと言ったら、浅木美桜さんしかいなかったから。興信所に調査を依頼した」
詳しくはわからないけれど、桔平さんはご両親に私の話をしたことがあるようだ。
母のことをすでに知られていたとは思っていなくて驚いていると、一馬さんが視線を私のほうへ向けた。
「美桜さん、勝手に調べて本当に申し訳ない」
『遅かれ早かれ、向こうの親は美桜のことを調べてくるぞ』と、川井さんに以前言われたことを思い出した。
その通りになったけれど、正直謝られるとは夢にも思っていなかったので頭の中が混乱してくる。
私は「いえ」と小さく返事をして、恐縮しながら首を横に振った。
「あなたが香澄さんの娘さんだとわかって本当に驚いたよ。こんな偶然はあるはずがないと、調査報告書を穴が開くほど何度も見た」
「申し訳ありません」
思わず頭を下げながらそう言うと、正面にいる一馬さんが驚いた表情に変わった。
「なんで美桜が謝るんだよ。なにも謝る必要はない」
一馬さんが興信所を使ったことに対して怒っているのだろうか。隣にいる桔平さんの声からイライラが伝わってくる。
「そうよ! 美桜さんが謝ることないわ! 勝手なことをした私たちが悪いの。桔平がお見合いをどうしても嫌だって言うから、恋人がどんな人なのか調べたくなっちゃって……」
ごめんなさいね、とあざみさんが反省したように肩をすぼめたのが意外すぎて、私はキョトンとしてしまう。
「悪い。母はちょっと天然なんだ」
小さな声で横から桔平さんに言われ、口元が緩んでしまった。
先ほど、着替えなければ良かったと桔平さんに抗議していたときにも感じたけれど、これで合点がいった。
このかわいらしさは、天然な性格から来るものだったのだ、と。
正直なところ、お嬢様育ちであるあざみさんはワガママ放題に育てられた可能性もあるし、怖くて陰険な人だったらどうしよう……と、ものすごく失礼な想像をしていたのだけれど。
それとは正反対に天然で、いつも周囲を笑顔にさせる人なのだろうとイメージが変わった。
「俺、美桜と結婚するから」
突如桔平さんが、ご両親に向かってはっきりと言い放った。
声には出さなかったものの、おそらく一番驚いたのはこの私だ。
だって、結婚なんて話は……今初めて聞いたから。
「あ!……俺……」
桔平さんが体ごと私のほうに向いて、しまった!という顔をした。
「船のデッキで言うつもりだったんだ。けど、予定が狂って今になったっていうか……ごめん!」
本来なら私は素敵な夜景をバックに、デッキでプロポーズされる予定だった、ということだろうか。
結局デッキには出ず、私が抱えていた重い話をしてしまったことで桔平さんとしてはタイミングを逃したのかもしれない。
アタフタとあわてる桔平さんを見て、私は拍子抜けしてしまい、どう言葉をかけていいかわからずに口ごもってしまう。
「桔平、もしかして……今のがプロポーズなの?」
私たちの様子がおかしいと思ったのか、あざみさんが眉根を寄せながら桔平さんに問う。
桔平さんは右手で頭を抱えながら、そんなところだ、という感じでうなずいた。
桔平さんもそこは織り込み済みだったのか、やっぱりそうか、という反応だった。
「この前会った時、恋人の名前を言ってただろ? “みお”さんだと。オッティモの受付で働いてる“みお”さんと言ったら、浅木美桜さんしかいなかったから。興信所に調査を依頼した」
詳しくはわからないけれど、桔平さんはご両親に私の話をしたことがあるようだ。
母のことをすでに知られていたとは思っていなくて驚いていると、一馬さんが視線を私のほうへ向けた。
「美桜さん、勝手に調べて本当に申し訳ない」
『遅かれ早かれ、向こうの親は美桜のことを調べてくるぞ』と、川井さんに以前言われたことを思い出した。
その通りになったけれど、正直謝られるとは夢にも思っていなかったので頭の中が混乱してくる。
私は「いえ」と小さく返事をして、恐縮しながら首を横に振った。
「あなたが香澄さんの娘さんだとわかって本当に驚いたよ。こんな偶然はあるはずがないと、調査報告書を穴が開くほど何度も見た」
「申し訳ありません」
思わず頭を下げながらそう言うと、正面にいる一馬さんが驚いた表情に変わった。
「なんで美桜が謝るんだよ。なにも謝る必要はない」
一馬さんが興信所を使ったことに対して怒っているのだろうか。隣にいる桔平さんの声からイライラが伝わってくる。
「そうよ! 美桜さんが謝ることないわ! 勝手なことをした私たちが悪いの。桔平がお見合いをどうしても嫌だって言うから、恋人がどんな人なのか調べたくなっちゃって……」
ごめんなさいね、とあざみさんが反省したように肩をすぼめたのが意外すぎて、私はキョトンとしてしまう。
「悪い。母はちょっと天然なんだ」
小さな声で横から桔平さんに言われ、口元が緩んでしまった。
先ほど、着替えなければ良かったと桔平さんに抗議していたときにも感じたけれど、これで合点がいった。
このかわいらしさは、天然な性格から来るものだったのだ、と。
正直なところ、お嬢様育ちであるあざみさんはワガママ放題に育てられた可能性もあるし、怖くて陰険な人だったらどうしよう……と、ものすごく失礼な想像をしていたのだけれど。
それとは正反対に天然で、いつも周囲を笑顔にさせる人なのだろうとイメージが変わった。
「俺、美桜と結婚するから」
突如桔平さんが、ご両親に向かってはっきりと言い放った。
声には出さなかったものの、おそらく一番驚いたのはこの私だ。
だって、結婚なんて話は……今初めて聞いたから。
「あ!……俺……」
桔平さんが体ごと私のほうに向いて、しまった!という顔をした。
「船のデッキで言うつもりだったんだ。けど、予定が狂って今になったっていうか……ごめん!」
本来なら私は素敵な夜景をバックに、デッキでプロポーズされる予定だった、ということだろうか。
結局デッキには出ず、私が抱えていた重い話をしてしまったことで桔平さんとしてはタイミングを逃したのかもしれない。
アタフタとあわてる桔平さんを見て、私は拍子抜けしてしまい、どう言葉をかけていいかわからずに口ごもってしまう。
「桔平、もしかして……今のがプロポーズなの?」
私たちの様子がおかしいと思ったのか、あざみさんが眉根を寄せながら桔平さんに問う。
桔平さんは右手で頭を抱えながら、そんなところだ、という感じでうなずいた。
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