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第十二話 猛き冠、森林の蹄
面接を終えて
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その兄ちゃんはナガレを見て何度も頷いている。その嬉しそうな様子はまるで、孫の門出を祝うおじいちゃんみたいだ……。
「そのハスキーでボーイッシュな声も素敵だね! それじゃあ面接に行っておいで。加入者のチャンスを逃さないように、メンバー募集中は常に面接官がいるから。この廊下の突き当たりまで言ったら、右の扉に入るんだ。ちゃんとノックするんだよ」
「あ、ありがとうございます!」
何度もコンプレックスを刺激されてナガレの心はズタズタだったが、それでもこの兄ちゃんの優しさが染み渡る。ちゃんとお礼を言って、スカート上の腰巻きをつまんで歩いて行った。
(でも合格できるかなぁ……変なこと言って追い出されたらどうしよう……。ええいっ、なるようになれ!)
……その後ろから「ばいば~い」と手を振っていたセキュリティの兄ちゃんだが、ナガレの背中を見つめてフッと微笑んだ。
「……ありゃあ面白い娘……いや、面白い子だ。きっと合格するだろうが……さぁ、どんな変化が起こるかなぁ」
そう言って、突然片手を上げてピースサインを作る。……すると室内の隅で容姿を片付けていた従業員の一人がそれを見て、さっと後ろ手で何やらハンドサインを送った。今度はそれを見た冒険者の一人が別のサインを出して…………?
そして、ナガレが面接をはじめてからわずか二十分後。
ギィィィィッ……。
面接の部屋から出てくるナガレ。
……彼はピンクと白色を組み合わせた、フリルやリボンてんこ盛りの可愛いアーマーに着替えている。
「あ、あは、あははは、あはは…………」
あまりにトントン拍子で進みすぎて、ナガレも腑抜けた変な笑い声が出てきた。冷や汗を掻きながらなのに、自然と笑い声が出てきてしまう。
(……マジかよ。オレ、今日から見習いアイドルなのか……)
少し前……。
面接官はメガネをかけた、いかにも『お局様』という感じのおばさんだった……が、その人はノックして入って来たナガレを見るなり驚いて立ち上がった。
「まぁっ! アナタ……良いわね」
「は?」
突然すぎてナガレもなんの話か分からない。
「えぇもちろん……うんうん……正直疑ってたけど、かなり良いわ」
「あの、どうかしましたか?」
「あら失礼、何もないわよ。ごめんなさいね。それでは始めましょ! どうぞ、そこに座って」
「は、はい」
二人で向かい合う椅子に座ると、不気味な満面の笑顔を作ったお局様が口を開く。
「アナタの名前を教えてちょうだい?」
「あ、はい。オレ……あっ! わ、ワタシ!」
「うふふ、方言が出ちゃったかしら? 大丈夫よ。ギャラリーの前だけ気をつけてくれれば良いから、普段はなんでも良いわ」
そうは言っても、ボロを出すわけにはいかない。
「わ、ワタシはナガ……じゃなくって、えっと…………そ、そう! レガーナ! レガーナ・ウェストです!」
「はいはい、レガーナちゃんね」
「はい! ウェストの『エ』は小さくしてください」
「それでレガーナちゃん、何か冒険者の証となるモノは持ってるかしら?」
「あ、はい。コレでどうでしょうか」
そう言ってナガレは、スカーフにつけているC級冒険者のバッジを取って手渡した。お局様はそれを受け取り、虫眼鏡でしっかりと観察している。
「ふんふん…………。うん、偽物じゃないみたいね。よろしい、面接は以上」
「え、もう終わりですか?」
「ええ、アナタはすでに合格よ。冒険者の証と、登録名だけ教えてもらえればオッケーだから!」
「…………え、マジですか?」
「マジもマジ、大真面目よ? あ、そうそう。登録名は本名で良い?」
「え、あ、はい、どうぞ」
どうせあと数ヶ月しかいないんだし、それで良い。情報を集めればその時点でスピード引退するし、失敗すればギルドが解散するので一旦帰ることになる。
「そのハスキーでボーイッシュな声も素敵だね! それじゃあ面接に行っておいで。加入者のチャンスを逃さないように、メンバー募集中は常に面接官がいるから。この廊下の突き当たりまで言ったら、右の扉に入るんだ。ちゃんとノックするんだよ」
「あ、ありがとうございます!」
何度もコンプレックスを刺激されてナガレの心はズタズタだったが、それでもこの兄ちゃんの優しさが染み渡る。ちゃんとお礼を言って、スカート上の腰巻きをつまんで歩いて行った。
(でも合格できるかなぁ……変なこと言って追い出されたらどうしよう……。ええいっ、なるようになれ!)
……その後ろから「ばいば~い」と手を振っていたセキュリティの兄ちゃんだが、ナガレの背中を見つめてフッと微笑んだ。
「……ありゃあ面白い娘……いや、面白い子だ。きっと合格するだろうが……さぁ、どんな変化が起こるかなぁ」
そう言って、突然片手を上げてピースサインを作る。……すると室内の隅で容姿を片付けていた従業員の一人がそれを見て、さっと後ろ手で何やらハンドサインを送った。今度はそれを見た冒険者の一人が別のサインを出して…………?
そして、ナガレが面接をはじめてからわずか二十分後。
ギィィィィッ……。
面接の部屋から出てくるナガレ。
……彼はピンクと白色を組み合わせた、フリルやリボンてんこ盛りの可愛いアーマーに着替えている。
「あ、あは、あははは、あはは…………」
あまりにトントン拍子で進みすぎて、ナガレも腑抜けた変な笑い声が出てきた。冷や汗を掻きながらなのに、自然と笑い声が出てきてしまう。
(……マジかよ。オレ、今日から見習いアイドルなのか……)
少し前……。
面接官はメガネをかけた、いかにも『お局様』という感じのおばさんだった……が、その人はノックして入って来たナガレを見るなり驚いて立ち上がった。
「まぁっ! アナタ……良いわね」
「は?」
突然すぎてナガレもなんの話か分からない。
「えぇもちろん……うんうん……正直疑ってたけど、かなり良いわ」
「あの、どうかしましたか?」
「あら失礼、何もないわよ。ごめんなさいね。それでは始めましょ! どうぞ、そこに座って」
「は、はい」
二人で向かい合う椅子に座ると、不気味な満面の笑顔を作ったお局様が口を開く。
「アナタの名前を教えてちょうだい?」
「あ、はい。オレ……あっ! わ、ワタシ!」
「うふふ、方言が出ちゃったかしら? 大丈夫よ。ギャラリーの前だけ気をつけてくれれば良いから、普段はなんでも良いわ」
そうは言っても、ボロを出すわけにはいかない。
「わ、ワタシはナガ……じゃなくって、えっと…………そ、そう! レガーナ! レガーナ・ウェストです!」
「はいはい、レガーナちゃんね」
「はい! ウェストの『エ』は小さくしてください」
「それでレガーナちゃん、何か冒険者の証となるモノは持ってるかしら?」
「あ、はい。コレでどうでしょうか」
そう言ってナガレは、スカーフにつけているC級冒険者のバッジを取って手渡した。お局様はそれを受け取り、虫眼鏡でしっかりと観察している。
「ふんふん…………。うん、偽物じゃないみたいね。よろしい、面接は以上」
「え、もう終わりですか?」
「ええ、アナタはすでに合格よ。冒険者の証と、登録名だけ教えてもらえればオッケーだから!」
「…………え、マジですか?」
「マジもマジ、大真面目よ? あ、そうそう。登録名は本名で良い?」
「え、あ、はい、どうぞ」
どうせあと数ヶ月しかいないんだし、それで良い。情報を集めればその時点でスピード引退するし、失敗すればギルドが解散するので一旦帰ることになる。
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