崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第三十八話 恋の祭りは鬼火の如し

道中

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 カタンコトンと、かなり静かな通行音。駅馬車用の安価でチャチなもんじゃない、ネーベルカンパニー重役が使うものだ。
 街の景色が前から後ろへ流れていく。馬車の中でそんな会話をしている四人。
 ちなみにミケとシャットは、言っちゃあなんだが見た目が弱そうなのでこの場にいない。
 嘘でもナガレたちのセキュリティとして、強そうなベネットとニンゲンに似たニンフォが黒服として同行する。残る二人は外部にて待機している予定だ。
「マルチスタッフ……ではないけど、杖も持ったし」
 ナガレは武器代わりに、長めの鉄製のステッキを持っている。若干サイズが長いものの、本当になんの変哲もない、硬いステッキだ。
「恥ずかしながら、パンプスに履き慣れていないんです♡」とでも言い訳する予定である。
「……手頃な棒なら、なんでも凶器になる。それに使い手が扱って初めて凶器になるため、棒自体はただの棒……。さすがは暗殺術だな」
「ん、なんか言った?」
「……なんでもない。いいか、お前はスー・ウエストなんだ。兄妹なら癖も真似できるだろうが、ボロを出すなよ」
「でもスーさんはほとんど金持ち連中に顔が知られてないわ。なんとかなるんじゃない?」
「……だといいが。お前たちもまた、金持ちのガードなんだ。特にニンフォ、お前は無駄口を叩くなよ。黙っていれば、ただの黒服にしか見えん」
「うん」
 慎重なジョーの意見。ナガレはじっと彼を観察している。
 ジョーは普段の黒いマスクではなく、白色のものをつけていた。さらに片目には伊達モノクルをつけて、髪型もオールバックにしている変装だ。
「それに俺たちは今の所、いつもの防具がない。このタキシード、そして二人がきているスーツはネーベルカンパニーの護衛が使う特注物だ。だが、ナガレはほとんど布切れ……戦いになったら注意しなくては」
 実はナガレ以外の三人は、対斬撃用の鎖帷子をインナーとして着込んでいる。スーツの中でも気にならず、最低限の防御機能がある高級品。
 ……と、ここでナガレの目がニンマリ細められた。

「……ひょっとしてジョー、緊張してる?」
「なっ……そ、そんなことはない。なぜ……なぜ、そう思うんだ」
 ナガレの問いに、ジョーは露骨にビクッとした。
「だって、いつもより口数が多い気がしたから」
「え、そうなの?」「気づかなかったッス」
 さすがは相棒、些細な違いもすぐ分かったようだ。ジョーは恥ずかしそうに俯いた。
「……緊張しないワケがない。なんせ社交ダンスなんて初めてだ」
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