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第三十四話 決別の時
バンドとジョー
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最後の言葉は、まるで搾り出すほどに苦しげな声音だった。思わずジョーも心配げにナガレの様子を伺う。
「……ナガレ。イビル教団にそう拘るなよ。気になるのは分かる。……俺だって、イビル教団に復讐を志した者だ。……だが、お前にとって何が大切かを考えろ。お前の夢はなんなのかを……」
「……オレの夢か」
ナガレは静かに立ち上がる。そして階段の方へ歩き出した。
「……オレの夢は、困っている人を助けられる冒険者になることだ」
背中を向けながらつぶやいた。
「……どんな困難からも、どんな危険からも人々を守れるような、強い冒険者に……」
「………………」
言われずとも、ジョーには分かった。あれ以来ナガレは『強さ』に執着している。……ネフェリアス・オオソを、アズラの力で救えなかったからだ。
(……オオソが本当に、誰かを生贄にしていたのかは分からん。もしかしたら他の手段があったのかも。……だが、そんな希望論を伝えたところでナガレの慰めにはならんだろう)
去っていくナガレを見送りながら、ジョーは深く息をついた。……慰めてやれればどれほどいいだろう。しかしジョーはナガレのことをよく知っている。血に濡れた自分の思考では、彼のショックを和らげることなどできないと言うことも。
「…………悩むるか」
突然、ジョーの後ろから声がした。聞き覚えのある声に振り向くと、もう一人のジョーが立っている。
「……バンド。ナガレは……これからどうなると思う?」
「…………うむ」
一瞬で正体を暴くジョー。もう一人のジョーは幻覚のように姿を崩し、数秒足らずで真っ黒な鎧姿のバンドへ変身した。
「…………おれには、なんとも言えん。奴はアズラの才が……無くは、ない」
「言い切らないんだな。お前のことは今まで、理解できない奴だと思っていたが。少し親近感を感じている」
「…………くだらん嫌味を言うな。……何かを極めんとする者は、少なからずどこかで転ぶ。どんな達人だろうと、必ず成長が止まるタイミングが現れ、それに苦しむことになる。ナガレもそれと同じ」
バンドは静かに語る。その声は相変わらず無機質だが、どこかナガレを案じているニュアンスも感じるのは、ジョーの気のせいだろうか。
「…………奴ならば、きっとアズラを極められる。今はプラトー、スランプ……そのどちらかだ。実戦で使えんのも無理はない。むしろ、一度でも救えたのは奇跡と言って良い」
そう、ナガレは失敗続きでは無く、ネフェリアス・バリジゴクをちゃんと救っている。
「……ナガレ。イビル教団にそう拘るなよ。気になるのは分かる。……俺だって、イビル教団に復讐を志した者だ。……だが、お前にとって何が大切かを考えろ。お前の夢はなんなのかを……」
「……オレの夢か」
ナガレは静かに立ち上がる。そして階段の方へ歩き出した。
「……オレの夢は、困っている人を助けられる冒険者になることだ」
背中を向けながらつぶやいた。
「……どんな困難からも、どんな危険からも人々を守れるような、強い冒険者に……」
「………………」
言われずとも、ジョーには分かった。あれ以来ナガレは『強さ』に執着している。……ネフェリアス・オオソを、アズラの力で救えなかったからだ。
(……オオソが本当に、誰かを生贄にしていたのかは分からん。もしかしたら他の手段があったのかも。……だが、そんな希望論を伝えたところでナガレの慰めにはならんだろう)
去っていくナガレを見送りながら、ジョーは深く息をついた。……慰めてやれればどれほどいいだろう。しかしジョーはナガレのことをよく知っている。血に濡れた自分の思考では、彼のショックを和らげることなどできないと言うことも。
「…………悩むるか」
突然、ジョーの後ろから声がした。聞き覚えのある声に振り向くと、もう一人のジョーが立っている。
「……バンド。ナガレは……これからどうなると思う?」
「…………うむ」
一瞬で正体を暴くジョー。もう一人のジョーは幻覚のように姿を崩し、数秒足らずで真っ黒な鎧姿のバンドへ変身した。
「…………おれには、なんとも言えん。奴はアズラの才が……無くは、ない」
「言い切らないんだな。お前のことは今まで、理解できない奴だと思っていたが。少し親近感を感じている」
「…………くだらん嫌味を言うな。……何かを極めんとする者は、少なからずどこかで転ぶ。どんな達人だろうと、必ず成長が止まるタイミングが現れ、それに苦しむことになる。ナガレもそれと同じ」
バンドは静かに語る。その声は相変わらず無機質だが、どこかナガレを案じているニュアンスも感じるのは、ジョーの気のせいだろうか。
「…………奴ならば、きっとアズラを極められる。今はプラトー、スランプ……そのどちらかだ。実戦で使えんのも無理はない。むしろ、一度でも救えたのは奇跡と言って良い」
そう、ナガレは失敗続きでは無く、ネフェリアス・バリジゴクをちゃんと救っている。
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