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第九話 月に泣く凶牙
夏真っ盛り
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ジリジリと照り付ける太陽の下、八月が訪れる。バッファローの町に、本格的な夏が来た!
噴水広場にて、子供たちが薄着になって遊んでいる。そのそばで噴水に腰かけ、ナガレとサキミ嬢が並んでいた。
「あっついなぁ……コウヨウ地方も暑いのか?」
「はい! コウヨウ地方の夏は湿気も多くて、すっごい蒸し暑いんです。あそこは川も多いので、子供たちは夏になると泳ぎに行くんですよ。川が浅くて水も冷たいので、モンスターもあまり現れないんです。あ、あとコウヨウ地方の夏と言えば、やっぱりハナビとナツマツリは欠かせないんです」
ナガレはいつもの横じまボーダーシャツにハーフパンツで、裸足にサンダルを履いている。暑そうなスカーフも付けているが、実は通気性の良い夏バージョンだ。……見た目は変わらないけど。
対してサキミは白いワンピースに、やけに帽子のつばが長い白ハット。どっちも白色の長手袋とハイソックスに革靴に日傘まで……何が何でも日焼けしたくないという、固い決意を感じる。しかしナガレからすれば、黒髪に真っ白な肌のサキミが一番見慣れているらしい。
「ハナビは分かるけど……ナツマツリ? そんな魚がいるなんて初めて知ったよ。サキミって釣りもできたんだな」
「……もしかして『ナツマ』『ツリ』で分けました? ぷっ……ふふふ……っ!」
コウヨウ地方の言葉は、他の地方と比べて昔から変えられていないものも多い。なのでナガレが間違えるのもこの世界ではよくあることなのだが、サキミはつい噴き出してしまった。
「あれ、オレなんか間違えた?」
「くくく……い、いえ『ナツマツリ』っていう一つの単語なんです。標準語で言うなら『夏のフェスティバル』ですよ……ナツマってどんな魚なんですか……ぷぷっ!」
「がーーん!」
ずいぶん間抜け面な魚を想像していたナガレはショックを隠せない。サキミの笑いはだんだん大きくなっていき、ついに腹を抱えてヒーヒー笑い始めた。失礼の無いよう声を殺しているが、赤くした顔までは隠せていない。
笑われたナガレは怒るかと思いきや……笑顔のサキミに見とれて言葉が出なかった。
(……サキミがこんなに笑った顔、初めて見たな。いっつもお上品に『ふふふ』って笑うのに)
どうやらサキミとも、だいぶ打ち解けてきたらしい。とはいえ先日アリッサに教わった通り、ここで焦りは禁物だ。
(っていうか、今のままの関係でもオレは……はっ、いかんいかん、それはちょっと嫌だ。もっと親密な関係になりたいぞっ)
そんな下心を隠して、にっこり笑うナガレ。サキミは笑いすぎて目に涙を浮かべていた。ただの言い間違いなのに、よっぽどツボに入ったようだ……。
噴水広場にて、子供たちが薄着になって遊んでいる。そのそばで噴水に腰かけ、ナガレとサキミ嬢が並んでいた。
「あっついなぁ……コウヨウ地方も暑いのか?」
「はい! コウヨウ地方の夏は湿気も多くて、すっごい蒸し暑いんです。あそこは川も多いので、子供たちは夏になると泳ぎに行くんですよ。川が浅くて水も冷たいので、モンスターもあまり現れないんです。あ、あとコウヨウ地方の夏と言えば、やっぱりハナビとナツマツリは欠かせないんです」
ナガレはいつもの横じまボーダーシャツにハーフパンツで、裸足にサンダルを履いている。暑そうなスカーフも付けているが、実は通気性の良い夏バージョンだ。……見た目は変わらないけど。
対してサキミは白いワンピースに、やけに帽子のつばが長い白ハット。どっちも白色の長手袋とハイソックスに革靴に日傘まで……何が何でも日焼けしたくないという、固い決意を感じる。しかしナガレからすれば、黒髪に真っ白な肌のサキミが一番見慣れているらしい。
「ハナビは分かるけど……ナツマツリ? そんな魚がいるなんて初めて知ったよ。サキミって釣りもできたんだな」
「……もしかして『ナツマ』『ツリ』で分けました? ぷっ……ふふふ……っ!」
コウヨウ地方の言葉は、他の地方と比べて昔から変えられていないものも多い。なのでナガレが間違えるのもこの世界ではよくあることなのだが、サキミはつい噴き出してしまった。
「あれ、オレなんか間違えた?」
「くくく……い、いえ『ナツマツリ』っていう一つの単語なんです。標準語で言うなら『夏のフェスティバル』ですよ……ナツマってどんな魚なんですか……ぷぷっ!」
「がーーん!」
ずいぶん間抜け面な魚を想像していたナガレはショックを隠せない。サキミの笑いはだんだん大きくなっていき、ついに腹を抱えてヒーヒー笑い始めた。失礼の無いよう声を殺しているが、赤くした顔までは隠せていない。
笑われたナガレは怒るかと思いきや……笑顔のサキミに見とれて言葉が出なかった。
(……サキミがこんなに笑った顔、初めて見たな。いっつもお上品に『ふふふ』って笑うのに)
どうやらサキミとも、だいぶ打ち解けてきたらしい。とはいえ先日アリッサに教わった通り、ここで焦りは禁物だ。
(っていうか、今のままの関係でもオレは……はっ、いかんいかん、それはちょっと嫌だ。もっと親密な関係になりたいぞっ)
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