崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第九話 月に泣く凶牙

新兵器

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 その数時間後、鎧を着込んだナガレとギン爺は高台広場にいた。もう夕方なのだが真夏なので日没が遅く、太陽はまだまだ眩しい。
「なんでこんなとこに呼んだのさ。オレはともかくギン爺は暑いでしょ」
 ナガレは耐熱の指輪があるため多少はへっちゃらだが、ギン爺は半袖のシャツにズボンというラフな格好。それでも強い日差しが照り付けているため、絶対に暑い。ところがギン爺は「わはは……」と豪快に笑っている。
「この歳になると暑い寒いっていうモンをあまり感じん。心配するな。それよりホレ、こいつを試してみろ」
「あ、どうも。……あんまり違いはなさそうだけどなぁ」
 ギン爺から折り畳まれた状態のマルチスタッフを貰ったが、今回は特に見た目の変化はない。
 ジャキン! とマルチスタッフを展開してしばらく振り回しても、普段と変わらない。
「まあ待て。一応もう一回説明するぞ。作る前にも説明したが、今回追加した武装……いや『ガジェット』と言うべきか。それは『ヨビカリジェル』と『クレイボム』だ」
「ヨビカリジェル……クレイボム……?」
 両方聞きなれない言葉である。
「まあ、習うより慣れろだからやって見ろ。そうだな……そこの木を狙ってみるか。どちらも大した威力を持たないから、危険な物ではない。よし! それではマルチスタッフを槍みたいに中段で構えて見ろ」
「こ、こうか?」
「弓を使うように、よ~く木を狙うんだ。」そしたら真ん中にトリガーをつけてあるから、それを引く!」
「よ、よし、やるぞ!」

 カチャン……パシュッ!

「うわっ⁉︎」
 ナガレがトリガーを引くと、マルチスタッフの先から、緑色をしたゼリー状の何かが飛び出した! それは木にべちょっ! とへばりつく。

 するとゼリーが突然緑の蛍光色に、ぼんやりと明るく光り始める! 遠くからでも目立つ色合いだ。だがぼんやりとした光で、見ていてなんだか気分が落ち着いてくる。
「す、すげえ! ……いやすげえんだけど、何コレ? オレこんなの頼んだっけ?」
 ナガレは目を丸くする。ギン爺は「フッ……」と笑った。
「アレの原料はあのヨビカリ草でな。その発酵作用を持つ成分を分析して、モンスターなど獲物にぶっかけて目立たせるんだ。木が生い茂って視界が悪いポーツ地方の狩人がよく使うものじゃぞ。ほれ、本題はクレイボム! 試してみい」
「クレイ……粘土のこと? まあやって見るけど……おんなじ動作だよね!」
「そうだ、トリガーは先ほどの反対にある。黒いトリガーがクレイボムで、白いのがヨビカリジェル」
 そう言うとナガレはスチャッ……とマルチスタッフを構える。すると後ろにいるギン爺が突然慌て始めた。
「わーっ! バカモン! 逆だ逆……」
「え、なんて?」
 カチャン……パシュッ!
 ギン爺の叫びも虚しく、ナガレは振り向くより早くトリガーを引く。するとナガレの向きにある棒先……ではなくその反対側から、後ろに何かが射出される!
「う わ ぁ ー ー っ !」
 べちょっ……。
 それは灰色の泥みたいな物だった。粘土には見えないが……それはギン爺の体にぶつかると同時に弾け纏わりつく。衝撃でギン爺は後ろにひっくり返った。
「わ! ご、ごめんギン爺! ……あれ、ギン爺? どうしたのさ?」
 慌ててナガレがそばにしゃがんだが、ギン爺は倒れた姿勢から動かない。体を揺らしてなんとか立ちあがろうとしているが、それでも腕を使わない。
「ちょっとちょっと、なにストレッチしてるのさ。ほら手を化して上げる……って、えぇーっ⁉︎」
 ギン爺の手を取ろうとして、ナガレは驚きの叫び声を上げた。

「か、硬あっ⁉︎ なんだこれ、石みたいに硬いぞ!」
 なんと灰色の泥は一瞬で固まっており、石のように硬化した! ギン爺は固められて動けなくなったようだ。
「こ……これがクレイボムだ……。標的に着弾するとすぐに固まり、石のように硬くなる。コンクリートという物質が使われておるのだが、それを武器へ転用したのだ。向きは逆だから気をつけるのだぞ……ガクッ」
「ギン爺ぃぃぃぃぃぃっ!」
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