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第十二話 猛き冠、森林の蹄
だからこそ
しおりを挟む「ワタシ、そんな理由でフローレンスをほっとけません。……ワタシは強い冒険者になって、困っている人を助けられる人になりたいんです。どんな困難だろうと手を差し伸べられる、誰かの希望になる冒険者に、ワタシもなりたいんです」
「え……?」
「バカ、黙っとき……」
バードがつい口を挟もうとして、ジーカに横腹をつねられた。
確かにナガレが言った「強い冒険者になる」というのは、アイドルと冒険者二足の草鞋であるラストハーレムズの方針から外れている。正直ボロが出ているが、それでもナガレは迷わなかった。
「仲間が助けを必要とするなら、ワタシは手を差し伸べます。こんなワタシにも出来ることがあるなら、なんとしても力になってやりたいんです」
「レガーナちゃん……」
「だからこそ、誰がなんと言おうとフローレンスを助けます。手伝います。だって、それが仲間じゃないですか!」
「……そうか」
ベアンは苦虫を噛み潰したような渋い顔をしている。ナガレはペコリと頭を下げた。
「すいませんベアン先輩、大きな声出しちゃって。ワタシ、先輩がそんなにフローレンスのこと考えてるなんて知らなくて……」
そう言うと顔を上げてくれたベアン。
その口元は、確かに笑っていた。
「そっか……そっか。じゃあもうあーしは止めない」
「……ベアン先輩!」
「すまんね、こんな試すようなマネしちゃって。でもこれ以上踏み込むなら、あーしもちゃんとレガーナちゃんの腹つもりを聞いときたくてさ」
そう言ってベアンは、ちょっと寂しげに笑う。
「フローレンス……一年前くらいだったかな。あのトレメインの野郎どもが一軍に上がる前は、結構頑張ってたんだぜ。ひたすら一人で特訓して、必殺技を作り出したり……でもある日を境に使わなくなっちまったんだ」
「そうなんですね……」
「だから、あの時のフローレンスの頑張りが見られんのなら、正直あーしは文句ないんだけどなぁ。おっと! ごめんごめん、レガーナちゃんにこんなこと言っても……」
「全くッス。リーダー、最低ッス。これは嫌われても文句言えないッス」
「ホンマやでパイセン、その場におらんとはいえ、そんな酷いことデカちゃんに言うなんて最低や。引くわ~ガチ引くわ~」
「おめーら聞いてただけなのにボロクソ言ってくんな!」
「「きゃ~!」」
ベアンに追いかけられ、ジーカとバードは即座に逃走! ドアを開けて外へ飛び出していく。
「レガーナちゃん、また今度ッス~!」
「バイバイやで~!」
「うるあぁぁぁぁぁ!」
どたどたどた……。
「ありゃりゃ、行っちゃった。……でもサンキュー、ベアン先輩。アンタ良い人だったじゃん」
ナガレはそう呟いてから、突然ガックリ俯いた。
「……オレはそんな人を騙してるんだよなぁ。もし男だってバレたらどうすれば良いんだ。と言うかバッファローのみんなで立てた作戦だと、撤収も突然のものになるんだよなぁ」
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