崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二話 目指せスキルアップ!

予兆②

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「あ……あれはなんなんだ……⁉︎」
 
 紫色の光の正体。
 それは燃え上がる大きな篝火だった。何十にも木材を組み重ね、煌々と紫色の炎が燃えている。しかし不思議と煙は出ていない……。
「魔法よ……! マナを使って作られた闇属性の炎は必ず紫色になる……あれは闇の魔法だわ……! ヤバいわよ、これ……!」
 全員の額を冷や汗が流れる。
 よく見たら篝火だけではない。それを囲むように、地面には模様や置物がある。……いや、あれは置物ではなく、ひざまずいた黒装束の人間たち! 規則正しく並び、みんな篝火に頭を下げている。
「リ、リーダー……! あれは魔法陣っす……!」
 篝火を囲む模様の正体は、ルーン文字が描かれた魔法陣だ! 星のような模様が何重にも描かれた禍々しい紋章が広がっていた。
「なんだと……⁉︎ あ、あれは誰だ……⁉︎」
 目を凝らすと、その輪から一人外れて篝火を見つめている人物がいる。

 じっと見つめていると、突然そいつがこちらを向いた。あちこちが擦り切れた、修道女の黒いシスター服を着ている。その正体は、病的にまでの色白肌をした若い女だった。
「ッ⁉︎」
 見つかった! ショックでリーダーの息が詰まる。すぐに追いかけてくると思いきや……。

「ようこそ、哀れな子羊よ。さあ……我らが主様の声を聞くのです」
 不気味なほど大きな声でそう言い放ち、狂気に満ちた笑みを浮かべた。

「まずい、バレてたんだ! みんな、逃げーーーー」
 リーダーが慌てて撤退指示を出そうとする。しかし一足遅かった。
 ボォォォォォォッ!
 突然紫の炎が大きく燃え上がったかと思うと……竜の首の如く伸び上がり、ホムーランの一同に襲いかかった!
「うわぁぁぁぁっ!」
 必死にガードの姿勢を取るも、炎を武器で受け止めることはできない。全員が炎の竜にに飲み込まれたかと思うと、突然体が文字通り燃え上がった!
「な、何⁉︎ あ……熱い! 熱いッ!」
「こ、声が! 声が! うわぁぁぁぁっ!」
 みんな倒れ込み、なんとか火を消そうともがいている。しかし地面に触れても叩いても火が消えることはない。

 そして、突然無数の叫び声のような雑音が響き渡った。

「うわ……うわぁぁぁぁぁぁっ!」
 耳を塞いでも聞こえてくる、まるで断末魔のような絶叫の嵐。全員がパニックに陥っており、もはや逃走すら不可能となっていた。
「み、みんなしっかりしろ! しっかり……ぐ、ぐぁぁぁぁぁぁっ!」
 熱い。うるさい。熱い。うるさい。もうそのことしか考えられない。音が次第に高くなっていく。
 熱い。
 うるさい。
 熱い。
 うるさい。
 リーダーの意識は、そこで途切れた。

~☆~☆~☆~☆~☆~

「信者の皆さん、彼らを捕らえるのです。大切な儀式を覗き見ようとした不届きものは罰せねばなりません」
 シスター服の女が指示を出すと、今まで跪いていた人間たちが立ち上がった。小鬼族、オーク族、獣人にエルフ……種族も性別もごっちゃごちゃだ。しかし男女ともに真っ黒な装束を着ていることだけ、共通している。
「武器を奪い、縄で縛り上げなさい」
 支持を出すとすぐに、数人がどこからともなく縄を取り出して、気絶したホムーランの面々を硬く縛っていく。
 あれだけ熱気を感じていたのにも関わらず、冒険者たちには少しの火傷も負っていなかった。全員気絶しているだけだ。
「よろしい。信者の皆様、迅速な行動に感謝します。我らが主様も、貴方達を讃えてくださるに違いありません」
 透き通った女の声。紫色の光に照らされた顔は美しかった。しかし信者たちは全く気にする様子もなく、ただ女の前に立っている。
「全員、大神官様のところへ連れて行ってくださいませ。この者たちにふさわしい処罰を与えてくださるでしょう」
 数人の信者が頷き、冒険者たちを引きずっていく。……と、ここで一人の信者が女のそばに寄り小声で耳打ちした。女の目が見開かれる。
「なんと……意識がある方が、一人おられましたか」
 ただ一人連れて行かれなかった冒険者。縛られたまま恐怖に目を見開き、ブルブル震えているのは……あの重装備のリーダーだ。
「まあ……声が出なくなってしまったのですね」
 近くに屈んだ女は、リーダーをじっくりと舐め回すように観察する。
「ふふっ……立派なスキルをお持ちなのですね。ステータスも素晴らしい……。貴方なら主様の意図を伝えられるかもしれません」
 女はリーダーの目をまじまじと覗き見て……そして不気味に微笑んだ。急に立ち上がり、黙って立っている信者の方を向く。

「皆さん、今日は素晴らしい日になりそうです。この方に『神下ろし』を行う名誉を授けましょう! 信者の皆様、命を犠牲にして神との対面を実現させてくださる、勇気あるものを讃えるのです!」

 高らかに叫んだ瞬間、信者たちは一斉に膝をつき、祈りを捧げる姿勢になった。それと同時に大柄な信者の二人が前へ進み出て、リーダーを担ぎ出す。向かう先は……あの篝火の方!
「な、なにを、なにを……!」
 ただならぬヤバさを感じたリーダーはやっと声を出す。しかしそれを聞いているのは、シスターの女のみだ。
「ふふふ……貴方は教団に名を刻む勇敢なるものです。貴方には我が主人の器となって貰います」
「ば、バカな……やめろ、やめてくれえっ!」
 縛られた姿勢のままもがくリーダー。しかし信者たちは聞く耳を持たず、篝火の前でリーダーを持ち上げた。
「我らが主様……どうか迷える魂をお導きくださいませ……」
 そして女が両手を合わせて祈る。それと同時に信者は、リーダーを放り投げた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 ボウッ!

 紫色の炎が、一際大きく燃え上がった。
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