崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第十六話 進化の道

空気の変化

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 確かにマナーのことを忘れていた。今度はしっかり飲み込んでから喋ることにした。
「でも、二人分で二百ダラーでしょ? ……いくらなんでも、本当に払えるの?」
 これがツーテン食堂なら、ステーキを二十皿分も食べられる。そんな大金のことを考え、流石にナガレも悪いことした気分になってきた。
「大丈夫です。ふふふ、私がもらったお小遣いの金額聞いたら、ナガレさんもきっとビックリすると思います」
「えぇ~? そうなのかぁ?」
 首を捻りつつ、ステーキをゆっくり噛み締めて味を堪能する。
(……あ、もう一切れしかない。この天国みたいな食事ともお別れか……)
 料理は美味いしロマンチックな空気だし、何より目の前にサキミがいてくれる。こんな天国みたいな時間、そう味わえないだろう。
「んっ……あーあ、最後の一切れかぁ。もっと食べたいな~なんつって、ハハハ……」
 名残惜しそうに笑ったところで……ナガレはサキミの様子の変化に気がついた。

「…………」
「……あれ、サキミ? どうしたの、急に黙り込んじゃって」
 なぜかサキミが急に無言で俯いてしまった。見れば彼女の皿には、切り揃えられたステーキがまだ余っている。まさか、ナガレが早く食べすぎて怒っているのか……?
 そんな予感が頭をよぎり、冷水を浴びせられたように固まるナガレ。なんだか変な予感がして、首筋を冷や汗が流れる。
「ナガレさん。その、なんてことない質問なんですけど……」
「な、なんでしょーか?」
 

「ナガレさんは、冒険者なんですよね」
「へ? ……そうだけど」
 どんな言葉がくるかと思いきや、とても単純な、答えの分かりきった質問だった。そんなことサキミはとっくの昔に知っているはずだが……。
 ナガレの返答を聞いて、サキミはさらに真剣な表情になった。
「じゃあ、あのギルドを立て直すために毎日特訓しているんですね」
「うん。特訓のことまで知ってたのか。なんだか恥ずかしいなぁ。見られてるって分かってたらもっとカッチョイイことしたのになぁ!」
 冗談で場を和ませようとするも、サキミは余裕がないのかピクリとも笑わなかった。
(あ、あれ? なんだ、サキミの雰囲気が変わったぞ?)
 さっきまでタレ目の穏やかな笑顔だったのに、いきなり無感情の静かな視線を向けて来る。まるで人間を観察するカラスのように、澄んだ瞳でナガレを見つめて来る……。
「……あの、ナガレさん。あなたはどうして、そのギルドに執着するのですか?」
「え? どういう意味?」
 思わず聞き返すナガレ。問題の意味が分からないのではない。なぜサキミがそんなことを聞くのか、理解できなかったからだ。
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