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第4章 少年期〜青年期 学園3学年編
44話 初めてのお泊まり冒険者活動12
しおりを挟む夜月『そうかも知れないが、それだと山のエネルギーと精霊達の異変はゴブリン達と関係はなさそうだな?』
(あ、・・・それは確かに、同じ場所で起こった事だから、もうちょっとで原因が同じだと錯覚するところだった・・・そうなると、ゴブリンとアーミーアントの件と山と精霊達の異変の件は原因は別々?なのかな?(・・?)だとしたら、山と精霊の件は何が原因だ?)
色々と考察してみたがまだ、全ての事の原因は分からないまま、軍議は進んで行った・・・・
スタフお兄様「・・・我々は事前に知らされていた洞窟内の調査隊の編成を見て、冒険者ギルドの人員だけでは手が負えないのでは?という結論に至ったため、今このように軍議に参加していただいたのだが、冒険者ギルド側でも先程の話の状況では手が回らないと言う見解で良いのかな?」
ガイアスさんの呟きを聞き、スタフお兄様は確認のようにギルマスの顔を見て聞いてきた。その視線を受けたギルマスは横にいたガイアスさんに、“他に意見はないか?“と確認するようにチラッと見た、ガイアスさんもそれに気づいたのか無言で頷き返し、“他に意見はない“と言う意思を示した。
ギルマス「はい、私としても、その様な状況下では洞窟内の完全な探索・討伐はうまくいかないと思っております。ですが今回の掃討作戦は時間が経つほど周辺地域の危険度が高まるとも思っていますので、掃討作戦の延期等は考えに入ってはいません。なので、表に出てきているゴブリンの巣と洞窟内の魔物の巣の掃討作戦は当初の予定通り明日の朝行いたいと思います。その際、洞窟隊に国軍の方から戦力をお借り出来ないかと思っております。もしくは表のゴブリンの巣を先に一掃した後、参加している冒険者達全員を洞窟内に投入しようと思っています」
と、今回のような不測の事態の意見を求められて、すぐに代打案を打ち出したギルマス。その代打案の提案を受けたスタフお兄様や軍の人達は、ギルマスの柔軟な対応策に感心していた。
スタフお兄様「ふむ、ギルマス、貴女の案はこちらから出た案と同じものだった。私達としては、掃討作戦中に洞窟から次々援軍が出てくる状況は避けたいので、表と洞窟内、両方を同時で殲滅する方がいいだろうと結論が出たので、こちらから戦力を貸し出す案が妥当ではないかと言う意見で固まったのだが、どうだろうか?」
ギルマス「そうして頂けると助かります」
総元帥「では、人員の割り振りは・・・・・・・・」
(わぁ、物凄い速さで作戦の人員の割り振りが済んでいく~!(*´Д`*)てか、すでにそう言う話に持っていく気満々だったんじゃんスタフお兄様・・・しかし、もうこれ、話終わるよね?)
と、ほとんど既定路線なやり取りだったが、僕達の洞窟隊に軍の兵隊さん達の約4分の1が加わる事になった。軍側は作戦中の村の警備用の人員を多く連れて来ていたので、表の巣を奇襲する隊の人員の数を変更せずに済んだようだ。話はこれで終わりか?と思っていたら・・・・
スタフお兄様「これで人員の割り振りは終わったのだが、問題はまだある、今回のゴブリンとアーミーアントの急激な繁殖の原因についてだ」
ギルマス「・・・確かに、異例中の異例と言う状況であるため、何かしらの原因があるのではないかと疑ってはいましたが・・・、軍の調査中に何か判明したのですか?」
スタフお兄様「判明、とまでは行かないが今回のこの現象に似た出来事がある事に気づいたのだ、それは…ダンジョンからの“氾濫・スタンピード“「「「「「!!」」」」」、それも、人為的に起こされた“氾濫“だと思われる・・・・」
「そう言う事か・・・・」
スタフお兄様や軍部が調査し考えて出された予想は思った以上に突拍子もないものだったが、これまでの話や現在の状況から鑑みると説明がつく様なことばかりだった。
天華『確かに、急激なゴブリン達の出現や系統の違う魔物達が同じ洞窟内で過ごしている事と言い、またそのゴブリン達の気配が作為的に消されている事と言い、その上、山のエネルギーの乱れ方や精霊達の異変と言い、その全てが“人為的なダンジョンの氾濫“のせいと考えれば説明はつくし、納得も行きますね・・・』
(そして、僕がここに連れてこられた意味もね・・・)
「スタフお兄様は、僕が今のお話を聞いた上で、ここまで来るまでで“見て“きた現状を照らし合わせて判断した、意見、いや、スタフお兄様にしてみれば“確証“が欲しかったのですね?だからこの場に僕を招いた・・・違いますか?」
そう言ってスタフお兄様に視線を向けると、スタフお兄様は少し冷や汗をかいて笑った。
スタフお兄様「・・・全くその通りだアトリー君、君なら今の話からあの山の現状が正確に判断できているはずだ、お願いできるかな?・・・」
「・・・ふぅ、まぁ、良いですよ。今の話は冒険者としても見過ごせないので、僕を“勝手“に判断材料にした件は不問とします」
僕がそう言うと、この場にいる王族2人と総元帥だけがあからさまに安堵の息を吐いていたが、その他の人達はこのやり取りの意味がわからず、頭にはてなマークを浮かべていた、むしろ僕の言い草が王太子であるスタフお兄様に対して不敬ではないかと、顔を顰めて不機嫌そうな人達もいた。
(あ、ついでに言うと、ソルは何故か椅子に座らずに僕の席の後ろに控えて立ったままだよ。今は少し警戒体制に入っているね・・・(*´ー`*))
スタフお兄様「ふぅ、ありがとうアトリー君、これでここに来た目的の半分は果たされたよ。私は王命で君に協力を求める交渉を任されていたんだ、それと、君が初めてこのような大規模掃討作戦に参加するから、父上が心配していてね、周囲との衝突を避けるためにも私が来たんだよ。後、君に危険がないようにと護衛に総元帥を派遣されたんだ」
密命とも言える話をこうもアッサリ話すスタフお兄様は、どこかやり切った感を漂わせていたが、この話を聞いたロズ殿下と総元帥以外の人達が驚きの表情をしていて、その中の数人が、この国のトップである国王が、ここまで僕を気にかける意味が分からないと言った視線をぶつけて来る。僕的にはそんな視線を向けられても詳しい説明はできないよ!
(おぅ、意外と素直に目的を話たな、しかし・・・)
「相変わらず心配性の上に過保護ですね。サフィアスおじ様は・・・と言うか、僕に護衛って必要ですか?」
王族2人「「いやぁ・・・・・」」
(おいそこ!はっきり言わんかい!( ゚д゚)後、そこ!何ニコニコしとるんだ!)
スタフお兄様がここに来た理由は理解できたが、総元帥が僕の護衛というのは理解ができなかった。なので僕に護衛の必要性を王族2人に問うてみたが、2人揃って苦笑い気味に首を傾げたことから、僕に護衛が必要ないと思っていることは確かなようだが、ハッキリとした返事は返ってこなかった。ただ、護衛任務を任された等の本人はニコニコと笑っているだけだった・・・
「・・・まぁ、良いです。結論から言いますとスタフお兄様の予想は限りなく正解だと言えます。
それが何故かと言いますと、事前に聞いていた情報で“チーボ村“の狩人がここ数ヶ月以内でゴブリンを山で見かけた事がないという証言から、今回のゴブリンの巣は急激に成長した。もしくはどこからから集団で移り住んで来たと、普通なら思い至るでしょう、稀ではありますが事例もありますから・・・
ですが、今回の場合、巣の大きさから考えても最低でも2ヶ月以上前から山の中での従来の生物達に異変が見られたはずです。
それが無いままに、ここ1・2週間内で急に出始めた生物などの減少という異変は、その二つの事例とも当てはまりません。
何故なら、あれだけの大きさの巣を形成していながら、発見されて1・2週間経った今でも、周辺の生態系にそれほど大きな影響を出してないということがあげられます。普通なら今の時点で、大所帯の食料を確保するために山はゴブリン達に占領されて、その影響で周辺の制定系は崩れ、山から追い出されるような形で逃げ出してきた魔物達に村は襲われて、多大な被害が出ているはずです。
ですが現状はそうなっていません。と、言う事はゴブリン達はこの周辺ではない、全く別の場所からその食料を調達してきている事になります。それがもし、スタフお兄様が言うように洞窟内に“新たな迷宮・ダンジョン“ができている仮定して、そのダンジョン内のゴブリンとアーミーアント以外の、魔物のドロップアイテムから食料となる何かを得て、ゴブリン達が食い繋いでいたとすると納得がいくのです」
ここまでの僕の説明は軍の将校達も、織り込み済みだったのか、頷きながら僕の説明を聞いて、感心している様だった。
僕は最初、誰かが王都にゴブリン達を襲わせるつもりで、元々あの山にあったゴブリンの巣に餌を運んで、その巣を育てていたのかも?と考えていたけど、それだと、かなりの時間が必要になって非効率だっただろうし、今回のゴブリンの巣の規模では王都を攻め落とすなど、到底無理があるのではないかと思った。
そうなると、何故今こんな中途半端な規模のゴブリンの巣は発見されてしまったのだろうか?と考えた、でもいくら考えてもその理由に答えは出なかった。その後も納得のいく理由が思い付かなかったから、考えるのを放棄していたけど、スタフお兄様の話を聞いて、一つの可能性に気づいた。多分、この計画を立てた黒幕は、ゴブリンの脅威的な繁殖力と“洞窟内にできていたダンジョン内“の食料の生産率をちゃんと予測できていなかったんだと思った。要は、繁殖して増えていくゴブリン達に対して食料の供給が間に合わなかった、と言う事だ。
(まぁ、ちゃんと予測できてたなら、今回みたいに増えたゴブリン達が食糧不足で自ら巣を出て、獲物を狩っているところを人間に見つかることもなかった筈だしね・・・(*´ー`*))
「そして、“人為的に“と言う部分において、僕はやはり今回の件は人為的と確信しました。何故ならあの様な大規模の巣ができていることに、村の狩人が今まで気づかなかったという点に違和感を持ったからです。熟練の狩人としてあれほどの数のゴブリンの気配に全く気づかないなんて事、普通あり得ませんよね?
では何故、今まで熟練の狩人が気づかなかったのか、それは意図的に何らかの手段でゴブリン達の巣を隠蔽されていたから、と言う事なら話は別です。
その何らかの手段の例を出すなら、巣全体に気配や生命反応を隠蔽する魔道具等を複数設置する方法ですね。それも我々人間側だけではなく、ゴブリンなどの魔物側も人間の気配や生命反応を隠蔽されていれば、互いの存在を認知できません、今回のように何らかの理由で互いが山を越えない限り、熟練の狩人がゴブリン達に気づかなくても不思議ではありませんし、今でも出会うことは皆無だった事でしょう。
これらの理由から今回の掃討作戦の対象になったゴブリンの巣にある洞窟の奥には、“未発見の迷宮・ダンジョン“があると確定し、またこの状況は何者かの意図で引き起こされた、“未発見のダンジョンの人為的な氾濫“と考えるのは妥当かと思われます・・・それに、あの“山の力の流れ“が乱れてますからね、僕の中ではほぼ確定ですよ・・・」
(今思えば山のエネルギーの乱れは“人為的な氾濫“が原因で、この地域の精霊達はこの“人為的な氾濫“を抑えようと必死になっていたから、僕のところに来れなかったんだろうな(*´Д`*)・・・そして、今現在も必死に“氾濫“を抑えようとしている・・・要はゴブリン達と山や精霊達の異変、今回起こった異変の全てが繋がったって事だよね)
僕が親切丁寧に根拠まで説明し終わると、ポカンとした表情で全員が固まっていた。
「あの?どうかなさいましたか?」
「「「「「はっ!!」」」」」
スタフお兄様「す、すまない、自分の予想と違った見解で遥かに詳しい説明に呆気に囚われてしまったよ、私が“人為的“と判断したのは“氾濫“が起こる数日前には必ず起こる“氾濫の前兆“、周辺地域に生息している動物や魔物達がダンジョンの異変を感じて、大移動をしたり、気が立って人を襲ったりとするもの、それが“人為的“に突然“氾濫“となるとその“氾濫の前兆“は起こらないと言うのが定説だったからだ、今回の件も“氾濫の前兆“がなかったから“人為的“と仮定して話たのだが・・・
しかし、気配や生命反応を隠蔽する魔道具か・・・“氾濫の前兆“が無かったから周囲の生物が逃げ出さなかったとしても、今まで村人達がゴブリン達が山にいる事に気づかなかったのは、てっきりあの山の特殊な構造のせいかと思っていたが、アトリー君の説明を聞いて、確かに気配に敏感な村の狩人や、山に生息する他の動物や魔物達が今までゴブリンの存在に気づいてないのは変な話だな。それに気配を消す魔道具などは一般的にも存在するものなのに、そこに思い至らなかったのは、私はまだまだ未熟だな・・・
そう言えば、アトリー君、さっき最後に言っていた“山の力の流れ“とは、どういった物なのだろうか?それにその“山の力の流れ“が乱れると、どのような影響が出るのかな?もしかしたら今回の“掃討作戦“にも何か影響が出るかな?」
ぽかんとした状態から戻ってきて、すぐに思考を切り替えて魔道具の存在に気づかなかった自分に悔しそうにしていたが、僕の最後の言葉の意味に言及してきたスタフお兄様。好奇心旺盛で目をキラキラと輝かせて僕を見てくる。
(おぅ、こう言う好奇心旺盛な所は母親のローズ様譲りだな( ´ ▽ ` ))
軍将校「っ!お待ちください!王太子殿下!その様な不確かな証言を信じるのは早計が過ぎると思われます!今の話がどこまで本当の事であるか、何も証拠はないのですぞ!」
色々と興味深々で僕に詰め寄ってくるスタフお兄様に、軍将校の1人が疑いの目で僕を見ながら苦言を呈して来た。
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