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第三話 誇りとプライドを胸に
ついに……
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「な、ナガレ君! もうやめてーっ!」
「ダ、ダメダメ! ナガレダメだ! もうやめてくれぇ! 本当に死んじまうぞ!」
「ナガレ……くそっ、もう見ちゃいられねえ!」
崖の上では、ついに汗まみれのアルクルまで飛び出そうとしていた。荷物を投げ捨て崖から飛び降りようとしているのを、レンとマディソンが必死で引っ張り止める。
「やめなさい、ミスター・ハイルディン! 貴方に何が出来ると言うのだ!」
「そうじゃ、アルクル! 落ち着け、まずは落ち着いて考えるのじゃ!」
しかしレンの力など、アルクルにとってはハエが止まったようなものだ。あっさり振り払われ、ぽてんと尻餅をついた。
「何をするんじゃアルクルーッ! まだ落ち着けんのか、この分からず屋!」
そう叫び立ち上がった。そしてアルクルの方を向こうとしたところで……。
「……む?」
崖下の、バッファローの町へと続く一本道。その遠くから、一つの影が走ってくる。
(な、なんじゃ? 援軍か……いや、ならばたった一人で来るわけが……)
怒りも消え、その影へ目を凝らすレン。どうやら馬に乗った一人の人間が、こちらへ向かってくるようだ。
「おい、アルクル! アレは何者じゃ? どこかで見たような気がするのじゃが……」
「え、どうしました……あれっ? 鞍の形から見るに、あれはポーツ地方ギルドの早馬だぞ」
レンに言われてようやくアルクルたちも、こちらに猛進してくる存在に気がついた。
「ルック……あれ、もしかして」
「あん? お、俺にゃあんな知り合いいねえぞ?」
アリッサにも、どこか見覚えがあるようだ。近づくにつれ、その全貌が見えてくる。赤い色の短髪に、口元を隠す真っ黒なマスク、超軽量のボディアーマー、影に潜む黒ずくめの姿……。アリッサはハッとして口元を抑える。
「嘘……ジョー・アックスさん!」
「なんですって⁉︎」「あいつが⁉︎」
マディソンとルックもぎょっとした表情だ。ついにナガレが待ち望んでいた存在、ジョーがここを訪れたと言うのか!
「おお……ならばミスター・ウエストの悲願は達成されたのか。良かった……これで彼を呼び戻すことができそうだ」
「うんうん、よく耐えた、よく頑張った……!」
まだ何も終わってないのに、感極まってコクコク頷いているマディソンとルック。ジョーの方もアリッサたちを見つけるや否や、馬に鞭打ちさらにスピードを上げた。
ダッダッダッダッダッ……!
「止まれっ! どうどうどう……」
「ヒヒヒーーーーン!」
手綱を操って、一同の前で急停止。素早く飛び降りたジョーに、アリッサたちが近づいた。
「よ、良かった、来てくれたのね! で、でも、ナガレ君たちが大変なの! あ、あそこ……」
「はぁっ、はぁっ……ああ、分かっている。ガラガラマムシだろう」
ジョーも相当疲れているようだ。マディソンが気を効かせて、素早く水筒を差し出した。
「ミスター、これを。ただの水だが、無いよりマシなはずだ」
「……た、助かる」
ジョーはそれを引ったくり、マスクを下ろして口の中に流し込む。それをアルクルとレンは……なぜか睨みつけるような目で見ていた。
「ん……んん⁉︎」
「ま、まさか……」
そして、二人同時に驚愕の表情を浮かべる!
「ど、どうしたんでえ?」
驚いたルックが声をかけるが、二人はまるで聞いていなかった。アルクルが震えながらジョーを指差す。
「そその火傷の後……ま、間違いないっ! お、お、お前……まさか、ジャック・ハルバード⁉︎」
「……!」
アルクルの声に、ビクッとしたようにジョーが振り向いた。水道をマディソンに押し付け、すぐにマスクを付ける。
「だ、誰なのそれ?」
「あ、あのブラックドラゴンを討伐した伝説の冒険者パーティ、その元主力メンバーだ! 冒険者なら知らぬものはいないパーティ『ラグナロク』のアタッカー、誰が呼んだか『紅蓮の閃光』ジャック・ハルバード! だがお前はもう、冒険者を辞めたって……⁉︎」
アルクルが目を丸くして手を下ろした。レンも呆気に取られた表情だ。
「ば、馬鹿な……まさか偽名じゃったとは」
「…………!」
オロオロして止まってしまったジョー。だがその前に立ったのは……アリッサだ。
「えっと、ジャックさん……いや、ジョーさん! お願い、このままじゃナガレ君が死んじゃうの! 他にも、手を貸してくれたっていう二人もやられちゃって……それでも貴方との約束を守るため、ナガレ君はずっと戦ってるのよ!」
「何……⁉︎」
そう言われて、ジョーは初めて遠くにいるナガレに気がついたようだ。
「ギシャアーッ!」
ドォン!
「ぐはぁっ!」
ガラガラマムシにどつかれても吹っ飛ばされても立ち上がるその姿。それを見たジョーは心底驚いたようで、しばらく呆然としていた……しかしすぐに立ち直り、腰に刺したダガーを抜く。アリッサは涙を浮かべ、ジョーの手をぎゅっと握りしめた。
「お願い、ジョー……あいつを……あいつをやっつけて、ナガレ君を助けてあげて!」
「…………ッ! はぁぁぁっ!」
ジョーはそれに答えることはなく、しかし大地を蹴って飛び上がった。崖下に降り、ちょうど背後を向いたガラガラマムシへ走る!
「ダ、ダメダメ! ナガレダメだ! もうやめてくれぇ! 本当に死んじまうぞ!」
「ナガレ……くそっ、もう見ちゃいられねえ!」
崖の上では、ついに汗まみれのアルクルまで飛び出そうとしていた。荷物を投げ捨て崖から飛び降りようとしているのを、レンとマディソンが必死で引っ張り止める。
「やめなさい、ミスター・ハイルディン! 貴方に何が出来ると言うのだ!」
「そうじゃ、アルクル! 落ち着け、まずは落ち着いて考えるのじゃ!」
しかしレンの力など、アルクルにとってはハエが止まったようなものだ。あっさり振り払われ、ぽてんと尻餅をついた。
「何をするんじゃアルクルーッ! まだ落ち着けんのか、この分からず屋!」
そう叫び立ち上がった。そしてアルクルの方を向こうとしたところで……。
「……む?」
崖下の、バッファローの町へと続く一本道。その遠くから、一つの影が走ってくる。
(な、なんじゃ? 援軍か……いや、ならばたった一人で来るわけが……)
怒りも消え、その影へ目を凝らすレン。どうやら馬に乗った一人の人間が、こちらへ向かってくるようだ。
「おい、アルクル! アレは何者じゃ? どこかで見たような気がするのじゃが……」
「え、どうしました……あれっ? 鞍の形から見るに、あれはポーツ地方ギルドの早馬だぞ」
レンに言われてようやくアルクルたちも、こちらに猛進してくる存在に気がついた。
「ルック……あれ、もしかして」
「あん? お、俺にゃあんな知り合いいねえぞ?」
アリッサにも、どこか見覚えがあるようだ。近づくにつれ、その全貌が見えてくる。赤い色の短髪に、口元を隠す真っ黒なマスク、超軽量のボディアーマー、影に潜む黒ずくめの姿……。アリッサはハッとして口元を抑える。
「嘘……ジョー・アックスさん!」
「なんですって⁉︎」「あいつが⁉︎」
マディソンとルックもぎょっとした表情だ。ついにナガレが待ち望んでいた存在、ジョーがここを訪れたと言うのか!
「おお……ならばミスター・ウエストの悲願は達成されたのか。良かった……これで彼を呼び戻すことができそうだ」
「うんうん、よく耐えた、よく頑張った……!」
まだ何も終わってないのに、感極まってコクコク頷いているマディソンとルック。ジョーの方もアリッサたちを見つけるや否や、馬に鞭打ちさらにスピードを上げた。
ダッダッダッダッダッ……!
「止まれっ! どうどうどう……」
「ヒヒヒーーーーン!」
手綱を操って、一同の前で急停止。素早く飛び降りたジョーに、アリッサたちが近づいた。
「よ、良かった、来てくれたのね! で、でも、ナガレ君たちが大変なの! あ、あそこ……」
「はぁっ、はぁっ……ああ、分かっている。ガラガラマムシだろう」
ジョーも相当疲れているようだ。マディソンが気を効かせて、素早く水筒を差し出した。
「ミスター、これを。ただの水だが、無いよりマシなはずだ」
「……た、助かる」
ジョーはそれを引ったくり、マスクを下ろして口の中に流し込む。それをアルクルとレンは……なぜか睨みつけるような目で見ていた。
「ん……んん⁉︎」
「ま、まさか……」
そして、二人同時に驚愕の表情を浮かべる!
「ど、どうしたんでえ?」
驚いたルックが声をかけるが、二人はまるで聞いていなかった。アルクルが震えながらジョーを指差す。
「そその火傷の後……ま、間違いないっ! お、お、お前……まさか、ジャック・ハルバード⁉︎」
「……!」
アルクルの声に、ビクッとしたようにジョーが振り向いた。水道をマディソンに押し付け、すぐにマスクを付ける。
「だ、誰なのそれ?」
「あ、あのブラックドラゴンを討伐した伝説の冒険者パーティ、その元主力メンバーだ! 冒険者なら知らぬものはいないパーティ『ラグナロク』のアタッカー、誰が呼んだか『紅蓮の閃光』ジャック・ハルバード! だがお前はもう、冒険者を辞めたって……⁉︎」
アルクルが目を丸くして手を下ろした。レンも呆気に取られた表情だ。
「ば、馬鹿な……まさか偽名じゃったとは」
「…………!」
オロオロして止まってしまったジョー。だがその前に立ったのは……アリッサだ。
「えっと、ジャックさん……いや、ジョーさん! お願い、このままじゃナガレ君が死んじゃうの! 他にも、手を貸してくれたっていう二人もやられちゃって……それでも貴方との約束を守るため、ナガレ君はずっと戦ってるのよ!」
「何……⁉︎」
そう言われて、ジョーは初めて遠くにいるナガレに気がついたようだ。
「ギシャアーッ!」
ドォン!
「ぐはぁっ!」
ガラガラマムシにどつかれても吹っ飛ばされても立ち上がるその姿。それを見たジョーは心底驚いたようで、しばらく呆然としていた……しかしすぐに立ち直り、腰に刺したダガーを抜く。アリッサは涙を浮かべ、ジョーの手をぎゅっと握りしめた。
「お願い、ジョー……あいつを……あいつをやっつけて、ナガレ君を助けてあげて!」
「…………ッ! はぁぁぁっ!」
ジョーはそれに答えることはなく、しかし大地を蹴って飛び上がった。崖下に降り、ちょうど背後を向いたガラガラマムシへ走る!
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