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第三十二話 狐の威を借る虎
オトメの疑問
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「……そう言えばナガレ君は? いっつもいるのに、今日はいないよね」
ふとアリッサが呟いた。
サニーはマネキンと戦っているし、ヒズマとタネツはどんぐりから逃げている。
センチアはその近くで素振りをしているし、ここにいないケンガとフローレンスは外へ走りに行っていた。
「俺様は川の辺りで折り返すかな……」
「じゃあ私は岩場まで行きますかねぇ」
「ほう? ならば俺様はタイガスまで行ってやる!」
「なら私はナゴーヤン高原まで……」「ならば俺様はポーツ地方だ!」「コウヨウ地方まで走って帰ってきますっ!」
「いいからファイタ荒野辺りで引き返してこい!」
ルックがそう言って行かせたが、あの二人のことだし遅くなるだろう。ヘンに意地を張ってどんどん遠くへ行ってしまうに違いない。
さて、アリッサの言葉に還したのはジョーだった。
「……ナガレはこの前の修行でやりすぎた。あんな疲労ですればケガをする。だから帰らせた」
「そ、そっか。あのジョー君、それって……」
そこまで言ってアリッサは口をつぐむ。ジョーが「……どうした?」と聞くも、すっと視線を逸らした。
「な、なんでもない、なんでも……」
アリッサの考えている事。それは……先日見た、謎の黒い鎧の存在である。
恐ろしい存在というのもあるが、ナガレは彼を見ても全く動揺していなかった。まさかナガレは自分たちに隠してなにかしているのだろうか? ……そう聞きたかったが、どうしても勇気が出なかった。
ジョーは確かにナガレと仲がいい唯一無二の相棒だが、彼が知っているとも限らない。
「……そうか。まあ、ナガレが心配になるのも分かる。だがアイツはそこまで弱くない。……俺もついているから安心しろ」
「そ、そうだよね。あはは」
ジョーの勘違いをいいことに、アリッサも笑ってごまかした。
(……それに、気になってるのはそれだけじゃないんだよね)
こっそり横目で見つめるアリッサ。ジョーは人間離れしたトンチキな動作で斬撃を防ぐマネキンをじっと見ていた。
(……あたし、ジョー君のマスクの下を一度も見たことないんだよね。なんでなんだろう……)
実はヒゲがもじゃもじゃだったり、口が裂けていたり、息がクサかったり……そんなことをいろいろと考えた。しかし彼は病的なまでに口元を隠そうとしている。まるで見せるのが、死ぬより辛いとでも言うように……。
(どんな理由なんだろう。とっても気になる……)
正直一番気になっているのだが、アリッサは結局口には出さなかった。
ふとアリッサが呟いた。
サニーはマネキンと戦っているし、ヒズマとタネツはどんぐりから逃げている。
センチアはその近くで素振りをしているし、ここにいないケンガとフローレンスは外へ走りに行っていた。
「俺様は川の辺りで折り返すかな……」
「じゃあ私は岩場まで行きますかねぇ」
「ほう? ならば俺様はタイガスまで行ってやる!」
「なら私はナゴーヤン高原まで……」「ならば俺様はポーツ地方だ!」「コウヨウ地方まで走って帰ってきますっ!」
「いいからファイタ荒野辺りで引き返してこい!」
ルックがそう言って行かせたが、あの二人のことだし遅くなるだろう。ヘンに意地を張ってどんどん遠くへ行ってしまうに違いない。
さて、アリッサの言葉に還したのはジョーだった。
「……ナガレはこの前の修行でやりすぎた。あんな疲労ですればケガをする。だから帰らせた」
「そ、そっか。あのジョー君、それって……」
そこまで言ってアリッサは口をつぐむ。ジョーが「……どうした?」と聞くも、すっと視線を逸らした。
「な、なんでもない、なんでも……」
アリッサの考えている事。それは……先日見た、謎の黒い鎧の存在である。
恐ろしい存在というのもあるが、ナガレは彼を見ても全く動揺していなかった。まさかナガレは自分たちに隠してなにかしているのだろうか? ……そう聞きたかったが、どうしても勇気が出なかった。
ジョーは確かにナガレと仲がいい唯一無二の相棒だが、彼が知っているとも限らない。
「……そうか。まあ、ナガレが心配になるのも分かる。だがアイツはそこまで弱くない。……俺もついているから安心しろ」
「そ、そうだよね。あはは」
ジョーの勘違いをいいことに、アリッサも笑ってごまかした。
(……それに、気になってるのはそれだけじゃないんだよね)
こっそり横目で見つめるアリッサ。ジョーは人間離れしたトンチキな動作で斬撃を防ぐマネキンをじっと見ていた。
(……あたし、ジョー君のマスクの下を一度も見たことないんだよね。なんでなんだろう……)
実はヒゲがもじゃもじゃだったり、口が裂けていたり、息がクサかったり……そんなことをいろいろと考えた。しかし彼は病的なまでに口元を隠そうとしている。まるで見せるのが、死ぬより辛いとでも言うように……。
(どんな理由なんだろう。とっても気になる……)
正直一番気になっているのだが、アリッサは結局口には出さなかった。
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