崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第九話 月に泣く凶牙

再会のフローレンス

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~☆~☆~☆~☆~☆~

 いよいよ明日という時、ナガレはアリッサ家の二階にいるジョーの元を訪れた。何も頼るつもりでは無い。歴戦のジョーなら何かアドバイスをくれると思ったのだ。
「という訳でジョー、何か良いアドバイスは無い?」
「……そうだな、ココリョナカイマンの弱点は口の中だ」
「……オレに死ねと?」
 ワニの口に乗り込めとは、ジョーもなかなか強烈な悪口を言うものだ。しかし本人は首を振る。
「……違う、そうじゃ無い。ココリョナカイマンが飛行中にダメージを与え続ると、墜落して隙を晒す。そこが狙い目だ」
「へぇ~」
「だがお前の予想通り、迂闊に近づけば噛み付かれてしまう。マルチスタッフの突き攻撃など、リーチが長い技を仕掛けるべきだ」
「そっか、分かった! サンキュー! じゃあお休み……」
 お礼を言って帰ろうとするナガレ。するとジョーが「待った」と呼び止めた。
「ん、なんだ?」

「大したことじゃ無いんだが……もしココリョナカイマン討伐の際、変わったことがあればそれを覚えておいてほしい。帰って来たら、俺に教えてくれ。無茶はしないで、可能な限りで良い」
「お、おう、分かったよ」
 ナガレがちょっとキョドりつつ頷くと、ジョーはホッとしたように息を吐いた。
「……助かる、頼んだぞ。……すまないな、仲間なのに力を貸してやれなくて」
 ジョーはもう冒険者を辞めた身だ。なので冒険者のクエストと定義されている限り、彼に助けを乞うことは出来ない。
「なーにしょぼくれたこと言ってんのさ。仲間だからこそ、頼りっぱなしにゃ出来ないよ。それじゃあな!」

 そうして扉を開け、ナガレは出て行った。残されたジョーはフッと微笑む。
(仲間だからこそ、頼りっぱなしに出来ないか……俺はどうだろう。ラグナロクにいた頃、俺は本当に誰にも頼らず強くあったのだろうか)
 その考えを打ち消すように、頭を軽く振った。目を閉じて思考を巡らす。
(……いや、そんなことはどうでもいい。明日のナガレに何もなければそれで良い。だが奴らが絡んでいるのなら…………)

「ジョー? そんな怖い顔してどうしたんだ?」
「ぬおっ⁉︎」
 声を聞いてジョーが目を開けると、目の前には出て行ったはずのナガレが!
「ど……ど、どうしたんだ。忘れ物か……?」
「いや、そんなんじゃないんだけど」
 ナガレはジョーをじっと見つめて、そして呟いた。
「ジョー、お土産何が良い?」
「……………………なんでもいい」 
 

~☆~☆~☆~☆~☆~


 そうして夏真っ盛りのある日、ナガレはタイガスへやって来た。
「やっぱりいつ見ても広い街だな……おっ、いたいた」
長ーーーーい橋のそばに、あのフローレンスが立っている。心なしか、この前あった時よりもガタイが大きくなっているような……。
「おーい、フローレンス!」
「あ、ナガレさん! ……あれ、後ろの方は……」
「あー、ケンガのことね」
 ナガレは若干後ろめたい気持ちで、自信満々と言った表情のケンガをちょいちょい手招きした。
「よう、フローレンス君! 俺様はあのソード・アタカンの息子ケンガだ。俺様が付いていれば百人力、いや千人力……」
「え……フローレンス『君』っ……?」
「む、どうしたんだ?」

「私、女なんですけど」
「……………………」

 ケンガの自信満々スマイルが一瞬で消えた。さっとフローレンスから目を逸らす……滝のようにダラダラ冷や汗をかいている。
「はぁーっ⁉︎ 何言っていんだケンガ、どう見ても女子じゃん!」
「いやまあ私、筋肉あるし身長高いし胸小さいし、よく間違えられるんですけどね。全然気にしてないんで大丈夫ですよ」
 そう言って笑顔を作るフローレンスだが、一瞬額に青筋がビキビキッと浮かんだのを、ナガレは見逃さなかった。
「そ、そうそう! フローレンスく……フローレンス嬢はかなり身長が高いな! ナガレより頭一個分くらい大きいぞ! いやあ頼もしい! は……ははっ……」
 ケンガはなんとか話題を逸らそうとしている。しかしその身長は、ナガレも気になっていたところだ。
「フローレンスって身長どのくらいなの? いや、教えたくなかったら良いんだけど」
「えーっと、去年測った時はだいたい二メートルくらい……ですかね」
(でか! タネツさんよりデカいじゃん!)
 ナガレの視線を見て、フローレンスはニコッと笑う。どうやら高身長に触れるのはタブーではないらしい。
「ところでナガレさん。ケンガ以外にもお仲間さんはいらっしゃるんですか?」
「おっと、そうだ説明忘れてた。実はかくかくしかじかしかのここしたんたんで……」
 という訳で事情を話す。その横でケンガが「俺様だけ呼び捨て……」と不満そうに呟いていたが、自分で蒔いた種であることを忘れてはならない。
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