崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第四十話 クリスタル・ピックアックス

さらば、魔族の少女

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「うんうん。私もありがとう。久しぶりに同族と話せて嬉しかったわ」
 穏便に別れようとしたニンフォ。もっと一緒にいてあげたい。そんな気持ちを押し殺して、大人に振る舞っていた。
「そ、それじゃ、さ、さよ……さ、よ……」
 しかし、メルルの声が震えている。その後の言葉が続かない。
 行き交う通行人もまばらで、気温も結構寒い。しかしニンフォもタンデムも、彼女の言葉を待っていた。
「さ、さよ……ううっ、さ……うわああああ!」
 やはりメルルは我慢できなかった。堰き止められた川が決壊するように、大粒の涙を溢した。
「ご、ごめんなざい、わ、わだじやっばりぃ…………!」
「もう泣かないでよ! わ、私まで……クッ、泣かないように、決めてたのに……」
 そう言いつつしゃがんで、優しくメルルを抱くニンフォ。彼女の目からも、一筋の涙がこぼれ落ちていた。
「うぅっ、ぐずっ……あったかい……なんだろう、この気持ち……」
「(ズズーーッ!)グスン……ど、同種族の安心感よきっと。ニンゲンのみならずこの世界の種族は、群れることを明確な利点とすべく、一緒にいると心地よいように感じるの」
 説明口調になっているのも、涙を誤魔化すため。本当はそんな本能でも同族意識でもなく、もっと深いところにあると、二人とも分かっていた。

「わだじ……グズッ! わ、わだ……私! もっと自分に自信を持って生きてみます! サキュバスであることを誇りに思いますっ! でもそれと一緒に……私はおじさまの、タンデムの娘だって、それも私の、誇りです!」
「メルル……そう言ってくれて、私も幸せだ。私も一人の人間として、いや、父親として……ククッ、そ、そうか……」
 目頭を押さえるタンデム。
 どんな過去があったかは関係ない。メルルの今の父親は、大切な育ての親は、今ここにいるタンデムだ。

「うん……そろそろ行かないと」
「あ…………」
 心の中で歯を食いしばって、メルルを抱く手を緩めた。彼女を優しくタンデムの方へ押しやった。
「そんな顔しないで。この青空の下にいる限り、きっとまた会える。それにアナタはこれから、私なんか忘れちゃうくらい、たくさんの出会いをするはずだから」
「ニンフォさん……」
 ふと二人とも、上を見上げた。カラッと晴れた青空は、冬の冷たさも相待って、とても爽やかだった。
「だから、笑ってお別れしましょ。さよならじゃなくて、またねって」
 そう言って、ニヤッと微笑む。
「次に会えたら、経験人数聞かせてね! 私ったらすごいわよ! このマリーオウに来てからだけで二十人の男を……」
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