崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第三十二話 狐の威を借る虎

始まりの特訓

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 バリジゴクの事件から数週間後。
 少しずつ気温が上がって来て、また夏が始まろうとしていた。

 カーカーカー……と、カラスが鳴いている。
 オレンジ色の夕陽が、バッファローの町を照らしていた。夜を待つ空まで橙色になっている。いつも変わらない美しさだ。
 そしていつもの高台広場で特訓するナガレたち……。

 しかし、なんだか前と雰囲気が違った。何やら道具が増えている……?

「てりゃあぁぁーーーーッ!」
 ブンッ! ……ガキィン! ブンブンブンッ! キィンッ!
「ゼェハァ……な、なかなかやりますね……」
 いつもクールで冷静沈着なサニーが、ただの特訓で荒い息を吐いている。軽量の鎧に、いつものギリースーツのマント……ではなく、砂色と濃い緑色の迷彩柄マントをつけていた。慈悲のサーベルをダラリと下げて、額に汗を浮かべていた。
 その標的は、ちょっと錆びついたジャンク品の盾を持っている。……だが相手は、ナガレでもタネツでもない。

 なんと……木製のただのマネキンであった。画家がデッサンに使うようなやつを巨大化したようなものだ。一本足で地面に立っており、押せばすぐにでも倒れてしまいそうだが……。
「くっ……はぁぁぁっ!」
 しかしサニーも負けじと斬りかかる。……だがマネキンは小さめの盾を器用に使い、縦に横に斜めにサニーのサーベルを弾いてしまった。
「くっ、ちょ、ちょこざいな……!」
 
「……すごい。サニーさんがあんなに苦戦してるなんて」
「これが魔力とパワーの集合体かぁ……」
 それを見ていたのは、呆気に取られるアリッサとルック。……そしてその横に、二つの見知った姿があった。

「ふふ……あの反応を見れば、メェ~惑ってわけじゃなさそうねぇ……」
「おらぁ魔力についてはカラッキシだ。だから助かるぜお嬢さんよぉ」
 腕を組んで特訓を見守るのは、なんとスキルウォッチャーのイチコさん、そして加工屋ギン爺の孫ジュランだった。
「へへっ、一肌脱いでやった甲斐があるってもんだい」
「全くよねぇ~」
 サニーが相手しているマネキンは、ジュランが土台を作り、イチコさんがそこへ魔力を吹き込んだというものだ。
 現にマネキンはサニーの動きに反応して、上下左右巧みに斬撃を防いでいる。人間離れした反射神経だ。
「そ、そうなの? すごーい……」
「だろぅ? こいつで動くのは、ヒツジの姉さんが魔法を吹き込んでくれたおかげだ。だが、あのフレキシブルな関節を作ったのは俺なんだぜ~」
 自信満々に胸を張るジュラン。
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