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第4章 少年期〜青年期 学園3学年編
56話 初めてのお泊まり冒険者活動24〈最深部、地下5階層〉
しおりを挟む僕達は、地下4階層の殲滅をほぼ終え、現在、地下5階層への階段前で突入の準備を整えていた・・・
スタフお兄様「では、我々“第三部隊“はこのまますぐに最深部に突入するが、今、下の大空洞はどのような状況になっているかは不明だ、ただ一つ分かっているのは、この階段を降りた先の廊下の部分に大量の魔物達が待ち構えていると言うことだけ、ここを突破しない限り本来の目的を達成できない、皆、気を引き締めて行こう!」
「「「「「おうっ!!!」」」」」
程よい緊張感が漂い、戦意を高めていく王族の護衛騎士と軍人さん達、その前方で“蒼炎“のパーティーメンバーにイネオス達は、注意深く階下につながる階段を見つめながら、下の階の戦力を把握しようとしていた。
「これは、・・・ちょっと気味が悪いね・・・・」
“儀式“が始まった影響か、時間が経つにつれ魔素や魔力、自然エネルギーなどあらゆる力の濃度の高まり、地下5階層の魔物の気配などがスキルで見るのが難しくなっていた、そんな中ようやく地下4階層まで来て、下につながる階段まで辿り着き、そこでやっと最深部の大空洞に繋がる広い通路部分を目視で視認できるようなって、そこから見えたのは通常のゴブリンや、アーミーアントの1番下っ端の種類のソルジャーアントだけで約150匹がひしめき合っている様子だった。
その光景を見てでた言葉がこれだったのだが、その他の上位種は奥にいるのかここからは見えておらず、ここから“気配感知スキル“で確認できる限りで約100匹・・・この通路だけで事前調査時の数の約4倍の数の上位種が待ち構えていた・・・
「合計、約、250匹・・・魔力や自然の力の密度が濃ゆいせいか、ここからでも奥の大空洞にいる魔物の気配が全く伺えない、それにこの規模のゴブリンの巣に危険度Sランクの“ゴブリンキング“や“ゴブリンジェネラル“がいてもおかしく無いはずだけど、この通路部分にいないみたいだ、奥の大空洞にいるのかな?・・・」
その他にも、洞窟の地下2階層にいた時点までは、“真眼スキル“と“探究スキル“で見れていた洞窟内の構造も、今は全く窺い知ることもできなくなっていて、構造の変化があったとしても、中に入ってみるまでは分からなくなった。
そして、この階段上部から僕達がいる事を、階下にいるゴブリン達は気づいているはずなのに、上がって来て襲って来る様子がない、その静けさの意味する所は、強力な“統率者“がいて、その“統率者“の指示に他のゴブリンやアーミーアント達が忠実に従っていると言うこと。普通のゴブリンの巣のゴブリン達なら“連携“の“れ“の字すら知らずに、人間を見たら無差別に襲いかかって来て、動きも読みやすいものなのだが、それが無いゴブリン達は何をしてくるか分からないので、今はかなり厄介な存在となっていた。そうなると今まで以上に気を引き締め中に突入する覚悟がいった。
そんな緊張感の中、僕やソル、イネオス達より場数を踏んできた“蒼炎“のパーティーメンバーはとても自然体で会話していた。
ゼンガさん「そうねぇ、その代わり通路の方には“ゴブリンロード“が、他の下位階級の“ゴブリンリーダー“や“メイジ“、“ナイト“系をわんさか連れているわねぇ、どうにかしたら“ゴブリンプリースト“までいそうだわぁ・・・」
テミルさん「“アサシン“、“アーチャー“」
イデリーさん「そうだね、“ゴブリンアサシン“や“アーチャー“も危険だね、稀に突然変異で“ゴブリンパラディン“や“ソーサラー“もいるらしいからもっと気を付けないとだね」
タミラさん「ちょっと、変な事言わないでよ。そんな希少種まで出てきたら流石に対応できないわよ?」
ガイアスさん「まぁ、可能性の話だ。だが、いないと考えるより、いるかも知れないと考えて行動する方が油断しなくて済むだろ?」
タミラさん「まぁ、そうだけど・・・・」
「ガイアスさん、本当に突入の際、先陣をお願いしてもいいのですか?」
ガイアスさん「ん?大丈夫だ、問題ない、問題ない、軍も続けて入るんだろう?俺らだけだったら無理だったが、軍が後ろに続いてくれるなら後ろを気にせず特攻していけばいいんだから、安心して突入できるってもんだぜ!」
「そ、そう言うものですか?・・・・・まぁ、何かあれば後ろから魔法で援護射撃すればいいか」ぼそっ
今からの深層部への突入の先頭は“蒼炎“のパーティーが担い、その後ろを軍の精鋭隊が続き、さらに後ろを僕や王族2人を護衛するように、護衛の近衛騎士やイネオス達が囲んで進む事になっていた。一応、危なくなった時の対応策は考えてはいるがそれでも心配が勝っていた。
僕はイネオス達の実力はよく知っているので、下で待ち構えている動きの鈍いゴブリン達程度なら、なんとかなると分かっているのだが、幸い?な事にここまで辿り着くまでの間に“蒼炎“のメンバー達は一度も戦闘する事なくきているので、彼らの実力を図りかねていた。今からの戦闘はコレまで以上に数の差がある特攻になることが決まっているので、やはり多少は不安が残り心配になってきていたのだが、ガイアスさんが余りにも余裕な様子でそう言うので、何か秘策でもあるんだろうと思い引き下がる事に、あと、一応何かあれば魔法を使って援護することを決めて、自分の配置についた。
そして、しばらくして隊列が整えられ、薄暗い階下に向けて、軍の魔法師が光魔法の“ライトボール“を灯りがわりに投げ入れ、下の様子がよく見え息を呑む音が聞こえてから数秒後・・・・
スタフお兄様「皆!ここが本命だ!一気に突破するぞ!全体!突入ぅーーーーっ!!」
「「「「「「うおぉぉぉーーーーーっ!!」」」」」」 ドドドドドドドドーーーーーーッ!
こうして、始まった地下5階層の作戦はこうだ、まず、冒険者パーティーの“蒼炎“が先陣を切り魔物達の群れに特攻を仕掛ける、その後ろを軍の精鋭達で組んだ小隊が続き、さらにその後ろをスタフお兄様や僕を囲んだ護衛騎士達やイネオス達が進む、有象無象を蹴散らすようにその勢いのまま、そう長くない通路を大空洞まで突破し、先陣を切っていた“蒼炎“メンバーと軍の精鋭部隊は、その場で反転し大空洞側の入り口で魔物達を足止め、僕とスタフお兄様、それを取り囲む人達は大空洞の中で行われているであろう“儀式“の阻止に向かう事になっている。通路の突破が成功すると、通路の上階の階段側の方からも地下4階層を任されていた“第二部隊“が通路の魔物達を強襲し、挟み撃ちにする作戦だ。
そして、僕達も大空洞に入っても油断はできない、なので、ソル、イネオス達と僕は周囲を警戒しながらスタフお兄様と“儀式“を止める調査を優先する。もちろん、大洞窟内にも待ち構えているであろう魔物が、こちらを襲ってくればそれを倒していくが、僕が倒す前にイネオス達や天華達が全て倒しそうな気がしなくもない・・・こう言ってはあれだが、大空洞に当てる戦力としてはここにいる天華達だけでも、かなりの過剰戦力だと言える。
(まぁ、天華達は僕に向かってくる魔物には容赦ないからな、特に僕が何か作業をしている所を邪魔してくる奴とかね、もう、メッタメタにするね・・・そう言えば、イネオス達も一緒か・・・(*´ー`*)あの子達はいつの間にあんな過激派になったんだろうかね?( ̄▽ ̄))
そんな事を思いっているうちに僕達も魔物達がひしめく地下5階層の通路に突入、先陣を行っている“蒼炎“のメンバーが魔物を倒して切り開いてくれた道を、軍の精鋭部隊がさらに広げるように魔物達を倒していく、だが、それでも魔物達は僕達を殺そうと、周囲から絶え間なく攻撃を仕掛けて僕達の隊を数で押し潰そうとしてくる。なので、僕は事前に話し合っていた予定通りに動いた。
「“ドームバリア改“」
数で押しつぶされそうになった時の対応策として、発動させると決めていた結界魔法“ドームバリア改“、これは通常の中規模結界の“ドームバリア“を改良した魔法だ、通常は敵の攻撃を防ぎ味方を守って援軍を待つための魔法だが、今回使用した結界は敵の攻撃は受け付けないがこちらからの攻撃は可能と言った、攻防どちらとも可能な仕様になっている。なので敵との一定の距離を保ちつつ、こちらから一方的に攻撃を仕掛ける事ができるのでかなり戦いやすいのだが、一個だけ欠点がある。一回この魔法を発動すると、その場から動けなくなると言うのが唯一の欠点なのだ・・・
(本来の“ドームバリア“のように、どちらからも干渉できない使用のまま少し手を加えたら移動可能にできたんだけど、内側からの攻撃を可能にした途端、移動不可になっちゃったんだよなぁ( ´ ▽ ` )多分、結界の位置が定まらないと内側の攻撃可能範囲がブレるし、外側の攻撃をちゃんと防げなくなるから位置が固定されてるほうがいいだろうな・・・(*´ー`*))
と、いう結論に至ったのだが、今はそれは置いといて、結界が展開されると僕達に迫って来ていた魔物達が強制的に押し戻され、僕達は一息つけるようになった。
ガイアスさん「ふぅ、助かったぜ、やっぱり数が多いな・・・」
テミルさん「不思議・・・」
イデリーさん「本当だね。あちらからの攻撃は防いでいるのに、こちらからの攻撃が通ってる・・・」
タミラさん「これ楽でいいねぇ」
そう言いながら、結界にぶつかって来ている魔物達に向かって魔法を放ったり、剣で攻撃を加えている“蒼炎“のメンバーや軍人さん達。
総元帥「楽なのはいいが、いつまでここに止まれるわけじゃ無いだろう、見たところ通路を抜け出すにはあと半分、魔力を温存しておきたかったが、ここを突破するには大空洞に向けて魔法師達の一斉攻撃が有効か・・・総司令官、ご許可がいただければ、すぐに正面突破を致します」
と、総元帥さんが提案してきた。その提案を聞いたスタフお兄様は少し考えて、許可を出した。
スタフお兄様「そうだな、ここの空気はどこか重苦しくなって来ている気がする。一刻も早く大空洞に向かった方がいいだろう」
(そうなんだよね。今さっきから、嫌な予感がひしひししてるんだよね・・・それに、魔物達の動きがさらに鈍くなって来ている気がするし・・・)
スタフお兄様と僕は何か同じように嫌な予感がししていたのだろう、いち早くこの通路を突破するための案を早速試してもらうことになった、軍の精鋭部隊の中で魔法の腕が立つ人が3人、それと“蒼炎“のパーティーからタミラさんとテミルさんの2人が、大空洞方面に向けて杖を掲げ魔法の詠唱で魔力を練り始めた。
すると、さっきまで後方で下位のゴブリンやアーミーアント達に指示を出していただけの“ゴブリンロード“が、今の現状に気づいたのか、それとも大きな魔力を練り始めたのに気づいたのか、急に2メートルもある巨体を揺らし自分達の前にいた部下達をかき分けて、こちらに来ようとしていた。
ゴブリンロード「グゴォォーーーーッ!!」 ガキッン!ガキィンッ!!ガィンッ!!!
魔法の準備が後もう少しで完了しようとした時に、怒りに満ちた形相の“ゴブリンロード“が僕の展開した結界を、手に持っていた大剣で力一杯切り付け始めた。だが、そんな攻撃でも僕の張った結界は一向に傷つく様子は一切ない。
そうこうして居る内に得意属性の最高火力の詠唱をしていた人達の準備が整ったようだ。その時、僕は複数の魔力を感知してそちらを見ると、魔法を放とうとしている人達は真剣な表情で、それぞれの掲げた杖の先に色とりどりの強力な魔力の塊を維持し、号令が出るのを今かいまかと待っていた。
そして、次の瞬間・・・・・
総元帥「全員!“ゴブリンロード“を目標に放てぇーーーっ!!!」
ドッゴウッ!!
轟音と共に放たれた魔法の数々、僕はそれぞれの魔力の色を認識しながら見ていて思わずその色彩に惚れ惚れしていた。
「綺麗・・・さすが軍の精鋭とSランク昇格間近の冒険者パーティーの魔法師達が放つ、高火力の魔法だ・・・・」
その美しい魔力の波に吹き飛ばされていく“ゴブリンロード“、ゴブリンロードの体は他の魔物達を巻き込み、その体が無くなっても魔法の波で次々倒れていく、その中で僕は不思議な現象を目撃した・・・・
(あれ?今、大空洞の入り口付近で押し潰されたゴブリン、今、霧状になって消えなかった?・・・・アレって、ダンジョンの魔物達と同じ消え方だよね・・・)
そんな不思議現象を見て驚いている内に、最大火力で吹き飛ばされて行く魔物達、その魔法もとうとう打ち出し切ったのか、余韻を残しキラキラと魔力を散らし消えていった。そして、そこに残った焼け焦げて抉れたような一本の道を駆け出す“蒼炎“の前衛職3人と軍の精鋭達、僕達もそれに置いて行かれないように走り出した・・・
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