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第十二話 猛き冠、森林の蹄
ナガレ・ウエストの素質?
しおりを挟む「クリフ・アルバミンテ……って、こ、これ! もしかしてタイガス冒険者ギルドのマスターですか⁉︎ あの『破壊の剛腕』って呼ばれてた伝説の冒険者!」
宛名に驚いたナガレだが、そこでふと首を傾げる。
「あれ、この『向こう見ずのクソザコ冒険者』ってなんのことですか?」
「え…………さ、さあのう? 全くクリフのやつ、へんちくりんな冗談を言いおって」
冷や汗を隠してつ~んと視線を逸らすレン。言い出しっぺのアルクルは、ニヤニヤしながら高みの見物を決め込んでいる。
「ま、いいや。きっといい意味で言ったんだよ。それよりラストハーレムズか……」
「そーそー。ナガレ君の友達、フローレンスってコの所属ギルドだから何か知らないかなって」
アルクルがそう聞いてくるが、あいにくそんな話は初耳だ。知っていることなど何もないナガレは、黙って肩をすくめるしかない。
「そうか、やはりか……たった一つの手がかりなのじゃが、一体どうしたものか」
レンはがっくりうなだれる……が、すぐに顔を上げた。
「ふえぇ……なんて言っとる場合ではないじゃろう。あと五ヶ月経てばどうせ何も出来んくなるし、足掻けるうちに足掻いておかねば」
「オレも何か手伝いましょうか?」
ここ最近は作物の収穫時期で住民が外へ出ないからか、ギルドへのクエストもなんだか少ない。全く無い訳ではないのだが、ガラガラマムシやサラマンダーの素材を売った大金がまだ残っている。贅沢は出来ないが、しばらく暇だ。
「ふむ……ではお願いしたいことがあるのじゃ。ラストハーレムズを少し探って見てくれんかの? ナガレ君は現役の冒険者だし、比較的怪しまれずに行動できるのではないかと思うのじゃ」
「よっし任せてください……」
ナガレが意気揚々と手を挙げたが、アルクルは首を横に振った。
「いやいやマスター、そりゃキツイと思いますよ。ラストハーレムズはれっきとしたアイドルでもありますし、セキュリティはしっかりしてるでしょう。探る前に門前払いをくらうのが関の山でしょーに」
「ううむ、そうか……」
良いアイデアだと思ったが、やっぱりダメそうでレンは頭を抱えた。
「なあアルクル、ヒズマさんとかアリッサに潜入捜査してもらうってのはどうかな? メンバーに加入すれば少しは情報も増えるんじゃないかな」
ぱっと思いついたことを適当に言ってみるナガレ。アルクルはやっぱり首を振った。
「いいや、ラストハーレムズはあくまでも冒険者パーティだ。アリッサちゃんがいくら可愛く着飾っても、冒険者ライセンスがなきゃどうにもならん」
「そっか……」
「それにヒズマさんは……その、アイドルっていうにはちょっと年齢がなぁ……うわキツっ、無理すんなよおばさん……」
一体何を想像したのか、顔をぐしゃりと顰めるアルクル。ナガレはため息をついて立ち上がった。
「参ったなぁ。オレも冒険者の知り合いなんて少ないぞ。はぁ~、アイドルしてても違和感ないくらい可愛い顔した冒険者の子がどっかにいないかなぁ~」
「おいおいナガレ君。気持ちは分かるがそんな奴が、いる、わ、け…………」
「全くじゃ。この際性別なんてどっちでも良いから、そんな可愛い、冒険者が、い、て…………」
「ん、どうしました?」
なぜかアルクルとレンのセリフが途中で途切れた。気になって振り向くと、レンとアルクルは真顔でナガレの方を見つめている。
「え、なんですか? な、なんか怖いんですけど……え、なに、本当に何⁉︎」
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