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第八話 炎の化身
なぜ戦うのか
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そして数十分後。
ナガレとタネツは……ツーテン食堂にて二人並んで座っていた。
「………………」
タネツはただ黙って俯いている。目の前には大皿に乗ったステーキがあると言うのに、一口もつけていない。
「……料理、冷めちゃうっすよ」
「そうは言ったって、タネツさんが心配だよ……」
こんな雰囲気では、とてもナガレだって食べられない。心配したエディとヴァレリーちゃんが話しかけても、全く手をつけられなかった。
「本当に……本当に良かったんですか、タネツさん……。ターショ君、行っちゃいましたよ」
ここに来るときナガレは、町へ寄った駅馬車に乗り込むターショたちを見た。タネツはそれから必死に目をそらしていた……。
「……いいんだよ。二度と会えなくなる訳じゃねえ。生きていれば必ず会えるさ」
「そんな希望的な雰囲気には、とても見えませんけど。……ターショ君と、何かあったんですか?」
ナガレの問いに、タネツは「ふーっ……」と深く息を吐いた。そして突然ナガレの方を見る。
「ナガレ君は、どうして冒険者になったんだ?」
「え?」
いきなりの質問にちょっとだけたじろぐナガレ。しかしすぐに答えられた。
「困っている人に手を差し伸べられる、みんなの希望になりたかったからです。あの人みたいに……」
ナガレは心中で、あの日のアーバンを思い出す。ナガレにとってアーバンは故郷を救った救世主であり、光り輝く希望だった。
オレもあんな希望になりたい。絶望の淵にいる人を、明るく照らせるような存在になりたい。そう思って裕福だった家を飛び出し、冒険者を志したのだ。
それを聞いてタネツは、自虐的に「フッ……」と笑った。
「俺は……分からねえ。なんで冒険者になったのか、全く思い出せねえんだ。どうしてなんだろうなぁ……」
また俯いてしまうタネツ。すると、それをカウンター越しに聞いたエディが反応した。
「うーん……タネツさん、ちょっといいかい? もしかしてなんだけど……それはタネツさんにとって、その思い出は嫌なものなんじゃないかい?」
「てんちょー、どう言うことっすか?」
「ほら、ナガレ君がすぐに思い出せたのは、自分にとって良い思い出だったからだ。すごい冒険者に助けてもらったから、自分もそんな人になりたいと思った。いい話じゃないか。だがタネツさんは、奥さんと別れてターショさんとも離れ離れになった……思い出したくない思い出なんじゃないかな」
「ははあ、なるへそ……」
納得して引き下がるヴァレリーちゃん。ナガレもなんとなく、その通りな気がしてきた。
「思い出したくねえ思い出か……へっ、確かにそうかもなあ」
「ちょっとタネツさんっ! いい加減に……」
「ウエストさん、ちょっと待ってくれ」
吐き捨てるように呟いたタネツ。そのいじけた雰囲気にムッとしたナガレが立ち上がろうとするも……それをエディが止めた。
「あのな、タネツさん。振り返りたくない過去だろうと、逃げちゃあいけないんだ。決断するのが遅いか早いかの違いなんだよ」
「……」
「タネツさんが一番大切なのは、その理由について悩むことなのかい? それより自分がやりたいことは、タネツさんも分かっているはずだ」
「……くうっ」
タネツが呻く。図星、といった表情だ。
「とはいえ、彼はもう行ってしまった……さあ、今日は休みなよ。ほら、料理冷めちゃったし、取り替えてあげるから」
優しくエディが声をかけた。だがタネツはそれを跳ね除ける。
「……いや、結構だ。これを食うぜ」
そう言って冷めたステーキにかぶりつく。それを見たナガレも少し明るい表情になって、自分のステーキにかぶりついた。
「む……冷めてもうまいや」
「フッ、そりゃよかった」
エディがニッと笑った、その時!
ダダダダダ……!
「大変大変! 大変だーーっ!」
「みんな逃げろぉぉぉぉぉ!」
突然出口の方から叫び声がする!
「どわぁっ!?」
「なんだ!? この声はアリッサとルック!」
条件反射で反応したナガレとタネツは一斉に立ち上がる。
ナガレとタネツは……ツーテン食堂にて二人並んで座っていた。
「………………」
タネツはただ黙って俯いている。目の前には大皿に乗ったステーキがあると言うのに、一口もつけていない。
「……料理、冷めちゃうっすよ」
「そうは言ったって、タネツさんが心配だよ……」
こんな雰囲気では、とてもナガレだって食べられない。心配したエディとヴァレリーちゃんが話しかけても、全く手をつけられなかった。
「本当に……本当に良かったんですか、タネツさん……。ターショ君、行っちゃいましたよ」
ここに来るときナガレは、町へ寄った駅馬車に乗り込むターショたちを見た。タネツはそれから必死に目をそらしていた……。
「……いいんだよ。二度と会えなくなる訳じゃねえ。生きていれば必ず会えるさ」
「そんな希望的な雰囲気には、とても見えませんけど。……ターショ君と、何かあったんですか?」
ナガレの問いに、タネツは「ふーっ……」と深く息を吐いた。そして突然ナガレの方を見る。
「ナガレ君は、どうして冒険者になったんだ?」
「え?」
いきなりの質問にちょっとだけたじろぐナガレ。しかしすぐに答えられた。
「困っている人に手を差し伸べられる、みんなの希望になりたかったからです。あの人みたいに……」
ナガレは心中で、あの日のアーバンを思い出す。ナガレにとってアーバンは故郷を救った救世主であり、光り輝く希望だった。
オレもあんな希望になりたい。絶望の淵にいる人を、明るく照らせるような存在になりたい。そう思って裕福だった家を飛び出し、冒険者を志したのだ。
それを聞いてタネツは、自虐的に「フッ……」と笑った。
「俺は……分からねえ。なんで冒険者になったのか、全く思い出せねえんだ。どうしてなんだろうなぁ……」
また俯いてしまうタネツ。すると、それをカウンター越しに聞いたエディが反応した。
「うーん……タネツさん、ちょっといいかい? もしかしてなんだけど……それはタネツさんにとって、その思い出は嫌なものなんじゃないかい?」
「てんちょー、どう言うことっすか?」
「ほら、ナガレ君がすぐに思い出せたのは、自分にとって良い思い出だったからだ。すごい冒険者に助けてもらったから、自分もそんな人になりたいと思った。いい話じゃないか。だがタネツさんは、奥さんと別れてターショさんとも離れ離れになった……思い出したくない思い出なんじゃないかな」
「ははあ、なるへそ……」
納得して引き下がるヴァレリーちゃん。ナガレもなんとなく、その通りな気がしてきた。
「思い出したくねえ思い出か……へっ、確かにそうかもなあ」
「ちょっとタネツさんっ! いい加減に……」
「ウエストさん、ちょっと待ってくれ」
吐き捨てるように呟いたタネツ。そのいじけた雰囲気にムッとしたナガレが立ち上がろうとするも……それをエディが止めた。
「あのな、タネツさん。振り返りたくない過去だろうと、逃げちゃあいけないんだ。決断するのが遅いか早いかの違いなんだよ」
「……」
「タネツさんが一番大切なのは、その理由について悩むことなのかい? それより自分がやりたいことは、タネツさんも分かっているはずだ」
「……くうっ」
タネツが呻く。図星、といった表情だ。
「とはいえ、彼はもう行ってしまった……さあ、今日は休みなよ。ほら、料理冷めちゃったし、取り替えてあげるから」
優しくエディが声をかけた。だがタネツはそれを跳ね除ける。
「……いや、結構だ。これを食うぜ」
そう言って冷めたステーキにかぶりつく。それを見たナガレも少し明るい表情になって、自分のステーキにかぶりついた。
「む……冷めてもうまいや」
「フッ、そりゃよかった」
エディがニッと笑った、その時!
ダダダダダ……!
「大変大変! 大変だーーっ!」
「みんな逃げろぉぉぉぉぉ!」
突然出口の方から叫び声がする!
「どわぁっ!?」
「なんだ!? この声はアリッサとルック!」
条件反射で反応したナガレとタネツは一斉に立ち上がる。
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