崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第三十九・五話 魔術師の退屈しない毎日

公爵、襲来

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 ……悲しきかな、場の空気は分かっても、言っちゃいけない雰囲気までは分からなかったらしい。タネツとヒズマの表情も、同じくらい悪くなったのも見えなかった。

「……ほう、なるほど」
 聞き覚えのある声。サニーが中へ視線をやると、そこにはディズ・イツマム公爵がいた。
 クッション付きの良い椅子に座っている。いつもながらサラサラしてそうなショートボブの金髪。にこやかでハンサムな笑みを浮かべている。
 ……無論、メンバーの半分が実質離脱しているギルド組にとっては、まさしく悪魔のほくそ笑みであるが。
「んっふっふー♬ ボンジョルーノ、冒険者の皆様ぁ」
 ドリルツインテを揺らしながら、奥様のメロサも手を振ってくれた。自分の両手をディズの腕にがっちり絡ませて座っている。
「……なるほど、嘘は言っていない様子です。彼らはそう落ち込んでいるようには見えませんね」
「ほ、ほら! おれ、い、いやワタクシが言った通りですっ!」
「ね、ねぇタネツさん! ヒズマさん! 私たち頑張ってますもんね! ナガレさんたち、絶対絶対ゼッタイ戻ってきますよね!」
「そうっしょ! あ、あーしら約束したもんね! 今はちょっと別行動してるだけで、円満に見送って別れたし、そのうち戻ってくるもんねっ!」
 首を傾げるディズの近くで、必死でまくし立てるアルクル・フローレンス・センチア。タネツとヒズマを見つめる目で「空気読んで! お願い!」と魂の懇願を続けている。
「いえ、それは……ぼぎゃべぶっ!」
「も、もちろんよ~! ナガレ君とジョー君と後輩のみなさんたちは、イビル教団を追うためにコナキ地方へ言ってるのよ~」
「そっそっその通り! バッファローに何かあったらまずいから、俺たちは留守番してんだよなぁ~」
 絶対いらんこと言うサニーを抑えつつ、二人もうまく話を合わせた。ディズとメロサは顔を見合わせて、またアルクルの方を向く。
「……申し訳ない、あらぬ疑いをかけたようです。まさか喧嘩別れしてギルドから離脱したのではと、つい疑ってしまいました」
「だから言ったでしょう、ダーリン? わったくしのかわゆいかわゆい妹は、嘘なんかぜぇ~ったいに言いませんわ」
 八十パーセントくらい事実なのだが、それでもディズとメロサを誤魔化せたようだ。
(サキミの嬢ちゃんが庇ってくれてたのか)
(た、助かったわ~。ありがとうサキミちゃん、いやサキミ様……あとナガレ君もありがとう)
 一同ホッとしながら「もう行きましょう、お邪魔しました」と立ち上がるディズとメロサを見送る。
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