崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第十話 闇を抱える爆音波

労働の時間

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 資材置き場兼復興キャンプにはすぐ着いた。今は休憩時間なのか、性別も種族もさまざまな十数人の作業員が、コーヒーを飲んだり談笑したり、思い思いに過ごしている。
「みんな! 護衛の方々が来てくれたよ! はよう挨拶せんかいな!」

「「「おねがいしゃーーす!」」」
「多いな……よ、よろしく……」
「お、お願いします~」
 一斉に頭を下げられ、ちょっと押され気味のタネツたち。
「こちらこそよろしく!」
 一方ナガレは元気に挨拶を返した。……ちなみにジョーはガン無視している。
「あっちの建物とかは、何日か前にいくつか直してんだ」
 ヤングが指差す先には、木製の真新しい民家がいくつか建っている。ぱっと見でも頑丈なのが分かる立派な造りだ。
「すげえもんだな……。しかし木材やら買うのも金がいるだろう。給料だっている。誰から金を貰ってるんだ?」
「……きっとロードバッツ共和国からです。辺境の村とはいえ、完全に潰されてしまっては必ず良くない影響が出ます。そのため、あまりにも被害が大きい場合は援助してくれるんです。今回はきっとその援助が出たのでしょう」
 タネツの独り言に答えたのはジョーだ。と、ここでヤングが振り返る。そして「しっかし……」と首を捻った。
「ひーふーみー……たった六人しかいないじゃないかい。聞いてたより少ないね?」
「どう言うことです~?」
「あたしら、来てくれる冒険者は二つのグループで、全部で十一人って聞いてるのさ。あと五人は一緒じゃないんだねぇ」
 するとジョーが一歩前へ出た。
「……俺は冒険者ではありません。こいつ、ナガレの友達です。俺はカウントしないので、来ていないのはあと六人です」
 それを聞いたヤングは肩をすくめる。
「友達ねぇ。……ま、いいや。アンタら、護衛任務も結構だけど、ヒマなら色々作業を手伝っとくれ。あんま詳しいことはさせられないから、資材運びとか休憩のメシ作りとか……金受け取ってんだろ? ならその分は働いてもらうよ」
「ああ、もちろんだ!」
 ナガレがそれに応え、しばらく作業を手伝うことになった。
「そいじゃそろそろ休憩も終わりだし、みんなで準備体操するよ! ほらアンタらも! いっちにーいっちにー………………」

~☆~☆~☆~☆~☆~

 そうして日がようやく傾いた頃、みんな一生懸命に作業を手伝っている。
「ここの木材は全部、あの建物は持っていってくれ。二人で行けるかい?」
「はい! 分かりました!」
「ナガレ君、行くぜ。せーの!」
 ナガレとタネツは二人で木材を運んでいる。数メートルはありそうな太めの木材を肩に担いで運んでは戻ってまた運んで……の繰り返し。ノコギリで切ったり建築したりするのは作業員さんの仕事だ。
「おじさんはともかく、お嬢ちゃんもなかなか力持ちだなぁ」
「男だっつーのに……毎日コレとおんなじくらいの砂持ってますからね」
「す、砂……?」
 
 一方ジョーとケンガは、近くの川へ水汲み作業を行っていた。真夏に比べてだいぶ涼しい気候だが、みんな作業すると喉が渇く。そのため温厚な草食モンスター・ステップスイギュウに荷車を引いてもらい、たくさんの大きな樽に水を入れていくのだ。
 ざぶざぶ……。
「お、重い……これこそタネツさんの仕事じゃないのか……」
「……じゃあナガレと一緒にあの木材を運んでこればいい」
「ぐぬぬ……じゃあジョーが一人でやってくれよ! あんなに強いんなら、絶対俺様よりステータス高いだろ!」
「俺は冒険者ではないんだ。お前は職務怠慢になるぞ」
「く、くそぉー……」
 ケンガを宥めすかし、時には論破しつつ、割と気楽そうに樽を運ぶジョー。荷車に積むのは、ステップスイギュウを操る大柄なお姉さんも協力してくれた。
「ほらほら冒険者さん、これだけでバテないの! これをあと二往復するまで休めないんだから!」
「く~っ……第一綺麗な川とはいえ、その水を飲み水として使うのは危ないんじゃねえのか?」
「それは大丈夫! キヨ石を中に入れとけば、何回か振れば安全になるからね」
 キヨ石とは、普通の石ころに魔法使いが特殊な加護を送り込んだ魔法石だ。なんでも石が持つ魔力によって、水をある程度まで浄化してくれる。微生物も殺して毒も処理して、安全な飲み水にしてくれる。労力故に値段はそこそこするが、湯を沸かして殺菌する余裕のない時などは世話になることも多い。まあ普通に火で沸かしても殺菌はできるので、そこは利用者次第である。
「……無駄口なら後で好きなだけ聞いてやる。……ナガレがな」
「オメーが聞けや!」
 目を吊り上げて怒るケンガだが、結局再び樽を運び始めるのだった。

 ……そしてヒズマとサニーは、ひたすら夕食となるシチューをかき混ぜていた。まるで風呂釜のような特大サイズの鍋に、人参と玉ねぎとドロっとしたシチューを投入し、剣みたいに大きいかき混ぜスプーンを必死に動かしている。
「ちょ……ちょっとサニー! お、お願いだから、か、変わって……」
「いえだめです。もう少しでパンが焼けそうなので……。二杯目を作る時は、私がかき混ぜるので頑張って下さい」
「あーん、こんなに辛いなんて~……」
 資材運搬・水の補給・食事作りの選択肢をヤングから出された際『一番楽そうだから』という理由で選んだヒズマだったが……。
 当然数十人の飯なのでかなりの量が必要だ。食事はパンと野菜シチュー、お好みでビーフジャーキーというシンプルなメニューだが、それでも作るのは無茶苦茶大変である。……正直ナガレとタネツの資材運搬が、一番楽かもしれない。
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