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第四話 ジョーの過去?
気になること
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しょんぼりしたレン。するとアルクルが、いつもの様子から想像もできないような、丁寧な口調で話し出す。
「クリフさん。今日我々は、あなたに相談があって来たのです。ガラガラマムシの件、お耳に入っていらっしゃいますか?」
「アルクル君……ああ、聞いているさ。紅蓮の閃光が復活したんじゃないかと、このギルドでも噂になっているよ。それは本当なのかい?」
「はい。ですが本人はあまり語ろうとしません。あと、彼はあんなオンボロギルドに所属している、とある向こう見ずのクソ雑魚冒険者との約束のためにやってきたんです。……ですが今はそれよりも、ご報告しておきたいことがあります」
「向こう見ずのクソ雑魚冒険者……?」
キョトンとするクリフ。レンは「ふふふ……」と笑っている。
「その通りなのじゃ。あやつは可愛くて熱血で向こう見ずで諦めが悪くって、思わず助けたくなってしまうクソ雑魚冒険者なのじゃ。本人には口が裂けてもそんな事言えぬがのう」
「……???」
クリフは目を丸くして、ハテナマークを頭上に浮かべている……厳つい顔が緩んで間抜けな表情になった。その様子を内心でちょっとだけ楽しんでから、アルクルはまたも口を開いた。
「最近、このスラガン地方で相次いで異変が起こっています。ガラガラマムシの件もそうですが、一昨日我々のギルド所属冒険者がトラブルを訴えてきまして……あのマッドゴーレムが群れを作ったというのです。他にも町民から『町に帰る道で、見たこともないモンスターを見かけた』という報告が相次いでいます」
「ああ……なるほど」
クリフはそばにあったソファーに腰を下ろす。二人に「座っておくれ」と言うも、腰を下ろしたのはレンだけだ。アルクルは気をつけの姿勢で立ったまま、なおも言葉を続ける。
「目撃情報を元にモンスターの資料を見てみましたが……おそらく目撃されたモンスターはリッパーベアー、ホグムカデ、ハイランドバッド、デスパイダー、チョウチンフロッグの五体だと思われます。どれもスラガン地方の乾燥した気候に対応できず生息していないモンスターです」
「そうか……実はここのギルドでも、そんな報告をよく聞くんだ。別地方のモンスターが現れて討伐を妨害されたとか、本来群れを作らないモンスターが集団で固まっていたとかね。ただの偶然と思いたかったが……そうか、そんなに異変が起こっていたのか」
「今のところ目撃地点の近辺に集落はありません。危険度は少ないですが、調査の必要があるでしょう。ですが私のマスターに、そんな権限はありません。上の連中は個人の知名度ではなく、功績のある者の意見を聞きますから」
「それで私に報告してほしい、ということか」
クリフはふぅ……と息を吐く。
「……良いだろう、他ならぬアルクル君と、我が友であるレンの頼みだ。明日になれば私が王都へ手紙を出し、マスター会議を開いてもらおう」
「本当か! ……助かるぞよクリフ。私は友達に頼りっきりで、自分で声を上げることすらできん」
「ふふ……気にするな。困った時は助け合うのが友というものだ」
そこまで言ったところで、ふとクリフが「そうそう……」とレンの方を見る。
「レン、最近『黒いローブの集団』を見たことがないか?」
「黒いローブの集団? 悪いがそんなのは聞いたこともないのじゃ」
「そうか……なら良いんだが。最近冒険者たちの間で妙な噂が広がっていてね。クエストで採集や討伐をしていると、黒いローブの人間がどこからともなくやってきて、遠くから後をつけたり観察してくると言うんだ。冒険者が近づいたり話しかけたり攻撃しようとすると、すぐに逃げて行方をくらませてしまう」
「素材を横取りするつもりだったんでしょうか?」
アルクルの言葉に、クリフは首を横に振る。
「いいや……モンスターの死骸が目当てなら、あらかじめ近くに隠れておくものだ。初めから後をつけていくなんて非効率だし、怪しまれたら盗みも失敗する。不思議なのは奴ら、高ランクの冒険者にも変わらずストーカーするようなんだ。A級の冒険者なんて、一般人どころか騎士団が束になっても簡単に蹴散らしてみせる強さだ」
「ふうん……強い奴は、敵の気配を読むことに長けています。そうしなきゃモンスターの不意打ちで死んでいくものです。……まさか『いつでもお前を見ているぞ』と言うアピールをしたいのでしょうか?」
「私には分からない……一応ここのギルドでは、特定エリアより遠くに出る場合は複数人行動を推奨している。まだ何も起こっていないが、君たちが言っていたように、最近は異変が多い……それも調査しなければな」
「黒いローブ……」
レンは胸騒ぎを覚える。ずっと昔、百年ほど前に似たような言葉を聞いたような気がする……。
だがそれがなんなのかは、まだレンは思い出せなかった。
「クリフさん。今日我々は、あなたに相談があって来たのです。ガラガラマムシの件、お耳に入っていらっしゃいますか?」
「アルクル君……ああ、聞いているさ。紅蓮の閃光が復活したんじゃないかと、このギルドでも噂になっているよ。それは本当なのかい?」
「はい。ですが本人はあまり語ろうとしません。あと、彼はあんなオンボロギルドに所属している、とある向こう見ずのクソ雑魚冒険者との約束のためにやってきたんです。……ですが今はそれよりも、ご報告しておきたいことがあります」
「向こう見ずのクソ雑魚冒険者……?」
キョトンとするクリフ。レンは「ふふふ……」と笑っている。
「その通りなのじゃ。あやつは可愛くて熱血で向こう見ずで諦めが悪くって、思わず助けたくなってしまうクソ雑魚冒険者なのじゃ。本人には口が裂けてもそんな事言えぬがのう」
「……???」
クリフは目を丸くして、ハテナマークを頭上に浮かべている……厳つい顔が緩んで間抜けな表情になった。その様子を内心でちょっとだけ楽しんでから、アルクルはまたも口を開いた。
「最近、このスラガン地方で相次いで異変が起こっています。ガラガラマムシの件もそうですが、一昨日我々のギルド所属冒険者がトラブルを訴えてきまして……あのマッドゴーレムが群れを作ったというのです。他にも町民から『町に帰る道で、見たこともないモンスターを見かけた』という報告が相次いでいます」
「ああ……なるほど」
クリフはそばにあったソファーに腰を下ろす。二人に「座っておくれ」と言うも、腰を下ろしたのはレンだけだ。アルクルは気をつけの姿勢で立ったまま、なおも言葉を続ける。
「目撃情報を元にモンスターの資料を見てみましたが……おそらく目撃されたモンスターはリッパーベアー、ホグムカデ、ハイランドバッド、デスパイダー、チョウチンフロッグの五体だと思われます。どれもスラガン地方の乾燥した気候に対応できず生息していないモンスターです」
「そうか……実はここのギルドでも、そんな報告をよく聞くんだ。別地方のモンスターが現れて討伐を妨害されたとか、本来群れを作らないモンスターが集団で固まっていたとかね。ただの偶然と思いたかったが……そうか、そんなに異変が起こっていたのか」
「今のところ目撃地点の近辺に集落はありません。危険度は少ないですが、調査の必要があるでしょう。ですが私のマスターに、そんな権限はありません。上の連中は個人の知名度ではなく、功績のある者の意見を聞きますから」
「それで私に報告してほしい、ということか」
クリフはふぅ……と息を吐く。
「……良いだろう、他ならぬアルクル君と、我が友であるレンの頼みだ。明日になれば私が王都へ手紙を出し、マスター会議を開いてもらおう」
「本当か! ……助かるぞよクリフ。私は友達に頼りっきりで、自分で声を上げることすらできん」
「ふふ……気にするな。困った時は助け合うのが友というものだ」
そこまで言ったところで、ふとクリフが「そうそう……」とレンの方を見る。
「レン、最近『黒いローブの集団』を見たことがないか?」
「黒いローブの集団? 悪いがそんなのは聞いたこともないのじゃ」
「そうか……なら良いんだが。最近冒険者たちの間で妙な噂が広がっていてね。クエストで採集や討伐をしていると、黒いローブの人間がどこからともなくやってきて、遠くから後をつけたり観察してくると言うんだ。冒険者が近づいたり話しかけたり攻撃しようとすると、すぐに逃げて行方をくらませてしまう」
「素材を横取りするつもりだったんでしょうか?」
アルクルの言葉に、クリフは首を横に振る。
「いいや……モンスターの死骸が目当てなら、あらかじめ近くに隠れておくものだ。初めから後をつけていくなんて非効率だし、怪しまれたら盗みも失敗する。不思議なのは奴ら、高ランクの冒険者にも変わらずストーカーするようなんだ。A級の冒険者なんて、一般人どころか騎士団が束になっても簡単に蹴散らしてみせる強さだ」
「ふうん……強い奴は、敵の気配を読むことに長けています。そうしなきゃモンスターの不意打ちで死んでいくものです。……まさか『いつでもお前を見ているぞ』と言うアピールをしたいのでしょうか?」
「私には分からない……一応ここのギルドでは、特定エリアより遠くに出る場合は複数人行動を推奨している。まだ何も起こっていないが、君たちが言っていたように、最近は異変が多い……それも調査しなければな」
「黒いローブ……」
レンは胸騒ぎを覚える。ずっと昔、百年ほど前に似たような言葉を聞いたような気がする……。
だがそれがなんなのかは、まだレンは思い出せなかった。
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