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第二話 目指せスキルアップ!
魔人ロリっ子
しおりを挟む一方、メロサと別れた後のナガレ。施設を行き交う冒険者たちに教えてもらい、ようやくスキル鑑定の店に辿り着いた。角を何回も曲がった路地裏にひっそりとテントが立っている。人通りも大通りに比べるとかなり少なくなった。
すぐ近くには、まるで金持ちの宮殿のような煌びやかさのタイガス冒険者ギルドがある。かつてはジャイアという街に本部あったのだが、建物の老朽化に伴い数年前に移転したのだ。新築なのも相まって冒険者の数は増えるばかりらしい。……バッファロー冒険者ギルド支部はボロボロなのに。
「スキル鑑定はあっちを曲がったところだよ。ところでキミはどこかのパーティに?」
「いや、そう言うわけじゃないんですけど」
「それなら向こうにあるわよ。新入りの子? 良かったら私たちのパーティに……」
「オレはただの観光客で……」
「アレがスキル鑑定屋だぜ。一緒にクエスト行かないかい? ウチはゆる~くやってるから、初心者歓迎だよ!」
「か、考えておきます、あはは……」
……どうも新しくやってきた新参者だと思われたらしく、あっちこっちのパーティから勧誘を受けた。そういえばここまで来る途中にタネツとヒズマがこんなことを言っていたな……。
「移転前からあそこの冒険者ギルドは派閥が激しくてなぁ。数十人規模でグループを組んで、得意不得意に合わせたメンバーでクエストに行くっちゅー輩が大半だ。どこもとにかく数がいるから、新米はすぐどこかしらのグループに引っこ抜かれる」
「ナガレ君みたいな新人を見つけた時なんか、もう一触即発の状況よ~。無垢な新人を引き摺り込んで、競争社会に放り込むの。そんな厳しい状況に追い込まれるから、みんな必死で強くなる。それがタイガスのギルドの特徴なのよ~」
その時は「へぇ~」程度にしか思っていなかったが、新人冒険者はこんな感じでグループに加入するのだろう。ナガレが声をかけられたのも、魅力があったわけではなくとにかくグループにメンバーが欲しいという心境に違いない。
そうして加入したグループで芽を出せずに腐ってしまうか、実力を示してのし上がるかは本人次第……。実力主義と言えば聞こえは良いが、実際は弱い者に価値はないという非道さがある。
ただナガレからすれば、それを考慮しても羨ましい。どう足掻いても潰れそうなバッファローのギルドに比べたら、実力でのし上がれるこちらの方がよっぽどいいと思う。
「やれやれ、どっちがマシなんだか。えーっと……あった! アレのことだな」
人混みを抜けると、いかにもな感じの大きなテントがあった。紫色の布を被せたテントの下には、折りたたみ式の長机がある。机の上には顔より大きな水晶玉が乗ってあった。なんだか胡散臭いが、通行人の話によれば多分コレである。
「もしもーし。そこのお姉さん、もしかしてお客さんですかー?」
「…………」
「そこの白髪で褐色で鎧姿のお姉さんのことですよー」
(……オレのことか。男なんだけどなぁ)
後ろから呼び止められ振り返るナガレ。しかしそこには誰もいない。
「下です、下」
「下……うわ!」
視線を下げるとそこには一人の女の子がいた。ナガレの腰元くらいしかないロリ……もとい幼い少女だ。三つ編みの黄色髪という部分までは普通の女の子だが……なんと肌色は人間のそれとは思えぬ紫色! さらに額からは黒く尖った、立派な黒いツノが生えていた!
「むーっ、人の顔見て驚くなんて酷いですー」
「や、ごめんごめん。まさか魔人のお方だったとは……」
魔人とは、この世界に生息する知性を持った亜人種の一つ。はっきり言うとエルフを超える力と魔法適性と寿命を持つ人間の完全なる上位互換だ。大昔から存在する数多くの史跡により、全ての種族の祖先と考察されている。
大昔に大陸の覇権を巡って人間と全面戦争したことがあり、圧倒的な個々の力で侵略を続けた……のだが、オークや小鬼族やエルフに獣人など他種族が人間に味方したことで敗れ降参。時が経つにつれて差別も偏見もなくなり、今も少数がひっそりと社会に溶け込み暮らしている。
「……ほうほう、ナガレさんですかー。先ほどは女性とお間違いしてしまい、申し訳ありませんでしたー」
「いいんだ、よくあることだから。それよりキミは?」
少し時間が経ち、テントの長机を挟んで会話する二人。少女はどこからか引っ張り出してきた椅子にちょこんと座っている。
「はいー! これでもワタシ、このスキル鑑定屋さんの店主でーす。ドロシーって言いますー。早速ですが、スキル鑑定は初めてですかー?」
「実はそうなんだ。あんまり急いでこっちに来たもんだから……その、費用はどのくらいかかりそう?」
「あ、お待たせしちゃったみたいなので今回はタダで良いですよー」
「そっか、ありがとう! ところで今までどこいってたのさ?」
「ぎくっ……じ、じゃあ今から説明していきますねー!」
(サボってたんだな……)
ナガレの白い目を知ってか知らずか、ドロシーは慌てた様子で水晶玉に自分の手を置いた。
「ところで、どうしてこんな地味なところで店を開いてんの?」
「一応は個人情報ですからねー。気にするお客様もいらっしゃるので、人通りが少ない方が良いんですー。ナガレさんはそういうの気にしちゃいますかー?」
「オレは大丈夫! さあ、始めてくれよ」
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