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与えられた光
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食事を終えたルチアは、クロードと城内を歩いていた。昨日一日では城内を全て廻ることが出来なかったので、案内の続きをしてもらうことになったのだ。
最後となる、廊下の突き当りの右手にある部屋の扉の前で、クロードが少し躊躇うように立ち止まった。
クロード様、一体どうされたのでしょう……
「クロード様、こちらは?」
後ろから声をかけたルチアを振り返り、クロードが答えた。
「この城に留まっていた間、母君が使っていた部屋だ」
お母様が……
クロードが王位を継いでから何度かこの城を訪れたことはあったが、母が使用していたこの部屋には、なんとなく入ることが出来ずにいた。
扉を静かに開け、中へ入る。まるで時が止まったかのように、あの時と同じ景色、匂いにクロードの足が止まる。
そんな様子を察して、ルチアが黙って優しくクロードの手を握った。
「大丈夫、ですわ……」
ベッドと小さなテーブルと書棚が置いてあるだけの、狭い部屋を見渡す。
この部屋に私は、母君に花を届けるために訪れていたのだな……
その後、押し花として残されていた花は父によって踏み躙られ、跡形もなく失われた……そんな苦い記憶が再びクロードの脳裏に蘇る。
過去の呪縛から抜けられたと思っていたが、記憶というものは案外簡単には薄れてはくれないようだな。
その時、書棚を見つめていたクロードが一冊の本を取り出した。
「これは……母君の祖国の古い伝説を謳った詩集だ」
ルチアが、クロードから本を受け取る。美しい挿絵の描かれた本をルチアがパラパラと捲ると、中からひらひらと何かが落ちた。
「ぁ……」
床に落ちたそれを拾い上げたクロードは、ハッとした。
「これ、は……」
それは、手作りの押し花の栞だった。
ルチアがクロードの手の中にある栞を覗き込み、柔らかく微笑んだ。
「素敵な栞ですわね」
「これは……昔、母君に送った花だ……」
その言葉に、ルチアの眉がピクリと上がる。
「え……」
クロードはルチアの頬に手を添え、その温かさを感じる。
「お前の、お陰だ。失ったものを、取り戻すことができた」
それで全てを理解したかのように、ルチアは頬に添えたクロードの手に自分の手を重ねた。
「クロード様……」
美しい涙が、一筋ルチアの頬を伝って流れ落ちた。
最後となる、廊下の突き当りの右手にある部屋の扉の前で、クロードが少し躊躇うように立ち止まった。
クロード様、一体どうされたのでしょう……
「クロード様、こちらは?」
後ろから声をかけたルチアを振り返り、クロードが答えた。
「この城に留まっていた間、母君が使っていた部屋だ」
お母様が……
クロードが王位を継いでから何度かこの城を訪れたことはあったが、母が使用していたこの部屋には、なんとなく入ることが出来ずにいた。
扉を静かに開け、中へ入る。まるで時が止まったかのように、あの時と同じ景色、匂いにクロードの足が止まる。
そんな様子を察して、ルチアが黙って優しくクロードの手を握った。
「大丈夫、ですわ……」
ベッドと小さなテーブルと書棚が置いてあるだけの、狭い部屋を見渡す。
この部屋に私は、母君に花を届けるために訪れていたのだな……
その後、押し花として残されていた花は父によって踏み躙られ、跡形もなく失われた……そんな苦い記憶が再びクロードの脳裏に蘇る。
過去の呪縛から抜けられたと思っていたが、記憶というものは案外簡単には薄れてはくれないようだな。
その時、書棚を見つめていたクロードが一冊の本を取り出した。
「これは……母君の祖国の古い伝説を謳った詩集だ」
ルチアが、クロードから本を受け取る。美しい挿絵の描かれた本をルチアがパラパラと捲ると、中からひらひらと何かが落ちた。
「ぁ……」
床に落ちたそれを拾い上げたクロードは、ハッとした。
「これ、は……」
それは、手作りの押し花の栞だった。
ルチアがクロードの手の中にある栞を覗き込み、柔らかく微笑んだ。
「素敵な栞ですわね」
「これは……昔、母君に送った花だ……」
その言葉に、ルチアの眉がピクリと上がる。
「え……」
クロードはルチアの頬に手を添え、その温かさを感じる。
「お前の、お陰だ。失ったものを、取り戻すことができた」
それで全てを理解したかのように、ルチアは頬に添えたクロードの手に自分の手を重ねた。
「クロード様……」
美しい涙が、一筋ルチアの頬を伝って流れ落ちた。
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