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第三十七話 恐怖の盾なる用心棒
その頃、ラグナロクでは…
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ナガレが運命の再会をした、その頃……。
エンペリオン地方、王国最大の都市アルファダム。その一角にあるボロ倉庫のような建造物……ラグナロクのアジトだ。
寝静まった夜、一人の男が中に入っていった。夏場にも関わらず、黒い帽子とコートを着ている。その竜の頭……マッシバーだ。
鋼鉄の扉を開き部屋に入る。乱暴にコートを投げ捨て……ようとして、やっぱり帽子も合わせてハンガーにかけた。
中に着ているのは、濃黒の超高級スリーピーススーツ(ジャケット+スラックス+ベスト)。ジャケットを乱暴に上へと放り投げた。
バサァッ……パシッ!
そのままマッシバーへ落ちてくるかと思いきや、野太い手が伸びてきてジャケットを受け止める。
「お帰りなさい、マッシバー♡」
「おう、シルヴィア」
ニコニコ笑いながらジャケットを片付けるのは、目を疑ういつもの薄着……ではなく、ゆるいスウェット上下のシルヴィアだった。
「その格好、今寝るとこだったか。呼びつけてすまねえな」
「いいのよ。アタシ、家近いし」
ごろりとソファに寝転がり、謝罪するマッシバー。これだけで一千ダラーを超える黒いベスト、この世に二つとない超高級オーダーメイドのスラックス。ネクタイやシャツも、サスペンダーだって超高級だ。
「あら、サスペンダーにしたの? アナタ、いつもはベルトだったじゃない」
「お得意様の富豪だったんでよ。アレブリンパンサーの毛皮で絨毯作るってイカれた爺さんだ」
アレブリンパンサーとは、エンペリオン地方とスラガン地方の境目にあるサバンナ地域のモンスター。危険度は堂々のS級で、羽が生えた大型のネコ科モンスター。
パワーもスピードも桁違いでさらに魔法まで扱う、王国の軍隊だって太刀打ちできない恐ろしいモンスターだ。
「あら、一人でやってきたの? 大変だったわね。でもカッコいいわ♡」
「ケッ、あの程度。あれっぽっちでS級たぁ笑わせやがる。それにアレブリンパンサーもガリガリヨボヨボの老体だったしな」
それを老いた個体とはいえ、単独で狩猟するとは恐ろしい強さである。……にしてもシルヴィアとマッシバーの受け答えは、まるで親子のようだった。
静かな夜、月明かりが窓から差し込んでくる。……がマッシバーは気に入らなかったのか立ち上がり、すぐにシャッターを下ろしてしまった。
「あの爺さん、カッチリしたのが好きらしいからな。俺らしくもねえが、金のためと思ってわざわざスーツを買いつけて古臭えサスペンダーまでつけてったんだぜ。そしたらどうしたと思う?」
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