崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第一話 最悪のギルド!?

再開

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~☆~☆~☆~☆~☆~

「……ってことがあったんすよ」
 どこか遠い目をしてナガレは話していた。……って、左側から何かイビキが聞こえるような……。
 そっちを見ると、先輩二人は机にへたり込んで寝息を立てていた。
「~~~~ッ……ね、寝るなぁぁぁッ!」
 顔を真っ赤にして怒るナガレ。しかし二人はどれだけ怒鳴っても起きる気配がない。
「こ、こんにゃろ……そっちが先に聞いてきたんだろうが……」
「よしなってお客さん。酔っ払いに怒っても疲れるだけさ」
 椅子を蹴っ飛ばそうとしたナガレを、バーテンダーのおじさんが優しくなだめる。
「シラフに見えて、お客さんも少し気が大きくなっているんだよ。ほらサービスにしとくから、ソーダでも飲みな」
 出されたソーダを一気飲みするナガレ。冷たくて爽やかな飲み物を飲んで、気持ちが少し落ち着いた。
「……ありがとう、おっちゃん」
「いいってことさ。今日はもう帰った方がいいよ、もう十一時を過ぎてるころだ」
 そういってバーテンダーが、歯車式の大きな時計を指さす。時計の針はまっすぐ上を指すところだった。
「げ!?」
「大丈夫、お兄さんから代金は頂かないよ。おごりって聞いてるからね。潰れたこの人たちも私が面倒みるからもう行って大丈夫だよ」
「ありがとう……次は一人でのんびり飲みに来るよ」
 そういって自分の代金をカウンターに置いて、あわただしく荷物をまとめて出て行った。
「……おごりで良いって言ったのに」

~☆~☆~☆~☆~☆~

 次の日。結構寝てたようで、ナガレの部屋の窓の外では、太陽が天高く登っていた。
「ん……ふあぁ~っ……」
 ナガレは眠い目を擦って、家のベッドから降りた。だっさいシマシマのパジャマ姿で、結構な長髪は寝癖だらけ。しかし昨日は強い酒を飲んだのに、意識がケロッとしている。窓の外には太陽が高くまで昇っていた。もうお昼時だ……。
「おはよ~執事さん……て、ここにはオレ一人だったな」
 少し寝ぼけているようだ。体の傷を見てみても、安静にしていたおかげで塞がっている。さすがはギルド御用達の回復薬!
 そんな訳で顔を洗って鎧に着替え、今日も今日とてクエストに向かう。ぼっさぼさの髪をクシでまとめてトレードマークの緑のスカーフを巻いたら、いつものナガレに早変わり!
「うっし、今日も頑張ってクエストに行くぜ!」
 一人で気合を入れて家のドアを開ける……。

「ひゃあっ⁉︎」
「おわっ⁉︎」
 すると廊下の向かいに、一人の女性が立っていた。気合そのまま勢いよくドアを開けたせいで驚かせたようだ。
「す、すみません! お邪魔でしたらすぐ出て行くので!」
「いや……えっと、アンタは誰なんだ?」
「あっ、すいません。私ったら……」
 女性は丁寧に頭を下げた。見たところ自分と同年代の少女……もっと言うと、どこかで見たことあるような? 
「あぁっ⁉︎ アンタ、あの時の!」
「はっ、はい! あの時は助けていただき、ありがとうございました。私、アリッサ・ケランって言います」
 あの時スカルクリーチャーに襲われていた少女だ。
「そうか、オレはナガレ。ナガレ・ウエストだよ」
「オレ……? あ、あの、失礼かもしれませんけど、もしかして男性なの?」
「うん……大丈夫、よく言われる。昔っからこう言う顔立ちでさ」
 昔っから顔がアイドルみたいに可愛かった。心も体も男なのに、ナガレにとって凄まじいコンプレックスとなっている……まぁそれはともかく。
「あの、ナガレさん……ですよね? 昨日からずっとお礼を言いたくって……ギルドマスターのレンさんにお家の場所を聞いたので、朝からずっとここで待ってたんです」
「そんなにか⁉︎ なんというか、そこまで恩を着せた覚えはないけどなぁ」
 助けておいてそんなことを言うナガレ。内心では、誰かの助けになれてとても嬉しい。
「それで、えっと、実はもう一つここに来た理由があって……」
 アリッサは急に下を向いてもごもごし始めた。何か言いたくないことがあるようで……。
「ちょっと廊下で話すのも迷惑になるし……建物の下に降りよっか」
「は、はい! あの、助けてくれてありがとうございます!」
「それはさっき聞いたよ」
「あっえっ、す、すいません! けど、お礼は何度言っても良いものだと思いまして……あぶぶぶぶ!」
「落ち着けよ!」

 と言う訳で外に出て、宿屋の壁に持たれて話すことにした。昼下がりの太陽が心地よい。
「ブルルルル!」
 建物のそばに繋がれた、昨日の馬が近寄ってくる。腹にはちょっと雑に包帯が巻かれている……治療方法は合っているのだろうか? 馬はナガレのことを覚えているのか、こちらに近寄って頬擦りしてきた。
「ちょっ、くすぐったいって! 可愛いなぁ……っと。それで、言いたいことってなんだい?」
 ナガレがそう言うと、アリッサは気まずそうに目を逸らす。これは軽い話でなさそうだ……。
「えっと、あの……じ、実は報酬金の事なんです」
「え、じゃあアリッサ、アンタが依頼主?」
「そうなんです! 皆さんが探しに行ってくれないので、もう自分で見つけちゃうぞ~……って」
「なるほどね」
 それでスカルクリーチャーに目をつけられたのを、馬に連れられたナガレが見つけたという感じだったようだ。
「ブルルルッ!」
「あははっ、やめろよぉ~! 大きい馬だね。名前はなんて言うの?」
「ブラウンって言います。毛並みが茶色なので、お父さんが名づけたんです」
「へぇ、お父さんが……っとごめん、話逸らしちまった。続けてくれるか?」
 アリッサは背伸びして、ブラウンの背中を軽く叩く。するとブラウンはナガレから離れて、彼女の近くにやってきた。
「は、はい。それで……その実は……報酬金払うの、一ヶ月待ってくれませんか⁉︎」
「へ?」
「あいえ、必ずお支払いします! でも今は新しい商品を仕入れたばかりなので、五十ダラーでも惜しいんです。どうか来月まで待ってほしいんです……いいですか?」
 恐る恐るこちらを見てくるアリッサ。ナガレは少し考えてから口を開いた。
 
「……いや、オレに報酬金はおかしいよ」
「え?」
「ブラウンを見つけたのはアリッサじゃないか。オレはスカルクリーチャーを追い払っただけで、見つけてもないからね」
「え!? い、いやそれって……」
 あわあわ口のアリッサ。そんな様子とは反対にナガレは爽やかな笑みを浮かべている。
「それにスカルクリーチャーを追っ払ったのはあの旅人だし。どうしてもお礼したいってんなら、旅人さんに渡してよ」
「でも……」 
 反論しようとして、アリッサは口をつぐむ。ナガレは報酬金を突っぱねようとしているのだ……下手な嘘までついて。目撃者はナガレとアリッサだけだ。口裏を合わせれば、だれからも疑われることないだろう。
「……は、はい。分かりました……」
「分かればよろしいっ。じゃあオレはこれで!」
 そう言うとナガレはスタスタと足早にギルドへ行ってしまった。

「ナガレさん……ですね。その名前、絶対に忘れません!」
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