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第1章 幼少期
12話 不穏な予感 父:アイオラト視点
しおりを挟む*時間は念願のお庭デビューの後まで遡ります
父:アイオラト 視点
「・・・・・・と言う理由で、今回の事を計画した様です、報告は以上になります」
「分かった、また引き続き警備を怠らない様に頼む」
「はっ!では失礼します!」
屋敷の警備担当の副騎士団長が退出して行く。
「はぁ、これで何件目だカイル」
目頭を抑えながら背後にいる幼馴染の従者に聞いた。
「今月は今回で7件目ですね先月を含めるとちょうど10件目になります」
今日は6月の27日 後1日で7月に入ろうかとしている日だ。
「確実にあるだろうと確信はあったがこれほどまでとは」
「えぇ、本当に予想以上でした、でも、こんなに早く犯罪が発覚する事なんてなかなか無いですよ」
「確かにそうなんだが、狙われている対象が我が子と言うのが何とも言い表せられない気分だ……」
アトリーが散歩する様になってから、良からぬ輩がアトリーを目当てに敷地に侵入する事件が多発し出してはや1ヶ月半。
今日もアトリーの散歩の時間を狙って敷地に侵入しようとした女を捕縛 、理由は借金取りにアトリーを誘拐して連れて来たら借金を帳消しにすると唆されて 実行したそうだ。
どうやら裏社会でもアトリーの容姿が出回っている様で、命知らずが我が公爵家に喧嘩を売ってきている、元々、情報の出どころは把握しているので手を出してきた者にはしっかり調べ、後々後悔して貰う…
それに、好奇心で直接アトリーを見にきた者達が無意識に引き寄せられて不法侵入する事案の方が多い、無意識にアトリーに引き寄せられた者は一時勾留したのち、正気に戻ったのを確認して、今後用もなく屋敷に近寄らないことを約束させて解放している、そうしないと次から次へと アトリーを見て、屋敷に無意識に不法侵入する者達で、拘留所がいっぱいになってしまうのだ。それに不法侵入と言っても未遂で終わることも多く、元はただの魔力が少ないだけの町民が大半だからだ 。
まぁ、犯罪者の場合はそのまま処罰が決まるまで拘留されるが…
今日までの不法侵入事件や誘拐未遂事件は、アトリーや子供達に気づかれないように内々に処理してきた。大体の事件は日中に、アトリーが庭に出るときに起こっているから発覚しやすいのが救いだ。
あの現象の後も大きな変化は無く、穏やかな日々が続いていた、散歩の日を少し増やして見たりとアトリーはのびのびと過ごしていた……
なので、そんなアトリーの日常を壊させて成るものかと、私を初め、屋敷の使用人達の総意の元で日々力を入れて警備をしている。
「そろそろ父上達もこちらに帰ってくる時期だな」
「そうですね、後12日ほどでお帰りになられるかと」
「カミィも楽しみにしている事だろう、それに手紙に書いてあった 学園で親しくなったと言う、辺境伯爵家 子息の話も聞きたいからね…」
「あまりしつこく聞くと嫌われますよ」
カイルが釘を刺してきた。
「可愛い娘の婚約者候補に興味を待って何が悪い⁉︎」
(将来 カミィが困らないように相手の人柄を把握しとかなければ!)
「悪いとは言ってはおりません、“しつこく“聞くと嫌われますよ、と申したのです」
ピシャリとまた釘を刺されてしまった。
「・・・・・・・むぅ」
「ほら、旦那様 そんな顔をしても仕事は片付きませんよ」
いつも通りの扱いで仕事をさせらる、いつも勝てる気がしない、いや勝ち負けの話ではないが、しょうがない、仕事を終わらせて早めにシリーとアトリーの様子を見に行くか。
そんな日々を過ごしながら夏を迎えた……
+・・・・・+・・・・・+・・・・・+
7月の11日
7月の日差しが強く感じ始めた今日この頃。
カミィと両親が夏期休暇のため屋敷に帰ってきた、帰還の先触れが来てすぐに出迎えの用意をして待っていると、馬車が正面に止まると扉が開くとすぐにカミィが出てきた、本当は 父上が先に出て母上をエスコートした後に、カミィがエスコートされるのだが、待ちきれなかったのだろう、先に出てきてしまったようだ。
カミィ「ただいま帰りましたわ!」
元気いっぱい挨拶する。
シリー「お帰りなさいカミィ、でもちゃんとマナーは守らないとダメよ?」
シリーが注意したようだが。
「お帰りカミィ、危ないから気をつけなさい、マナーにはちゃんと意味があるのだからね」
(立派な淑女になって欲しいからね)
カミィ「ごめんなさい、お父様、お母様…」
(あぁ落ち込んでしまった、きつく言いすぎたかな?)
アトリー「かみぇねぇね、おかりぃ!」
アトリーは手を差し出し満面の笑みで可愛らしく出迎えた。
カミィ「っ!…、ただいま!アトリー!上手に言えたわね!凄いわ‼︎姉様 驚いたわ、偉いわね!」
と、嬉しそうにアトリーの頭を撫でた。
(アトリーは凄いな、一瞬でカミィの気分を上向きにして、姉としての自覚まで持たせることが出来るんだから)
子供達「「「カミィ姉様お帰りなさい!」」」
カミィ「皆んなもただいま!良い子にしてた?良い子にしてた子には“お土産“があるわよ!」
子供達「「「「わーい‼︎」」」」
子供達は“お土産の話“で盛り上がっている間に、私は父上達と“例の現象の“話をするために話があるので執務室に来てほしいと伝えた。
子供達はアトリーの部屋で遊ぶらしい、シリーは子供達を見ているので話の内容は後で教えて欲しいと言ってきた。それを承諾し執務室に移動した。
部屋に入ってすぐに父が少し不満そうに要件を聞いてきた。
父上「で、どうした、帰って来て早々に話がしたいなどと、もう少し後ではダメなのか?疲れているし、私は孫達と少しは触れ合いたいぞ…」
「最後の方に本音が出てますよ父上」
苦笑いしつつ指摘し本来の要件に移る。
「父上達に手紙では伝えられないことがありまして、そのことでお帰り早々に話す事を優先させていただきました」
父上「そんなに重要なことか?退出させるか?」
父上は自分の背後に立つ専属の執事とメイド達に目をやった、母上も同じように見た。
「あぁ、それには及びません屋敷のほとんどの者が知っております、ただ、子供達には話しておりませんので、その所は承知して下さい、皆もいいね?」
父上&母上「「分かった」わ」
執事&メイド達「「「「畏まりました」」」」
皆の了解を得て続きを話す。
アトリーの初めての散歩での出来事と、その後に多発している不法侵入と誘拐未遂の事件に関しても話していく、話が進むにつれ両親の顔が険しくなっていった。
「・・・・・と言うことで屋敷の者達と協力して首謀者を炙り出している所です」
静かに話を聞いていた父上から膨大な魔力と怒気が溢れ出し、周りを威圧し、家具が軋み出す。
ググググググググッ
「「「「グゥ⁉︎」」」」
部屋の中の使用人達も身動きが取れないようだ。
父上「其奴らは我が公爵家を舐め腐っとるなぁ…私は臣籍降下したとは言え王族の血を引いている、その公爵家の可愛い孫を奴隷にしようとは、何たる侮辱‼︎」
怒りのあまり魔力の制御ができて無いらしい、声も低く、かなり怒っているようだ、こんなに怒っている父上は初めて見るかもしれない。
「ち、父上っ」
私には少しキツイぐらいだが、使用人達にはそろそろ辛い、止めるのに声を掛けようとした。
母上「貴方、それくらいで、みんなが潰れてしまいますよ」
その母上の一言で威圧が霧散していった、さすが母上。
父上「むっ、皆すまない、大丈夫か?」
我に帰って周りの心配をした父上には困ったものだ。
皆、それぞれ平気だといい、話を進めてくれと言い出したので、その言葉に甘え話を進めた。
父上「では、今はそのアトリーを攫ってくる様に、奴隷商や闇ギルドに依頼した愚か者の捜索をしていると?まだ見つけていないとは、そんなに手強いのか?」
「いえ、そこまで手強い訳では無いです、ただ現在、屋敷の警備をするので手いっぱいなので・・・」
母上「屋敷の警備?」
「はい、今 屋敷内と散歩中の警備をしている者達は、アトリーの特性に当てられないように魔力量の多い者達がしていて、その他の者達が屋敷周辺の警戒にあたって要る状態です」
父上「そうか捜索に魔力量が多い者が付けない状態なのか……ふむ」
父上は考え込んでしまった。
母上「そんなに屋敷に侵入しようとする者が多いの?」
「そうですね、最近は色々対策を練っているので 減ってきてはいるのですが、どうやら“柵越し“でもアトリーが視界に入るだけで無意識に近寄ってくる様なので、屋敷周辺になるべく人を近づけないように対策をとっているんです」
屋敷の柵には“結界魔法“が施されているのだが、この件に関しては効果がない様だった。
母上「あら、そこまでしないといけないのね…」
「それにどうやら出入りの商会の者から噂を聞いて、興味本位でアトリーを見にくる街の住人が増えた時期がありまして、その噂が元でよからぬ者達も集まってきたので、周辺の警戒を怠らないようにしています」
父上「そうか、ではジョルジュを捜査に加えよう」
母上「それなら、私からはサリーを捜査に加えて下さいな」
「ジョルジュとサリーをですか、本当に宜しいのですか?」
父上「かまわない、それにジョルジュとサリーの腕前はお前も良く知っているだろう?」
「知ってはいますが、2人がいない間の父上達の警護はどうするんです?」
父上「2人がいなくとも私達は平気だ、それにこの夏季休暇の間にどこも行かぬし人と会う予定も無い、私達が孫達と一緒にいれば警備もしやすいだろう?」
(ん?面会の予定が無い?何かおかしいな……あ!)
「要は、自分達が孫達と遊びたくて何も予定を入れずに帰って来た、と、そう言うことで宜しいですね?」
父上と母上、2人揃って同じように黙って視線をあさっての方向にそらした・・・・
普通に考えてこの2人に何の予定も入って無い訳がない、2人は前領主夫妻 そんな人達が夏期休暇で領地に帰ってきたのに、2人して面会の予定も無いなんてあり得ない。
サリー「全く持ってその通りです。旦那様、大旦那様方はお孫様達とお遊びになるのを大変楽しみにしておられました」
ジョルジュ「お孫様達とお遊びになるため、面会などの申込みを全てお断りになられました」
母上「!サリー⁉︎」
父上「⁉︎ジョルジュ!」
全てバラされて気まずい顔になった両親を見て。
「はぁ、父上、母上、今回はそれで良かったので、もう何も言いませんが、次からは前領主としての付き合いはちゃんとして下さいね」
まぁ、最近アトリーの噂を聞いて、私への面会の申し込みが殺到しているので、現在、面会は重要な者以外断っている状態だ、大半がアトリーに会いたいや見てみたいなどと、遠回しではあるがそんな内容の面会申し込みの手紙が来ている。
アトリーは見せ物小屋の動物ではないのだから失礼極まりない、そんな面会は申し込みは抗議文と共に断りの手紙を出している。
父上「分かっている、心配するな今年だけだ」
母上「えぇ今年だけよ」
「はぁ、分かりました、今回はありがたく2人をお借りしますね。2人ともよろしく頼む」
もう一度溜め息を出し、ジョルジュ達に捜査を頼んだ。
ジョルジュ&サリー「「承知いたしました、旦那様」」
2人は一歩前に出てきて一礼した
この2人、“ジョルジュ•ノブル•シャトン“と“サリー•ノービレ・シャトン“は、元子爵位を持っていた貴族だ。
父上がまだ王族としての公務で影騎士の総括をしていた頃に、父上と母上に護衛として付けられた“王家の影“のシャトン一族のジョルジュ夫婦、“王家の影“のシャトン一族とは“諜報・暗躍・護衛“が得意な 王家の血筋にしか仕えない一族だ 。
この一族は特殊な能力を保有し、一族の魔力の高い者に現れる能力は、王家の血筋の者にしか効かない特性を持つため、王家の血筋以外には“忠誠を誓わない“、だからと言って王家の血筋の者なら誰でも良いとは限らない、相性があるので難しい所ではある。
なのでジョルジュは“父上“に忠誠は誓っても“私“には誓ってない。
サリーは他家からの嫁入りで、ジョルジュと結婚しているので特性は無いが、母上に心からの忠誠を誓っている、そんなサリー自体も特殊スキルを保有していて、その特殊スキルを“王家の影“のシャトン一族に取り入れるため、政略結婚とゆう意味合いで結婚した2人だけど、実際は、完璧な恋愛結婚なのだ、その愛の結晶が今、私の後ろにいるカイル•ノブル•シャトンなのだ。*子爵位はカイルが継いでいる
そのカイルも一族の特殊な能力を持ってはいるが、物心付いた時には既にいた、とゆう感じで、“王家の影“としての“忠誠の誓い“はいつの間にか終わっていた。
私も王家の血筋として“忠誠を誓って“もらえたので嬉しいのだが…
要は“王家の影一族“は “王家の血筋を継ぐ者の個人に忠誠を誓う“のだ、まぁ、そうゆう理由で国のために仕える“王国の影騎士“と、“王家の影一族“は役割が違うので、王宮勤めの者達でも、“王家の影“の存在を知るものは少ない。
そんな“諜報“のスペシャリストの2人が、アトリーを狙っている犯罪組織と、それを依頼した黒幕を見つける捜査に加わってくれると言うのは頼もしい限りだ、その後は今後の捜査の為に必要な話し合いをして、その日は終わった。
次の日からジョルジュとサリーは、屋敷周辺の警備の者と一緒に周辺の警戒にあたってくれている、犯罪組織の関係者が現れたら、そのまま追跡できるようにとの配置だ。
(ちゃんとシリーにも話は伝えておいたよ、特に異論は無いそうだ)
+・・・・・+・・・・・+・・・・・+
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