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第二十六話 荒野に叫ぶロックスター
一触即発?
しおりを挟む「……気づいていたか」
すると、崖下から一つの影が飛び上がり、ナガレたちのそばに音も無く着地。ヨビカリ草に照らされたのは……ジョー!
「ファッ! じ、ジョーが二人……⁉︎」
「……驚いた。俺の姿まで変えられたか。だが怪しいものだ、マスクを外してみろ」
ジョーが冷たく言うと、ジョーはマスクを外す。(とてもややこしい)傷ひとつない、彼の強者っぷりを表す綺麗な顔だ。
「……何だ」
マスクを外した姿を見て、ジョーは「フン」と鼻で笑った。(とってもややこしい)
「……先の発言を撤回する。お前の変身も大したことないな」
そう言って、ジョーもマスクを外した。……その頬や顎には当然、醜く変色した大火傷の跡があった。
「……イビル教団か」
そう言ったジョーの姿が、突然肥大化していく。肌は黒く変色し鎧となり、まるで体から生えてくるように、ボロ布のマントが出現する。すぐにバンドの姿へ戻った。
「……詳しいな。ああ、奴らの炎に焼かれた傷だ。イビル教団が復活したせいで、この傷がまた疼き始めた」
「……復讐か」
バンドは腕を組む。ジョーは「フフッ」と冷笑した。
「……くだらんことはやめろとでも言うつもりか。イビル教団がこの世に存在する限り、俺は死ねない。一人残らず、皆殺しにしてくれる」
「……ああ、それでいい」
「え?」「……なに?」
なんとバンドは、清清しいくらいに文句を言わなかった。むしろ大きく頷いて、彼の復讐を肯定する。
「……ああ、思い切りやるがいい。……復讐なんて、何も生まない。気分が晴れるわけでもない」
そこまで言って「フ……」と小さく笑うバンド。
「……だが、復讐しなけれは、永遠に悔しさに囚われるだろう。それを忘れられるのは、真の強者しかいない。……お前は強者ではない」
「……なんだと?」
「……俺なんざに理解されたくもないだろうが、お前の気持ちは少し分かる。復讐とは盲目……だが、それに呆けて大切なものを失うなよ」
「……嫌味か、貴様!」
ジョーは復讐の果てに、姉を失っている。イライラしたように低く呟き、黒曜石の短剣『オブシディアンダガー』を抜き放った。
「……図星か」
だがバンドはそう言って、なんと背を向けた。そのまま崖へ歩いていく。
「……待てっ、どこへ行くつもりだ!」
「……ナガレ」
「は、はい?」
怒れるジョーを無視して、ナガレと目を合わせるバンド。
「……また明日、ここに来い。そこの男を連れてくるなら、勝手にしろ。……だが決して、話の分からない、俺を捕まえようとする奴は連れてくるな」
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