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第十五話 リトル・ドラゴンスレイヤー
年末の一コマ
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それから数週間が過ぎた頃。バッファローの町も年末ムードであり、町ではちょうどケーキが売り出される時期だった。
「ねールック~! このデッカいのにしよーよ~! 年末にもならないと、ケーキなんて食べられないんだからぁ。一年に三回くらいしか食べられないんだよ⁉︎」
町の大通りにある小さなお菓子屋さんの前で、アリッサが駄々をこねている。それをルックが白い目で見つめていた。
「うるせーよねーちゃん、そんなこと言って定期的に食ってるじゃん。……でも、久しぶりに父さんと母さんとねーちゃんと俺の四人か……」
「そういえばそうだね。お父さんもお母さんも、いっつも忙しそうで話せてないし」
「……よし、じゃあこのデカいのにするか! すいませーん、これ予約でお願いしまーす」
「やったぁ! さっすがルック、分かってるぅ」
「ねーちゃんのためじゃないからな。父さんと母さんのためだからな」
そんな会話が繰り広げられている横を、まばらな人々が通り過ぎていく。その中にはレンとアルクルの姿もあった。いつもの着崩した制服の上にシンプルなコートを羽織ったアルクル。レンはいつものだぼだぼローブではなく、厚手のウール生地で作られた緑のダッフルコートと長ズボン、太ももにまで届く長いブーツ(いわゆるサイハイブーツ)を着ている。ベレー帽はいつもどおりちょこんと頭に乗っけていた。
「買い出し手伝ってもらってすまんのう。年末はちょっとだけ予算が多めに回るから、この機会に色々買い換えるのじゃ」
「へぇ、そんな理由だったんですねぇ。いくらっすか?」
「三百ダラーじゃ」
「……俺ん家の家賃とおんなじ値段ですねぇ」
「…………」
気まずい沈黙。だがマジの資金難なので仕方がない。
ピュウゥーー……。
「……へくちっ、風が冷たいのう。老体にはこたえるわい。……もうクリスマスの時期じゃのう」
「肉体年齢は若いんだから我慢してください。そんなんだからナガレ君に年寄り扱いされてるんですよ。あとクリスマスってなんすか?」
「……ああ、そうか。いや、独り言じゃ」
「……もしかして下ネタ? ……………ええっとですねえ。マスターの好意は確かに嬉しいんですが、俺はもうちょっとスタイルが良くて同年代でオトナな女性がタイプで……」
「違うわ! 何を想像したんじゃ貴様! てか女子にこんなこと言わすなっ!」
一通り怒鳴ってから、アルクルの方をチラリと見る。
「それでアルクルは実家に帰るのか? 一年中この町におったじゃろう。年末くらい、マリンピア地方の実家に顔を出したらどうじゃ」
「いや、今年は残りますぜ。……アイツらがクエスト受けに来るかもしれねえから」
そう聞いてレンもフッと笑う。
「そっか……そうじゃったな。ナガレ君がここに来て初めての年末か。なんだかずっと昔から一緒にいたような気がするのう」
「へいへい、センチメンタルはやめてくださいよっと。……はぁ~やれやれ、去年はもうギルド閉めてたのに、ずいぶん賑やかになりましたねぇ」
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