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第八話 炎の化身
炎の化身
しおりを挟むバシッ! シャキン! ボォォォォッ!
その後も戦いは続き、少しずつサラマンダーを追い詰めていった。
「くらえっ、牛魔壊!」
バシィッ!
「グエェェェッ!」
ナガレの必殺技がサラマンダーの後ろ足を直撃、衝撃で炎が掻き消えた!
「ゲーッ! ゲゲーッ!」
まるでカエルのように呻いたサラマンダー。すると体中から炎が消えてしまい、ただの黒いトカゲになってしまった。
「チャンスだ! ジョー、やっちまえ!」
タネツの声に合わせて、ジョーは高く跳躍。ダガーに真っ赤なオーラを纏わせる。狙いはふらつくサラマンダーの首筋だ!
「……ネックスラッシュ!」
「グエッ!?」
しかしサラマンダーはジョーに気づいて、突然上を向いた。しかしジョーの体は止まらない。
バシュッッッ……シャキィン!
「グッ!? ……グェェェェェェェーーーーッ!」
ジョーが打ち出した極大の『飛ぶ斬撃』は、サラマンダーの右目に炸裂した! 血しぶきが舞い、あまりの激痛にサラマンダーが苦しげに咆哮する。
「やったなジョー!」
「……ちぃっ、まだだ。仕留めそこなった……!」
しかしジョーは舌打ちする。今の攻撃で完全に首を切断するつもりだったが、急に上を向かれたせいで狙えなかったようだ。
とはいえ片目を潰されてはたまらず悶絶するサラマンダー。これは勝負あったか……と、ここで突然体勢を立て直す!
「ガァァァッ! ガァッ! ガァッ! グォォォォォォーーーーッ!」
耳をつん裂くような大咆哮を上げ、ギラついた目でナガレたちを睨みつける。潰れた右目からドクドク血を流していようと、その眼差しは闘志に燃えている……いや、比喩的な話では無い。消えたはずの紫炎が再び体中から噴き出す……。
「まずいっ、サラマンダーの奴、完全に怒ったぞ……!」
ジョーが苦しげに呟いた。あのジョーがこんなに緊張するとは、ナガレも怖くなってくる。
「ガアアォォォォーーーーッ!」
シューーッ……ボォォォォッ!
一際大きく咆哮すると、なんとサラマンダーの手足首だけでなく、体中から紫の炎が勢いよく吹き出した!
「うわーっ!」
「あちっ⁉︎」
「きゃあぁぁぁ!」
凄まじい熱風に冒険者たちは吹き飛ばされる。悲鳴を上げながらゴロゴロ転がるナガレを他所に受け身を取るジョー。
「ガァァァーーッ!」
「く……!」
そこにいたのは、体中を紫色の業火に包まれたサラマンダーだった。唯一燃えていない眼球で、こちらへ殺気を放っている。
「な……なんて奴だ! まるで炎の塊が意思を持って動いてるみたいだ……!」
「あれが正しく『炎の化身』って訳か……クソッ、見たくもねえ姿だぜチキショウ」
絶句するナガレと、苦しげな表情で舌打ちするタネツ。サラマンダーは「グググ……」と唸りながら、じりじりこちらへ近づいてくる。
「あ、熱ッ⁉︎ どうするんだ、こんな熱気を振りまかれちゃ、近づいただけでヤケドしちゃうぞ!」
ナガレの言う通り、少し離れたところでも炎の熱気が届いてくる。これではナガレたちは近づくのがやっと、攻撃なんてしたら燃え移ってしまう。
「ナガレ! タネツさん! 二人は尻尾を狙うんだ。あそこは火がついていない! だが尻尾は硬く、大したダメージにはならない……」
そう言ってジョーは、サラマンダーの後ろでゆらゆら揺れている、垂れ下がった尻尾を指差した。大きな頭でよく見えなかったが、よく見ると尻尾だけは、黒い素肌が見えている。あそこならなんとか近づけるかもしれない……。
「……あ、待ったタネツさん。そもそも近づかなかったらいいんだ!」
「なるほどその手があったぜ! それじゃあ……」
ナガレとタネツは笑顔で振り向くが……そこにいるのはヒズマとケンガである。
「「… … … … … …」」
そしてすぐタネツは、苦虫を噛み潰したように顔をしかめた。
「なっ、何よ! タネツなんてそんなカオして! ふんっ、どうせ私は決定打無しのザコ女ですよ……」
ヒズマは顔を真っ赤にして、プイッとそっぽを向いてしまった。……こんな状況で完全にヘソを曲げたようだ。一方ケンガは慌ててナガレに詰め寄った。
「ナガレ、こんなの無理だ! 早く逃げよう! みんなでバラバラに逃げれば、きっと無事で帰れる!」
「……俺様に任せろみたいなこと、言ってなかったか?」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ! このまま戦っても勝ち目なんてないだろ、な!」
ケンガは必死でナガレを説得しようとする。もはや見せかけのプライドすら捨ててしまうほど逃げ腰のようだ。
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