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第二話 目指せスキルアップ!
突然の添い寝⁉︎
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「むにゃむにゃ……ん、もう夜か」
気がつけば窓の外は真っ暗だった。ベッドの中でうっすら目を開けるナガレ。瞼がなんだか腫れぼったい……よく覚えていないが、泣き疲れて眠っていたようだ。抱き枕をぎゅっと抱きしめたまま眠っていた。
(特訓の時間か。アリッサ待っててくれてるのかな。……でもオレが特訓する意味なんて。でもアリッサを待たせるのは……とりあえず顔でも洗ってくるか)
抱き枕をもう一度ぎゅっと抱きしめてから、ふと考える。
(ありゃ、オレ抱き枕持ってきてたっけ? 実家に忘れてきてたはずだけど……)
そうして視線を下げると、そこにはサラサラした茶色の毛玉が……いや、コレは人間の髪の毛だ。なんだか良い香りがする。
「え、髪の毛?」
「む、ナガレくん。ようやく起きたかの」
ギルドマスターのレンと目があった。どうやら睡眠時の抱きしめ癖で、寝ている間にレンをバックハグしていたようだ。
「………………」
「ふわあ……いかん、私もうたた寝してしまったようじゃ。起きたようだし、そろそろ離してもらえぬか?」
「…………………………ぎょえぁぁァァァァァァァッッッーーーー⁉︎⁉︎⁉︎」
「うわぁ! な、ナガレ君⁉︎ まさか今更気づいたのじゃー⁉︎」
「どわビビった! 急に大声出すんじゃねえよ!」
部屋の椅子に腰掛けていたアルクルが、発狂したナガレに驚きひっくり返る。
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「落ち着いたかい?」
「はい……」
あの後ナガレがパニックで大暴れしたのち、三人は床にちょこんと座っていた。アルクルが汲んできた水を飲み干し、一息つくナガレ。
「痛い……まずは謝るべきだな。心配してたとはいえ、無断で部屋に入り込んですまなかった」
「ふえぇ……すまなかったのじゃあ……。心配してたから深く考えておらんかったのじゃ……許してたもれ」
アルクルとレンは半泣きの表情で、正座のまま頭を下げた。丁寧な土下座である。……混乱したナガレの鉄拳によって、二人の脳天には大きなタンコブが出来ていた。
「いやいや、こっちもゲンコツかましてすいません……で、どうしてここに?」
「言い訳に聞こえるかもしれぬが、本当にナガレ君を本当に心配して来たのじゃ。数時間前ギルドに来たヒズマが、君が落ち込んでいることを聞かせてくれての」
「そりゃあ相当な落ち込み様だったって聞いてよ、俺の付き添いでマスターが尋ねに行ったんだ。このエルフ氏はこんな見た目のロリババアだから、年の功でアドバイスってワケ」
「ロリババアは余計じゃ!」
パコーン!
レンが持っていた杖で、アルクルの頭を思い切りはたく。
「いってぇさっき殴られたトコ……それで向かってる時アリッサちゃんとも出会ってよ、そしたら『ナガレ君見ませんでした? 広場でルックと待ってたんですけど、来なかったんです』なんて言われてなあ……」
「自分でも短絡的なことだと分かっておる。じゃが、まさかナガレ君がショックで早まった行動を……なんて考えがよぎってしまい、急いで君の家に行ったんじゃ」
「そしたら鍵もあけっぱでナガレ君がグッスリだったから、安心してマスターがベッドの側に座ったワケよ。オレもホッとした瞬間ナガレくんが寝返り打ってマスターに触って……」
「そのまま引き摺り込まれてしまったのじゃ。ぐっすりじゃったぞよ」
なるほど、それが事の真相のようだ。ようやくナガレは安堵のため息を漏らす。
「じ、じゃあオレは何もしてないんですね? てっきり覚えてない間にとんでもないことをしてしまったのかと……はぁ、良かった~」
「うむ、手も足も出してこなかったから安心してよいぞ。……涙と鼻水はドボドボ出ておったが。むしろ体温があったかくて心地よくて、私まで寝てしまったくらいじゃ」
「ちょっとマスター、ピュアなナガレ君がアンタみたいな人を誘惑するわけないでしょーに。確かに見たくれは幼女だけど、二百歳超えのババアエルフなんて……」
バキッ!
「……すいませんでした」
「ぷっ……あ、あははははっ!」
そんな様子を見て、ついにナガレが吹き出した。まるで親子のような、お笑いコントに見えて仕方がない。なんだか悩んでいるのがバカらしくなってきたのだ。
「お、笑ってくれたのじゃ!」
「じゃあ俺が二回殴られたのも、無駄じゃなかったって事っスね」
「三回目をお見舞いしてやろうかの?」
「なんでっスか!」
「冗談じゃ。余計な事を言うでないぞ」
「くくくっ……も、もう良いですよ。めっちゃ面白かったです」
そう言って立ち上がるナガレ。寝起き時の憂いに満ちた表情はどこへやら、いつもの爽やかな笑顔があった。
「もう大丈夫です! スキルなんか無くっても、それくらいで夢を諦めたりしちゃダメですよね……」
「うむ、その通りじゃ! それに今スキルがなくとも、後からいくらでもついてくるモノじゃぞ」
「……えっ?」
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