ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり

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22 約束ではない約束叶う

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「流石攻略対象者ですわ、なら私は、ヒロインポジション!?ウッゲ?」

ゲホッゲホッとむせた。
ない、ない、と否定する。

「何だ?さっきからブツブツと言って。わかる言葉で話せ!心がうるさい!」

言い方!元に戻っている

「いえ、こちらの話です。私は驚いただけです。何故こちらに来たのですか?」

一旦落ち着こう。

「ああ、もうすぐ学園が始まるな。俺達三年の生徒会は、次の役員を推薦するシステムなんだ。どうだ、リディア嬢、生徒会をやらないか?」

グレリュード様が、わざわざそんな話のために領地に来たの?
来週でも良いのではないのかしら?

「申し訳ございません。私は、その、人の為にというよりも自分の為に時間を使いたいのです。今回も、村人の相談事を解決出来なくて、困って執事に投げ出したぐらいなんです。生徒会には、真面目で几帳面な方が、良いと思います」

と言えば、すぐにそうだなと引いた。断られる前提で来たの?何なの一体!
と思って彼が乗ってきた馬に、良い生地のブランケットが括られていた。

もしかして!?

「あ、グレリュード様、私、サマーパーティーで大活躍しましたよね?夏季休暇の過ごし方で、領地の勉強ばかりで、まだ遠乗りに行っておりませんの。もしよろしければ、お付き合いくださらない?我が家の執事が厳しいので、友達が来ないとサボらせてくれませんのよ」

笑顔で誘う。

「…まぁ、いい。」

微妙な聞こえる声で、「サボってばかりでしたよね」と執事の否定的な声が聞こえた。が、無視、空気が読めないから、マーティンは領地に飛ばされたんじゃないの?

「では、行きましょう。食事や飲み物は現地調達で!」

「は?君は大丈夫なのか?仮にも令嬢だろう?」

「仮じゃなくて令嬢ですけど。遠乗りに荷物は邪魔じゃないですか、それに現地にお金を落とすのが、貴族でしょう?」

と言えば、

「確かに、そうだが」

「さぁさぁ、私の馬も連れて来てください。その間にさっさと着替えてきますから」

あ、言葉伸ばさなかった、ヒロイン失格じゃない!

〰︎

「さぁ行きましょう。森林浴に川の下流、小高い丘、良い場所がありますよ」

と言うとグレリュード様は、笑い出した。
「好きな所で」

と言われたので川の下流にした。

「ほらこの村で、水を買っていきますよ」

私は、ストーカーをすることには、慣れているけど、私自身を観察されることには慣れていないのだ。グレリュード様の視線がうるさい。

「ああ、これがうるさいですか、体験するとよくわかります」

「何が?」

「グレリュード様の私を観察する視線がうるさかったもので。よくグレリュード様が言うでしょう、存在がうるさい、気配がうるさい、声がうるさい、今日は心がうるさいでしたね」

「…そんな酷い、失礼な、ことばかり言ってない」

えっ?忘れているの?
記憶喪失疑うぐらいだわ、あなたの口癖よ。

「本気で言ってますか?一度生徒会のメンバーに聞いてみてください。もしかして私限定語録?」

何故か凄い困った顔をされたわ。無意識って怖っ、私が悪いこと言ったみたいになるじゃない?

「大丈夫ですか?」

と聞くと、

「わからない。リディア嬢を観察しているつもりはなかった。無意識だ。悪かった」

「ああ、大丈夫です。私も気にしてすぐ口に出してしまい、すみません。もうすぐ着きますよ」

「その、言葉が、キツい言い方になってしまい、悪かった」

おい、どうした?(再)

謝ってきた。気にしているようだ。
『うるさい』が口癖なこと?私に言ったこと?
どっち?まぁいいか。私を見てくれているんだから。それに優しい。

「はい!」

と言えば、ホッとしたように笑ってきた。別にうるさいと言われて、悲しかったり、怒ったりしてないのだけど…

浅い川には、子供達が釣りをしたり、石投げや石積みをしたり、少し離れたところには、組み木の周りに釣った魚を焼いていた。

「村の子供や年寄りの憩いの場か」

「はい!釣り竿借りましょう。魚は捌いて焼いてくれますよ、あそこにいるお婆が」

二人で釣りをやる。
せっかく来てくれたなら、面白話や盛り上がる話題を提供しようと試みたものの、グレリュード様が話す気がないのか、無言で楽しそうに釣り竿を振ったり動かしているので、私も黙った。

「おい、貴族様、竿動かしすぎ、ここの魚はみんな頭がいいから、餌だけやられるよ」

と子供に言われては、「あ、やられた」を繰り返している。可愛い。
最後の最後に夏季休暇のお楽しみをくれた神様に感謝だわ。
まさか、夏季休暇分に稼いだ徳を今日放出しちゃったり!?
それはちょっと、だけどこんな日が来たことは、凄く驚いたし幸せだからいいか。
領地から帰ったら、友達とお茶会だし、また自慢からの自慢ね、またしても私の一人勝ち。

「リディア嬢、うるさい!」

「はい!」

と言えば、慌ててグレリュード様は口を押さえていた。今、気づいたらしい。野生勘はあるのに鈍感って変なの~

「怒ってないですよ」

「…何でだ。言い方がキツいとよく言われる。不愉快だろう」

「少し…も不愉快じゃありません。むしろ嬉しい?」

「怖い」

引いてるようだ。

「でも私の返事で、怖かったとか困ったとか、悲しいとか感じましたか?」

「いや、感じない」

「それが答えです。一言でも頂けたことが嬉しいし、喜びです。違うかな、気にしてもらっているとか気に留めてもらっているみたいな、私を感じていてくれているから嬉しい?」

グレリュード様に聞いてしまった。
目をパチクリする顔までもかっこいい。
ある意味罪な男だ。
弟分の男に、盲目的な信仰をされるぐらい好かれて(暴走)
王子様の婚約者候補の筆頭の令嬢に、熱烈に好かれて(暴走)

そして、今度は…

元ストーカーをした可愛いくて、可憐で、スタイルはこれからに期待大の光り輝く純粋な乙女(冷静)を


落としにかかっている伯爵令息嫡男だ。

「なんて罪な…」

「またなんかごちゃごちゃと頭の中か心で言っているだろう。ちゃんと言葉にしろ!」

「いえ、それはちょっと、純粋な乙女は、夢見る令嬢ってことで」

「ハァーー、まぁいい。今日俺が来た理由は、セルジオが学園をやめて、隣国のドルタンに行く。親父さんの商会の伝手でドルタンの商会の丁稚からの出発だ。で、あいつからの伝言。俺は何も諦めてない糞女だそうだ。本当にすまない」

なーんだ。
セルジオのことを伝えに来たのか。
すっかり、夏季休暇の誘われデートだと思っていたよ。
なーんだ。

「セルジオさんですか、すっかり忘れてました。確かにパーティー後では話題に上がりましたがガルドニ領では、誰も知りませんし」

「そうか、気にしてないなら、いい。そして、アンネリーネ嬢は、正式にトリスタン王子の婚約者を降りた。現在何をしているかとか学園に来るのかとかは知らない」

そっちもどうでもいい。
アンネリーネ様の一団は解散ってことなら、嬉しい情報だけど。
あれだけ知れ渡った情報は、アンネリーネ様をこれからも苦しめるだろう。

私の話でさえ中々記憶は消えないのだから。
私が浮かれているけど、冷静でいられるのは、グレリュード様の事を調査済みだからだ。

「パーティー後にトリスタン王子様にコンドール公爵家は切ると言う話はされましたが、アンネリーネ様のことは、何をしているかは知りませんね。そう言えば、グレリュード様を学園入学前に街で見かけた事があるんですよ、フードをしっかり被って髪色まで変えていたのは、尾行されていたからなんですね。盗人を倒してくれたはいいけど、そのまま放置していくから、後の始末、私がやったんですのよ。覚えてはおられないでしょうが」

「金色の髪をなびかせて、赤いリボンをつけた町娘を装った貴族令嬢だったな。あれでは変装にもなってない!あんな目立てば狙って」

ええーーーーーー
何それ!?覚えて

「あ、お貴族様危ない!」

(お約束はいらないのにーーー)
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