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第九話 月に泣く凶牙
やっぱり参戦?
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※着ていた溶接用エプロンごとコンクリートを引っぺがして、ギン爺は助かりました。
「ううっ、孫息子の心がこもった大切なプレゼントだったのに……」
「ごめんって。機会があったらオレがお孫さんに頼んでまた作ってもらうから」
腕にへばりついたコンクリートの粉を手で払いながら、ようやくギン爺は立ち上がれた。
「……ま、これがクレイボムの効果だ。相手に引っ付けて固めれば、その部位が固くて動かなくなる。ココリョナカイマンだろうと、羽に引っ付ければ動かなくなるはずだぞ」
「へぇ、こんなに硬くて頑丈なのか……なんだかこのコンクリートとかいうので、家とか道路とか作れそうだな」
なかなか的を得たナガレの言葉だが、ギン爺は笑って一蹴した。
「わっはっは! バカ言っちゃいかん。建物や道路を作るには、コンクリートを流し込む型と基盤がいる。道路や建物が作れるくらい大きなものを、どうやってつくるんじゃあ」
「む、そうか……」
「まあ千年もたてば、コンクリートで巨大な建物とか作れるかもしれんがな」
「その頃にはオレ達みーんな死んでるよ……多分生きてるのはウチのギルドマスターくらいでしょ」
~☆~☆~☆~☆~☆~
そうしてギン爺にお礼を言って別れたナガレ。そのまま高台広場にて一人トレーニングを続けていた。
「せぇりゃああああ!」
いつも通り砂袋を体に巻き付けて、全力でマルチスタッフを振りぬいた。
「まだまだ!」
腰を落として大きく振りかぶり、力を溜める。そして思いきり振りぬくと、マルチスタッフが空気を切り裂いた。
「くっ、で、出ないか……」
そのまま仰向けに倒れこむナガレ。その近くのベンチには、恒例の『石猿流棒術』秘伝書が置いてあった。
『心を無に還し、長棒を振りぬく。飛び出したる波動は無の心得から放たれしもの故に、亡霊や怪異を浄化し致命傷を与え、心ある存在を斬れば、意識を絶ち殺さずとも敵は倒れる』……とのことらしい。名前は『霊感大波』という御大層な名前がある。だがおそらくこれは『飛ぶ斬撃』のことだろう。
(これが書かれたのはすっげー昔みたいだし、飛ぶ斬撃のことを知らなくて、奥義と思っちゃったのかな。……んっ?)
ふと、何者かが階段を上がってくる気配を感じた。じっと見ていると上がってきたのは……。
「よう、ナガレ!」
……ケンガだ。暑そうなローブではなく、派手なガラシャツに半パンといったメチャクチャ普段着で、鎧姿のナガレと違いがすごい。
「聞いたぞナガレ、強いモンスターを倒しに行くそうだな」
「え、なぜそれを?」
「町中で噂だぞ。ついに町の冒険者がスカウトされたって!」
「す、スカウトぉ?」
おそらく別ギルドメンバーであるフローレンスに助けを求められたことが噂されるうちに、尾びれがついていったのだろう。しかしナガレが出ていくことまで知れ渡っていたとは……後で誤解を解かなければいけない。
ナガレから事情を聴いたケンガは「なんだよ……」と肩を落とした。
「俺様もついて行ってやろうと思ったのに、そのロロコョナマイカンとかいう奴に」
「ココリョナカイマンな。絶対言い辛いだろ、その間違い」
「まあまあ、そう謙遜するな。俺様が手を貸してやる。レディーからの頼みを断るなんて、次期最強の冒険者として絶対に出来ないからな」
「え、頼まれた? どういうことさ」
ケンガが頼まれたというのは誰だろう?
「あのアリッサ嬢から頼まれたのだよ。『ナガレ君を手伝ってあげて』とな。ふっふっふ、この俺様を頼ろうとは目利きの良い友を持ったな、ナガレ!」
(あ、アイツ! やらかしたな!)
どうやらケンガのビッグマウスを真に受けたアリッサは、助っ人を頼んでしまったらしい。
「俺様も手伝ってやる。オホ船に乗ったつもりで頼るがいい!」
(オホ船ってなんだ! そんな情けない船乗りたくねえよ!)
とはいえ結局他に頼れる人はいない。仕方なくナガレは、ケンガも連れて行くことにしたのだった。
「ううっ、孫息子の心がこもった大切なプレゼントだったのに……」
「ごめんって。機会があったらオレがお孫さんに頼んでまた作ってもらうから」
腕にへばりついたコンクリートの粉を手で払いながら、ようやくギン爺は立ち上がれた。
「……ま、これがクレイボムの効果だ。相手に引っ付けて固めれば、その部位が固くて動かなくなる。ココリョナカイマンだろうと、羽に引っ付ければ動かなくなるはずだぞ」
「へぇ、こんなに硬くて頑丈なのか……なんだかこのコンクリートとかいうので、家とか道路とか作れそうだな」
なかなか的を得たナガレの言葉だが、ギン爺は笑って一蹴した。
「わっはっは! バカ言っちゃいかん。建物や道路を作るには、コンクリートを流し込む型と基盤がいる。道路や建物が作れるくらい大きなものを、どうやってつくるんじゃあ」
「む、そうか……」
「まあ千年もたてば、コンクリートで巨大な建物とか作れるかもしれんがな」
「その頃にはオレ達みーんな死んでるよ……多分生きてるのはウチのギルドマスターくらいでしょ」
~☆~☆~☆~☆~☆~
そうしてギン爺にお礼を言って別れたナガレ。そのまま高台広場にて一人トレーニングを続けていた。
「せぇりゃああああ!」
いつも通り砂袋を体に巻き付けて、全力でマルチスタッフを振りぬいた。
「まだまだ!」
腰を落として大きく振りかぶり、力を溜める。そして思いきり振りぬくと、マルチスタッフが空気を切り裂いた。
「くっ、で、出ないか……」
そのまま仰向けに倒れこむナガレ。その近くのベンチには、恒例の『石猿流棒術』秘伝書が置いてあった。
『心を無に還し、長棒を振りぬく。飛び出したる波動は無の心得から放たれしもの故に、亡霊や怪異を浄化し致命傷を与え、心ある存在を斬れば、意識を絶ち殺さずとも敵は倒れる』……とのことらしい。名前は『霊感大波』という御大層な名前がある。だがおそらくこれは『飛ぶ斬撃』のことだろう。
(これが書かれたのはすっげー昔みたいだし、飛ぶ斬撃のことを知らなくて、奥義と思っちゃったのかな。……んっ?)
ふと、何者かが階段を上がってくる気配を感じた。じっと見ていると上がってきたのは……。
「よう、ナガレ!」
……ケンガだ。暑そうなローブではなく、派手なガラシャツに半パンといったメチャクチャ普段着で、鎧姿のナガレと違いがすごい。
「聞いたぞナガレ、強いモンスターを倒しに行くそうだな」
「え、なぜそれを?」
「町中で噂だぞ。ついに町の冒険者がスカウトされたって!」
「す、スカウトぉ?」
おそらく別ギルドメンバーであるフローレンスに助けを求められたことが噂されるうちに、尾びれがついていったのだろう。しかしナガレが出ていくことまで知れ渡っていたとは……後で誤解を解かなければいけない。
ナガレから事情を聴いたケンガは「なんだよ……」と肩を落とした。
「俺様もついて行ってやろうと思ったのに、そのロロコョナマイカンとかいう奴に」
「ココリョナカイマンな。絶対言い辛いだろ、その間違い」
「まあまあ、そう謙遜するな。俺様が手を貸してやる。レディーからの頼みを断るなんて、次期最強の冒険者として絶対に出来ないからな」
「え、頼まれた? どういうことさ」
ケンガが頼まれたというのは誰だろう?
「あのアリッサ嬢から頼まれたのだよ。『ナガレ君を手伝ってあげて』とな。ふっふっふ、この俺様を頼ろうとは目利きの良い友を持ったな、ナガレ!」
(あ、アイツ! やらかしたな!)
どうやらケンガのビッグマウスを真に受けたアリッサは、助っ人を頼んでしまったらしい。
「俺様も手伝ってやる。オホ船に乗ったつもりで頼るがいい!」
(オホ船ってなんだ! そんな情けない船乗りたくねえよ!)
とはいえ結局他に頼れる人はいない。仕方なくナガレは、ケンガも連れて行くことにしたのだった。
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