崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第十二話 猛き冠、森林の蹄

懐柔?

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「こ、これすごく高いやつっす! 百グラムで五百ダラーするような、無茶苦茶高いやつ!」
「しかもこの木箱、裏にちゃんと生産印が掘られてます! 紛れもなくホンモノですよ!」
「ほ、ホントにくれるのレガーナちゃん⁉︎」
「はい! どうぞどうぞ、プレゼントします! ワタシからのお近づきの気持ちとして、遠慮なくお受け取り下さい! あ、一応腐る前に食べてくださいね」
 そう言ってナガレはニコッと笑う。……が、内心では嘲笑っていた。
(へっ、あんだけ悪ぶってこの程度か。確かにそりゃ本物のシャトーブリアンだが……)

 そう、彼が渡したのは、確かに嘘偽りない高級食材ウエストサイド・ブルのシャトーブリアン……

 の、切れ端を集めたやつである。

 実はバッファローの町の農場でも少数ながらウエストサイド・ブルを飼育しており、農家のご夫妻から商品にならなかった部分を譲ってもらったのだ。脂身が少し多い部分やどうしても商品としての規定サイズにならなかった端っこの部分などである。
 事情を話して協力してもらい、その切れ端を集めて箱詰めしたのを、ナガレ達冒険者が割り勘で譲ってもらったものだ。
 ちなみに費用はたったの五百ダラー。結構高いが、本物のシャトーブリアンと比べれば買えない物ではない。割り勘なら尚更でかる。
(牧場が近くにあったのは、田舎ならではだな。こんなタイガスみたいな都会にゃないもんだからな)
 しかし想像を超えた贈り物は、リーダー達へ贈る物としては完璧だったようだ。三人の表情も一気に明るくなった。
「ありがとーレガーナちゃん! 帰ったらメイドに作ってもらうねっ! トリゼラ! ナスタシア! アンタらも付き合いなさいっ」
「喜んでお供します! レガーナちゃん、ありがとう!」
「こんな良い物を持ってくるなんて、新人のくせによ~く分かってるじゃん。アンタのことはよーく覚えとくよ」
 ……どうやらナガレを誘う気はなさそうだ。カチコチに冷凍されたシャトーブリアンの切れ端詰め合わせセットを手持ちの高そうなバッグに隠して、意気揚々と部屋を出ていく三人。

「フッ、ちょろいぜ」
 ナガレもニヤリと笑って、部屋を出て行った。

 そうして外へ出ると、なぜかベアンが頭を下げていた。まるでヤクザの出迎えのように、両膝に手をつき深く首を垂れている。
「ベアンさん?」
 ナガレが聞くと、ようやくベアンは顔を上げた。
「お、レガーナちゃん。なんかリーダー達がすごく嬉しそうに出てったけど、何渡したの? 賄賂送るのは珍しくないけど、あんなに喜ぶなんて珍しいな」
(賄賂が珍しくないのかよ……)
「いやあ、ちょっとね」
 適当なことを言ってはぐらかした。
「? ……まぁ、リーダーの機嫌も良さそうだし別に良いか。それじゃ、飲み行こっかレガーナちゃん。ウチの後輩も紹介すっから! そ、それよりも先に着替えないとねっ、ウヒヒ……ッ」
 若干強引に腕を引っ張られ、ナガレとベアンは階段を降りて行った。
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