181 / 1,797
第九話 月に泣く凶牙
名物姉弟、教会に立つ
しおりを挟む
建物を出て上を向いたナガレ。夏真っ盛りの青空を見ながら、ふと考える。
「そうだ、タネツさんとヒズマさんいるかな? あの二人にも協力を頼んでみよっと」
~☆~☆~☆~☆~☆~
そうして町外れのポストに手紙を投函したのち、しばらく探し回ったのだが……なぜかどこにも姿が見当たらない。家に寄っても誰も出ない。
「あれ、おっかしーな……どこにいるんだろう」
考え事をしながら通路を歩いていると、町の教会近くで見慣れた人物を発見した。
「おっ、あれルックじゃん。教会へ入って行くぞ」
そこには黒いTシャツに青のオーバーオールと言ったカワイイ系ファッションのルックがいた。何やらカゴを持って教会に入って行く。
気になってナガレも後に続いた。
大きなアーチ状の入り口をくぐると、分厚い扉が開いている。そこには教会らしく長椅子がいっぱい並んでおり、その前方にはステンドグラスの窓、その下にはでっかいパイプオルガンが置いてあった。人気は少なく、なんだか静かで寂しいイメージを持ってしまう。
奥に進もうとしたところ……いきなり陰から人が飛び出した!
「だれだぁっ!」
「ぎょわあっ!?」
「……ってなんだ、ナガレかよう。つけられてると思ったから、とっ捕まえて身ぐるみ剥いでやろうとおもったのに」
そこから出てきたのはルック。長いフランスパンを剣のように構えている。
「急に大きな声だすなよ! 心臓が止まるかと思ったぞ」
「じゃあすぐに葬式ができるな、ここには牧師もシスターもいる」
「おいっ!」
「教会で大きな声を出すもんじゃないよ、お二人さん」
「あ、ねーちゃん」
騒ぎを聞きつけたのか、アリッサが傍までやって来た。鮮やかな緑色のフリルドレスを着ていて……なぜか黒縁の丸メガネをかけている。
「うわ! どっから出てきたんだよ!」
「そこのベンチで勉強してたの。ルックはどうして?」
「ねーちゃん、昼めし食ってねえだろ。迎えに来たんだよ」
「わー、ありがとう!」
呑気に喜んでいるアリッサだが、ナガレにはどうにも気になることがある。
「アリッサ、どうしてメガネなんかしてるんだ? そんな目が悪いってわけじゃなかったろうに」
「ふふん、よくぞ聞いてくれました!」
アリッサはそう言って「ふふん!」と胸を張る。
「どうこのメガネ、頭が良く見えるでしょ? 勉強をするにはまず雰囲気づくりから! 雰囲気がモチベーションを高めて、結果学習の進みが良くなるよ!」
「……へー、ソウデスカー。ソウナンデスネー」
ナガレは適当にごまかした。……メガネをかければ頭が良さそうに見えるとか思いつく時点で、だいぶ頭が悪い気がするのだが……。
「ナガレ、何も言うな。俺もそう思う」
何も言っていないのに、ルックまで賛成してくれた。
「ところでナガレ君、今日は休みの日?」
「まぁそんなトコなんだけど……そういえばアリッサ、タネツさんとヒズマさん知らない?」
「あ、それなら俺が知ってるぜー!」
ナガレの問いに反応したのはルックだ。
「なんか今朝歩いてんのを見かけてよぉ、どこ行くのか聞いてみたら、ターショとかいう奴の手続きがどうのこうのって、遠くのエンペリオン地方まで行くんだとよ」
「あー、なるほどねぇ……首都まで行っちゃったなら、しばらく帰って来ないだろうな」
「そうだねー。確か値段が高めの高速馬車でも半日かかっちゃうもんね」
ナガレにはなんとなく理解できる。先日タネツと暮らすことを決めたターショの手続きをしに行ったのだろう。
「……あれ、ヒズマさんはなんでついてったんだ?」
「あ! もしかすると、タネツさんが心配だったのかも。最近あの二人、たくさんデートしてるみたいだよ」
「へぇ~、そうなのか……」
なんにせよ、今日相談することは出来なさそうだ。
「そうだ、タネツさんとヒズマさんいるかな? あの二人にも協力を頼んでみよっと」
~☆~☆~☆~☆~☆~
そうして町外れのポストに手紙を投函したのち、しばらく探し回ったのだが……なぜかどこにも姿が見当たらない。家に寄っても誰も出ない。
「あれ、おっかしーな……どこにいるんだろう」
考え事をしながら通路を歩いていると、町の教会近くで見慣れた人物を発見した。
「おっ、あれルックじゃん。教会へ入って行くぞ」
そこには黒いTシャツに青のオーバーオールと言ったカワイイ系ファッションのルックがいた。何やらカゴを持って教会に入って行く。
気になってナガレも後に続いた。
大きなアーチ状の入り口をくぐると、分厚い扉が開いている。そこには教会らしく長椅子がいっぱい並んでおり、その前方にはステンドグラスの窓、その下にはでっかいパイプオルガンが置いてあった。人気は少なく、なんだか静かで寂しいイメージを持ってしまう。
奥に進もうとしたところ……いきなり陰から人が飛び出した!
「だれだぁっ!」
「ぎょわあっ!?」
「……ってなんだ、ナガレかよう。つけられてると思ったから、とっ捕まえて身ぐるみ剥いでやろうとおもったのに」
そこから出てきたのはルック。長いフランスパンを剣のように構えている。
「急に大きな声だすなよ! 心臓が止まるかと思ったぞ」
「じゃあすぐに葬式ができるな、ここには牧師もシスターもいる」
「おいっ!」
「教会で大きな声を出すもんじゃないよ、お二人さん」
「あ、ねーちゃん」
騒ぎを聞きつけたのか、アリッサが傍までやって来た。鮮やかな緑色のフリルドレスを着ていて……なぜか黒縁の丸メガネをかけている。
「うわ! どっから出てきたんだよ!」
「そこのベンチで勉強してたの。ルックはどうして?」
「ねーちゃん、昼めし食ってねえだろ。迎えに来たんだよ」
「わー、ありがとう!」
呑気に喜んでいるアリッサだが、ナガレにはどうにも気になることがある。
「アリッサ、どうしてメガネなんかしてるんだ? そんな目が悪いってわけじゃなかったろうに」
「ふふん、よくぞ聞いてくれました!」
アリッサはそう言って「ふふん!」と胸を張る。
「どうこのメガネ、頭が良く見えるでしょ? 勉強をするにはまず雰囲気づくりから! 雰囲気がモチベーションを高めて、結果学習の進みが良くなるよ!」
「……へー、ソウデスカー。ソウナンデスネー」
ナガレは適当にごまかした。……メガネをかければ頭が良さそうに見えるとか思いつく時点で、だいぶ頭が悪い気がするのだが……。
「ナガレ、何も言うな。俺もそう思う」
何も言っていないのに、ルックまで賛成してくれた。
「ところでナガレ君、今日は休みの日?」
「まぁそんなトコなんだけど……そういえばアリッサ、タネツさんとヒズマさん知らない?」
「あ、それなら俺が知ってるぜー!」
ナガレの問いに反応したのはルックだ。
「なんか今朝歩いてんのを見かけてよぉ、どこ行くのか聞いてみたら、ターショとかいう奴の手続きがどうのこうのって、遠くのエンペリオン地方まで行くんだとよ」
「あー、なるほどねぇ……首都まで行っちゃったなら、しばらく帰って来ないだろうな」
「そうだねー。確か値段が高めの高速馬車でも半日かかっちゃうもんね」
ナガレにはなんとなく理解できる。先日タネツと暮らすことを決めたターショの手続きをしに行ったのだろう。
「……あれ、ヒズマさんはなんでついてったんだ?」
「あ! もしかすると、タネツさんが心配だったのかも。最近あの二人、たくさんデートしてるみたいだよ」
「へぇ~、そうなのか……」
なんにせよ、今日相談することは出来なさそうだ。
1
あなたにおすすめの小説
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる