崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第十九話 禍のエースストライカー

陰謀

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~☆~☆~☆~☆~☆~

 そのやり取りから、わずか数時間前のこと。
「うぐぐ……ぐおぉっ……!」
 バタッ!
「……誰だ!」
「いや待て。ワッカーサ様!」
 ベイス・キャニオンのアジトへ、オオカミ男のワッカーサがようやくたどり着いた。黒ローブの兵士が次々と駆け寄ってきて、慌てて担架に体を乗せた。
 キンテツ村からはるかな道のりを走ってきたようだ。銀のハサミで胸を突かれ、体が焼けるような激痛に耐え、倒れ挫けそうでも必死で走って来た。彼もまた諦めずに戦ったのだ。
「ワッカーサ様、失礼します」
 黒ローブの一人が胸に刺さるハサミを掴んで、グッと力を込め引き抜いた!
 ブシャッ!
「ぐっ! ぐぅぅ……っ、ハァッ、ハァッ……」
 痛みは一瞬で、ようやく体が落ち着いてきた。だが自分でもわかる。ライカンスロープとしての体内機能がとても弱っていて、もってあと数日だろう……。
 だがワッカーサは手を伸ばし、黒ローブの腕をぎゅっと握った。
「ハァー、ハァー、グルルルッ……ち、治療はいらん。ど、どうせ長くは生きられん。グルル……そ、それよりすぐ祭司様に連絡を取れ! ぐあぁぁぁ……!」
「わ、分かりました。おい急げ!」
 黒ローブの集団は急いで担架で運び、紫の炎が燃え滾る篝火近くへ連れて行った。ワッカーサを慎重に火の近くへ卸す。
 そばにいた女が急いで呪文を唱えると、炎がボウッ! と燃え上がる。するとどこからともなく女性の声が聞こえてきた。

『……ワッカーサ。あなたがそこまで追いつめられるとは、いったい何があったのですか?』
 黒ローブの一団は誰も驚いた様子を見せない。それが当然のように、緊張した表情でワッカーサを見守っている。
「ぐ、グルルァ……さ、祭司様。サニー・ワカセラが、う、裏切りました。お、俺を倒し、ま、マガツゴーストもおそらく……ぐふッ……」
『……まぁ』
 女性の声が、驚いたように上ずった。
『それではあの実験体も浮かばれませんね……。仕方がありません。ワッカーサ、今はゆっくりお休みなさい。あなたの始末は後で考えます』
 それを聞いたワッカーサは喜ぶどころか、苦しそうに体を起こした。
「うぐっ! フゥーフゥーッ……さ、祭司様! お、俺を……俺を! お、俺は銀をくらって、な、長くは生きられない」
『まぁ、それはいけません。あなたにはソウルの力があるか分からないのに』
「お、お願いします。組織のため、我が主のためなら死んでもいい。だ、だが、サニーの野郎だけは生かしちゃおけねえ……グッ! あ、あの裏切り者だけは許せねえ……! か、必ずこの手で殺し生首もぎ取ってやる……グフッ!」
 サニーがそう言うと、女性の声がしばし止んだ。

(……この憎しみ、この殺意……これなら『材料』に適しているかもしれない)
  
 女は息をスッと吐いた。
『……いいでしょう。信者の皆さん、彼を本拠地まで運んでくださいませんか?』  
「……! あ、ありがとうございます!」
 己の運命を知ってもなお、ワッカーサは涙を流して喜んだ。それと同時に再び担架に乗せられて、どこかへ運ばれていった……。
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